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MIT Tech Reviewが選ぶ10大テクノロジー2023年度版(後半)

前回の続きで、残りの5つを紹介します。

6.オンデマンド臓器

なかなか奇妙な言葉に聞こえますが、要は臓器単位であればある程度体外から移植できるようになっていることを指します。

2022年に一番話題になったのは、ブタの臓器の心臓移植に成功したという出来事です。
その方はその後2か月後に亡くなってはいますが失敗したわけではなく、元々死期が迫っていたので延命の効果はあったようです。

この辺りの領域は、元記事では遺伝子編集技術に絞ってますが、これとiPS細胞の組み合わせは個人的には期待したいところです。


7.避けられないEVシフト

これは科学技術というよりも総合的なブレークスルーと言ったほうがよいかもしれません。(元記事では中立的な書き方をしています)

決してEVが嫌いというわけでなく、産業競争力の獲得のために国家または地域で規制を強めており、それが牽引力の1つになっているという見方も出来ます。
上記記事によると、2020年代末には新車販売台数の約30%を占めるまでになるとの予測もあるようです。

単に政治的なまたは商業的な争いが主というわけでも当然なく、科学技術としての進展も影響しています。

以前に、その最大シェアを誇るTeslaについて書きました。

上記で触れている通り、変換機構(コントローラー)や素材で革新的なものが投入されつつあり、それが全体の底上げにも貢献すると思います。


8.ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

これは一番予想がついたトピックです。他の類似誌でも選ばれた記事を引用しておきます。

今でも、上記記事内の目的(ファーストスター、系外惑星の発見)に関する最新成果が発表されており、投稿時点での最新ニュースを1つだけ紹介しておきます。(きりがないので1つだけに)

ようは、
初期銀河に伴星(惑星を回る衛星に相当するもの)を発見し、初期銀河はおもっていたよりも豊かな構造をもつことが分かった、
という話です。

これはこれでどこかで深堀りしたい面白い内容です。

初期銀河(今から80億年前。参考までに我々の太陽は約45億年前に形成)においてすでに水素やヘリウムよりも重い炭素、酸素、窒素などの元素を大量に持っていることが分かり、これは銀河形成の仮説に影響を与えそうです。


9.古代DNAの解析

これも、2022年ノーベル賞で話題になったので、なんとなくはしっくりきます。過去その内容について触れた記事を引用しておきます。

ただ、元記事ではノーベル賞受賞者を直接的に表現するコメントはなく(但し内容は勿論古代DNA解析能力の向上に言及)、個人的に興味を持ったのが、下記の紹介例です。

2022年に、黒死病から40%の確率で生き延びることができるただ1つの変異が特定され、その変異がクローン病などの自己免疫疾患の危険因子でもあることも明らかになった、とのことです。

過去の人類史はいくつか疫病が影響を与えており、今の時代だからこそそれを痛感出来ます。

ぜひ過去の研究から未来への備えに繋がればと思います。


10.バッテリーのリサイクル

ややEVシフトのネタとかぶりますが、スマホで一番使われるリチウム電池のリサイクルが進化している、という内容です。

余り知らなかったのですが、リサイクル技術を引っ張っているのは中国だそうです。
特に、CATLという大手バッテリー企業の子会社がその中心にいます。
他にも、EU(欧州連合)はバッテリーのライフサイクル全体でのリサイクル規制を着々と進めています。


今回選ばれた10個を改めて俯瞰すると、純粋な科学技術というよりは、社会・産業との関係が深くなっている印象を受けます。

要は、科学技術が世の中に対して徐々にその影響度を増していると見る事も出来、一層そのリテラシーが必要になってくるのかなと感じました。

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