NASAの新型X線望遠鏡:ブラックホールと銀河を照らす最新技術の挑戦
宇宙を観測する天文学は、長年「光」を頼りにしてきました。
20世紀後半になってそれに「電波」を使った方式が性能を発揮し、21世紀にはその他の手段も組み合わせた「マルチメッセンジャー天文学」がホットになっています。過去記事を載せておきます。
なかでもか20世紀から既に実績を出しはじめていたのが「X線」の領域です。下記の図でわかるように、高エネルギー領域です。
X線天文学の有名な事例として、史上初めて観測されたブラックホールがあげられます。1964年に発見された「はくちょう座X-1」で、1970年代にブラックホールとして認定されました。
ちなみに、ブラックホールと聞くとレアなイメージがありますが、各銀河に最低1つは存在することが理論的にわかっています。
我々の所属する天の川銀河の中心にも、超巨大級ブラックホールが画像化されて話題になりました。参考までに過去関連投稿を。
その注目のX線観測装置で新しい発明があったので紹介します。
X線(光学)装置の原理は、光学同様情報を集積する方式です。ただ、X線は光の領域よりもエネルギーが強いため、深い(反射面に対して直角に近い)角度で反射すると透過してしまいます。
そのため、X線型は浅い角度で反射する必要があるのですが、その新しいデザインが今回工夫したポイントです。
NASAのMSFC(Marshall Space Flight Center)が開発に成功しました。この組織は、アルテミス計画で地球を出発するロケット(SLS)や、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の開発も担当しています。NASAの中でもエース級の組織ですね。
あいにく実際の新観測装置の画像までは見つかりませんでしたが、イメージでいえば下記をさらに多段階かつ精巧な湾曲を実装した形状のようです。
この新しいX線を通じて期待されているのが、活動銀河核と呼ばれる存在です。この研究によって宇宙の進化が解明されることが期待されてます。
最後にややひいき目ですが、日本ではX線天文学は世界でもトップクラスです。実は初のブラックホール発見に使われたX線観測機器の原理も、日本の研究者によります。
またどこかで日本のX線天文学について触れてみたいと思いますが、まずはこの新たな装置がもたらす発見を待ちましょう。
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