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最も遠い人工物に謎なエラーが発生?!

最も遠くにある人工物は?
というクイズに答えられる人は少ないかもしれません。

答えは、「ボイジャー1号」です。

NASAが1977年に打ち上げた太陽系外惑星探査機で、今でも現役で観測中ですが、最近その受信データに問題が見つかったそうです。

要は、
姿勢を制御するサブシステムから得たデータに問題が見つかり目下修復中
という話です。

特に機器自体に不具合を示す兆候は示しておらず、ランダム値や機器自体が存在していないという信号など、合点がいかないデータを受信しており、ややミステリアスな香りがします。

それにしても、45年間観測を継続しているというのは驚きです。

NASAのVoyager公式サイト(下図)によると、投稿時点で、目下地球と太陽の距離(1.5億km)を1AUとして、約155AUです。
探査機とは電波(光の速さ)でやりとりをしてますが、往復するのにほぼ2日かかるスケールです。

出所:NASAのVoyager公式サイト

遠すぎてピンとこないと思いますが、既に太陽系を超えて星間空間と呼ばれる位置にいます。

下記の地図が比較的分かりやすいかもしれません。

出所:Wiki「ボイジャー計画」

もっと言えば、ボイジャー1号は、太陽系内どころか、太陽風が到達するエリア(太陽圏)すら超えています。
2号もそのエリアを超えており、観測結果から太陽圏は球形でなく彗星型(ほうき形)ではないかと修正されています。(下はイメージ図)

出所: リンク先記事文中でNASA/JPL-Caltech


文字通り人類未踏の地を踏んだ冒険的航海者(Voyager)ですね。

上図にもあるとおり、いくつか同時期に探査機を打ち上げており、大体時期的には1970年代後半です。

これには理由があります。

1980年代に太陽系惑星群がほぼ一方向に並び、重力による遠心力(スイングバイと呼ばれ今では定番)を効率的に利用することが出来ます。
しかも当時未踏の惑星が同方向にあるため、それらを一気に観測しようという野心的な企画がありました。(通称「惑星グランドツアー」)

ただ、残念ながらNASAの予算縮小でVoyager1・2号だけがほぼ同時に打ちあげられたという経緯です。

Voyager1号が一番知られているのは、「ゴールデンレコード」と呼ばれる人類の情報を積んだことです。

出所:Wiki「ボイジャーのゴールデンレコード」

当時の米国大統領のコメントを引用しておきます。

これは小さな、遠い世界からのプレゼントで、われわれの音・科学・画像・音楽・考え・感じ方を表したものです。私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像の中に再び私たちがよみがえることができれば幸いです。
(アメリカ合衆国第39代大統領ジミー・カーター)

出所:Wiki「ボイジャーのゴールデンレコード」

上記の通り、普遍的な情報を選りすぐって記録したものを収め、日本の音楽からは「尺八」が収録されています。

今だと何が選ばれられるか、以前に企画自体が難しいと思います。

というのも、このようなSETI(地球外生命体探索)手法はアクティブ型とよばれ、来た信号を受信するパッシブの対極にある手法です。

ただ、これには「異星人は安全である」という仮定の下で当時実行され、これには科学的根拠はありません。(但し皮肉にもこの起案者は科学者でSF作家でもあるカール・セーガンです。)

今はアクティブ型は基本的には行われておらず、パッシブ型が続いています。

確かに人間中心思考または性善説の最たるもので、冷静に見るとその危険性は理解できます。
私の場合だと「映画ET」で、勝手に友好的なイメージを持っているのかなと想像します。

世界的に話題になった中国SF小説「三体」でもこのテーマを宇宙社会学という造語も交えて取り上げていました。

これ以上のネタバレは避けます☺

実はボイジャー1号は、1990年ごろに地球含めた太陽系撮影画像を送ってくれています。その中で最も地球がくっくりと映ったものを引用しておきます。

出所:https://sorae.info/astronomy/20200214-pale-blue-dot.html内のNASA/JPL-Caltech

真ん中やや右上の点が我々が住んでいる地球で、撮影当時約60億kmです。

改めて、宇宙の広大さと我々の位置づけを感じさせてくれます。

そして、人類最遠点にいる人工物であるからこそ、宇宙の広大さだけでなく、今回の謎のデータエラー現象含めて未知の現象に遭遇する可能性が高いとも言えます。

今のところ、ボイジャー1号は2025年ごろに燃料が切れる予定です。
ぜひ最後まで、宇宙の風に載せて最新のレコードを届けてもらいたいです。

※タイトル画像はWiki「ボイジャーのゴールデンレコード」より引用

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