民間宇宙旅行への軌跡と展望
民間宇宙旅行第一号は、条件付きでヴァージンギャラクティック社です。
2021年7月に、創業者リチャード・ブランソン自らが搭乗した初の宇宙旅行が行われました。
「条件付き」と書いた通り、ジェフベゾス率いるブルーオリジンから物言いも入っており、なかなかの泥仕合です。過去のその経緯を書いたので引用にとどめておきます。
以来両社は粛々と次の準備を進めていましたが、ヴァージンギャラクティック社が2回目のフライトを実行するニュースが流れています。
上記記事を踏まえて、簡単に民間宇宙旅行の歴史と今後の展望について触れてみたいと思います。
まず、国家プロジェクトでない民間による宇宙旅行の企画を辿ると、2004年のコンテスト「Ansari XPrize」までさかのぼります。
コンテストの受賞条件は次の通りです。
宇宙空間(高度100 km以上)に到達する
乗員3名(操縦者1名と乗員2名分のバラスト)相当を打ち上げる
2週間以内に同一機体を再使用し、宇宙空間に再度到達する
世界各地で26チームが参戦し、最終的にSpaceship One(企業名はスケールド・コンポジッツ)が初めて実現し1,000 万ドルを獲得しました。
上記Wikipedea内の表彰式にMicrosoft共同創業者ポール・アレンの姿が見えますが、彼も出資しています。
このコンテスト名にもなったAnsari(アニューシャ・アンサリ)も著名な資産家で、彼女自身も2006年に宇宙旅行を経験しています。
(余談ながら当初予定は日本人でそのバックアップ要員で乗船しました)
上記コンテスト後に、同社に対してブランソン率いるヴァージングループが出資して次世代宇宙飛行機SpaceshipTwoの開発が始まります。
これが現在のヴァージンギャラクティック社設立及び2021年に成功した宇宙飛行船につながります。
間がやや空いてますが、2014年の試験飛行中に墜落した死亡事故も発生しており、その2号機が「VSS Unity」と呼ぶ現行機です。
2018年に試験飛行を再開して、米空軍が定める宇宙の定義である高度80kmに到達し、その流れで2021年の初飛行を実現したわけです。
ジェフ・ベゾスの物言いの1つがこの「80km」で、連邦航空局(FAA)によると高度100km以上が宇宙と定義しているのが根拠です。
日本の報道でも、100kmを「カーマンライン」と称して定義づけるケースが多いように感じます。(上記の通り各組織の定義なので正解はないです)
今後の展望ですが、冒頭記事によると「開発中の次世代エンジン次第(同社幹部)」とのことです。
再開時期は2026年を目指しており、現在追加チケットは一人当たり45万ドルで販売しています。
この価格は当初の2倍近くに跳ね上がっていますが、初期から予約して金額を支払ったリストは累積800人(!)います。
そしてライバルであるブルーオリジン社ですが、2022年に無人飛行に失敗してますが(過去記事引用)、2023年の夏に再開する予定です。
途中で触れた宇宙の高度定義ですが、これにこだわらなければ気球で成層圏まで体験するツアーも日本でも提供を開始しており、あのHISも提供開始しています。
旅行者が何をこだわるか次第ですが、いずれにしても旅先の1つに東西南北に加えて上という選択肢が増えるのはワクワクしますね☺
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