2022年のロケット事情
先日打ち上げ再延期となったH3ロケットは、どうも異常検知が作動して発射中止信号を出していたそうです。
タイトルのある通り、質疑応答への話題も出てますが、ぜひ関係者の方々は異常検知で被害を防いだことはポジティブに受け止めてほしいです。
多分エンジニアの方なら、無事フェールセーフが発動されてむしろほっとしている方もいるのではないでしょうか?(検知できず打ち上げての失敗のほうがつらいと思います)
さて、せっかくロケット話が出たので、2022年全体で見たロケット事情について調べてみました。
下記が時系列推移ですが、この数年急激に増えているのが分かります。
まず、大きなところからですが、世界全体では「2022年全体で186回」で、過去最多を前年(146回)に続き更新しました。
国別ランキングでみると・・・
1.米国:78回
2.中国:64回
でこれだけで全体の約76%を占めています。
続くのが、ロシア(21回)・ニュージーランド(9回)・フランス(6回)・インド(1回)で、残念ながら日本は2022年はゼロでした。
なお、1位の米国は、そのうち61回(78%!)がイーロン・マスク率いるSpaceXによるものです。
それと対照的なのが中国で、こちらはほぼ「長征」と呼ばれる国家主導のロケットです。(民間ロケット開発の動きもありますが純度は不明・・・)
実は2021年は史上初めて中国が米国を抜いて話題になりましたが、それでも前年記録を超えています。(それだけSpaceXがすごいという見方も)
過去にも中国での宇宙開発の歴史は触れたので引用しておきます。
ちょっと細かいですが、上位国の中でニュージーランドが意外に思われるかもしれません。
これは民間のRocket Lab が打ち上げたロケット Electronによるもので、本社はアメリカですが、開発拠点と打ち上げ場所はニュージーランドです。
日本の民間衛星企業もここを使っているところもあります。
関連ですが、ロケットで打ち上げられた人工衛星や宇宙船など宇宙機の数は約 2,510 機で、こちらも過去最多で急上昇中です。(前年は約1,850 回)
こちらも米国が1位で合計 2,097。もはや言わずもがなですがSpaceXの通信衛星Starlinkの影響が大きいです。
次いで中国が184 で 2 位、インドは 52 でロシアと並んで 3 位でした。
個人的にはインドの近年の動向も注目しており、通信衛星で言えば、Softbank(Vision Fund)が最大株主だったOne Webもインド大手通信企業が英国と一緒に株を買い取って最大株主の一人となっています。
やはり日本人としては、2023年は前年繰り越しとなったプロジェクトだけでも何とか成功してほしいです。
H3ロケットもそうですが、実は和歌山県にある民間初の射場からの打ち上げも予定されています。
打ち上げること自体は手段であって目的ではないですが、民間入り混じってのバトルロワイヤル状態となったロケット打ち上げ競争は、今年も熱い火花が飛び交いそうです。