「量子力学」ネーミング誕生100年を迎えて
世にも奇妙なミクロ語りとも言いたい「量子力学」
それほど、我々(少なくとも私)の常識を揺さぶってきます。
過去にも「量子もつれ」を意識した小史を書いたので、関心ある方はごらんください。
良く知られた逸話では、黒体放射を説明するためにマックス・プランクが飛び飛びのエネルギーを提唱したのが始まりです。
では「量子力学(Quantum Mechanics)」と誰がいつ名付けたのか?
こちらのサイトによると、丁度今から100年前にボルンの論文内で使われたそうです。
余談ですが、ボルンとその盟友(量子力学については論敵)アインシュタインとの書簡で、今でもよく使われる伝説のたとえが登場します。
深遠な言葉ですが、残念ながら脚色が入っているようです。
実際の原文直訳については過去に投稿したので載せておきます。
上記のニュアンスとして、アインシュタインはニールス・ボーアたちの「コペンハーゲン解釈」と呼ばれる派閥に対して死ぬまで抵抗する、というくだりで紹介されます。
私自身そのような表現をよく目にしましたが、それについては、神話の可能性もあるようです。こんな記事を見かけました。
この記事の著者と科学史家のジョン・ハイルブロンとで、この神話(と既に言い切ってます)がどのように創り上げられてきたのかを研究し、出版しようとしていたそうです。(ジョンが2023年末に死去)
このアインシュタインとボーアの科学史上最大級の論争はいくつか書籍にもなっています。(煽り気味に^^;)
どちらが正しいかというよりは、物理学をどのように解釈しているか、または科学へのスタンスによるのかなと感じています。
日常生活においては、自然現象をあるがままに観察して、仮説が整合したら徐々に理論として定着していく。
それまではそれでよかったのですが、量子力学はそれが我々の日常生活の常識では受け入れにくい現象が観察された。
それでよいのだ、と考える人たちと、アインシュタインのようにさらなる深遠な原理を追加追求していく人たちです。
あいにく時代は前者が優勢になり(その過程で神話が形成)、伝記映画で話題のオッペンハイマー(あまり知られてませんがボーアの次世代ホープとして当時活躍していた)は、1948年当時のアインシュタインのことを、
「目印ではあるが、灯台ではない」
と記者にコメントしたそうです。
ただ、個人的にはアインシュタインのほうにシンパシーを感じます。
上記記事のタイトル「Shut up and calculate」(黙って計算せよ)がやや煽っている気もしますが、思考停止せず常に考える(疑う)姿勢だけはこの一連のストーリーを通じて考えさせられます。
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