火星から地球への旅路が整いつつある
タイトルの名詞が逆じゃないかと思うかもしれませんが、こんなニュースが流れました。(タイトル画像は下記記事内にあるNASA画像より引用)
ようは、
過去採取した火星サンプルのうち、一部を火星に置き終わり、持ち帰る準備が進んだ、
という話です。
この作業にあたったのはNASAによる最新の探査車パーサヴィアランス(2021年2月に火星到着)で、数年かけて27本のサンプルを採取していました。そのうち今回10本を火星に置き、残りを自身が正式に地球に持ち帰る予定です。
火星に到着した人工物(サンプルを収めたチューブ)が地球に持ち帰るのはこのスケジュールが順調に進めば今回が初となります。
ただ、時期はだいぶ先になりそうで、2033年ごろに回収用の着陸船に引き渡し、そこからやっと宇宙船に乗って地球への旅路につきます。
ちなみに、火星上に置いたものも回収予定で、最近そのコンセプト動画も公開されています。(厳密にはESAとの共同計画)
ハイテクかローテクか微妙ですが、なかなか娯楽性のある動画です。
さて、このパーサヴィアランスですが、任務遂行であとは回収船を待つだけかというとそうではありません。
引き続き火星上を徘徊し、特に生命可能性を探索する日々が続きます。
今回のサンプル投下が終わった後も、火星の三角州地形に移動してデータを地球に送り続けます。
三角州は、過去にそこに(生命にとって必要な)水があったことを示す地形です。ざっくりいうと、水が土砂などを運んで堆積した地形です。
ですので、この辺りを探索することで今後より生命可能性を直接的に証明する大発見の可能性は多いにあります。
実は最近、NASAが送り込んだもう一台の先輩探査車キュリオシティが、嬉しい発見をしています。
火星に隕石をみつけたのは、今回で3回目となります。
今回見つかった鉄隕石は直径30cmほどで、Cacao(カカオ)と名付けられました。
キュリオシティが見つけたものは、今のところはパーサヴィアランスのように採取して持ち帰る予定はありません。
今回の隕石も特にどうにかするわけではなさそうです。
ところで、先ほど「先輩」と書きましたが、キュリオシティが火星に到着したのは2012年です。実に10年以上も好奇心を持って(?)活動しているわけですね。
そもそもですが、キュリオシティの主な目的は「生命可能性の調査」です。
2台いるので一緒に調査活動しているのかと思うかもしれませんが、お互いの場所は約3700kmほども離れています。
地球に例えると東京からベトナムぐらいの距離で・・・まさに孤独ですね。
翻って地球上では、その火星への有人着陸を目指したプロジェクトも進行中です。
いつか我々人類が、好奇心(キュリオシティ)と忍耐力(パーサヴィアランス)を持ち続けて、長い間人類のために尽力してくれたこの宇宙兄弟とハグ出来ることを願っています。