ナスカの地上絵新発見とAIの貢献
「ナスカの地上絵」は以前から知られた世界規模のミステリーです。
もう発掘し終えたと思いきや、最近さらに新しい絵が見つかりました。
むしろ21世紀になってから発見が加速しており、その1つの貢献がAI(人工知能)です。
今回は、ナスカの地上絵の謎解きとともに紹介してみたいと思います。
まず、今の解析では、ナスカの地上絵は紀元前200年~紀元後800年の今のペルーに存在していたナスカ文化によるものとされています。
初めて地上絵がナスカで発見されたのは、考古学者ポール・コソックによるもので1939年です。
結構近年であることに驚いた方もいるかもしれませんが、背景として、第一次世界大戦で技術が発展した「飛行機」が普及したことにあります。
言い方を変えると、飛行機のような高度で見ないと、専門家も含めて何千年(大体紀元前に制作)も気づけなかったわけですね。
ただ、ナスカの地上絵の発見で最も功績があるといわれてるのは、コソックさんでなく、その助手のマリア・ライヒェさんです。
元々数学者でもあり現地で教師をしていたのですが、コソックさんの話を聞いて実際にナスカの地上絵を見て心を揺さぶられ、結果として生涯ナスカの地上絵の研究に没頭しました。(95歳にナスカで死去)
大きな謎は「なぜ地上絵が創られたのか?」ですが、雨ごい儀式通路説や社会事業説などありますが(オカルト系だとやはり宇宙人説ですが)、今でも有望なのはマリアさんの「天体観測所説」です。
詳細は上記サイトにも記載されてますが、絵の交点が夏至点を示してるなど偶然と思えないほど数学的に一致しています。まさに異分野の専門家が加わることによる分かりやすい新発見の例です。
次の謎がこんな大きな絵(最大で数十km規模)「どうやって作ったのか?」です。これも諸説ありますが、拡大法とよばれる算数の縮尺法であろうというのが現実的な仮説です。
実は、2007年に日本の小学生がこの手法でナスカの地上絵を描くイベントが行われました。ほほえましいですね。
さて、今までに見つかった数ですが投稿時点で大体700点です。
そしてそのうち200以上が21世紀になって見つかっています。
調査範囲の規制緩和もありますが、何よりも大きいのが観測技術の性能向上で、立役者はAIです。
中でも日本の山形大学チームが多大な貢献をしており、2019年に一気に140点以上もの地上を発見したことで話題になりました。
最後にある、「AIで発見した人型の地上絵」が興味深いですね。
具体的にはIBMが開発したアルゴリズムで今主流の深層学習を駆使したものです。下記にその簡単な解説がありますので紹介しておきます。
意外なのは、大きいから見つかりにくかっただけでなく、逆に空中の目視ではとらえられない小さなものもあり、AIの画像認識技術でパターン学習させて見つけたということです。
今後も調査区分の緩和とともに新しい発見が続く可能性は大いにあります。
最後に、1つよくメディアで紹介される地上絵を引用します。
よく見ますよね。実はこの絵はGoogle Earthでも見れます。
私のPC環境での画面キャプチャーを貼ってますので、興味を持った方は試してください。
今年のGoogle開発者発表で、段階的に地図がより精緻に3D化されるそうで、いずれはVRで気軽にナスカの地上絵体験が出来るかもしれません。
そして今後も同じように「過去の謎」を「未来の技術」で取り組む動きは加速しそうで楽しみです。
※タイトル画像のCredit:Roger Canals - Imported from 500px (archived version) by the Archive Team. (detail page), CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=73616106による