未来の医療革命:歯と健康を取り戻す再生治療の最前線
iPS細胞で1型糖尿病の治験を始めることが発表されました。iPSの活用においてこれはインパクトがある朗報です☺
1型糖尿病は、自己を守る機能が障害を起こす免疫の病気です。具体的には、体内にあるリンパ球が誤作動を起こし、血糖値を調節するインスリンを作る工場を破壊してしまいます。
今回は、その工場をiPS細胞で構築するという治療です。上記記事によれば14万人の患者がいるそうで、ぜひとも実用化を急いでほしいです。
そして「再生治療」つながりでもう1つうれしい話題を紹介します。
毛生えならぬ「歯生え薬」の臨床が開始されました。
世の中には、歯が欠損した状態で生まれてくる先天性無歯症と呼ばれる病気があります。現在まで再生治療は出来ず、成長に応じて入れ歯を当てはまる代替治療しかありませんでした。
それが、ついに根本的に治療できる道筋がつけられました。しかも細胞から育てるのではなく、薬の投入で可能になります。
いったいどのようにして歯を生やすのか?
元をたどると2021年の京大・福井大グループによる発見にいきつきます。今でもプレスリリースが残っていますので共有。
発表論文はこちらで閲覧することができます。
ようは、
歯を発育を調節するタンパク質(USAG-1)の活動を抑制することで歯生え薬の道筋をつけた、
という内容です。
人間は乳歯・永久歯の二世代です。(ちなみにワニはそれ以上の世代も生えてくるそうです)今回のターゲットはまず先天性無歯症患者ですが、次は乳歯→永久歯の順に歯が生える薬を開発予定です。
つまり、高齢化や事故等で永久歯を失ってしまった人でも、将来的に入れ歯以外の選択肢が増えるわけですね。
歯は食事を楽しむために意外に重要な存在なので、超高齢化社会の日本では特に需要が増えそうです。
厚生省が定期的に調査している歯科疾患実態調査の最新版(H4年度)を調べてみました。歯を失った人とそれに対する処置に関する年齢別割合の表がありました。
なんとなくは想像してましたが、後期高齢者(75歳〰)になると94%が永久歯を失っています。
もちろん日本だけでなく海外でも同じ構図になると思います。
QOL(生活の質)を高めるためにも、この研究がいち早く実用化(現状は2030年ごろ)されることを願いつつ、日々の歯磨きにいそしみたいと思います。