なぜ人の指は5本なのか?
手も足も5本で我々は過ごしていますが、なぜ?と聞かれると黙ってしまいます・・・。
そんな5本になった謎を研究した成果が最近発表されました。
ようは、
5本指は、手足の元となる組織内で細胞を増殖させる「SHH」と呼ばれるタンパク質の濃淡によって形成される、
というものです。
ちょっと当初期待値とずれたかもしれませんが、分子レベルでどのように指が形成されるのか、というメカニズムが分かっただけでもすごいことです。
もう少し深堀すると、今回の研究グループは細胞の中で分子を運ぶ「分子モーター」と呼ばれるたんぱく質「KIF3B」を発見したところです。
2019年にKIF3Bに関連する発表もあるので引用しておきます。
あくまで比喩的な表現ですが、分子モーターの名前の通り輸送を担う重要な機能です。
そして今回指を5本に制御する物質がSHH(ソニック・ヘッジホッグ)と呼ばれるたんぱく質で、それを的確な場所に輸送するのがこのKIF3Bという役割分担です。
「ソニック・ヘッジホッグ」とは、過去の発見ストーリーでハリネズミ(ヘッジホッグ)に似た形状をとったこと、そして当時はやっていたゲームキャラ「ソニック・ヘッジホッグ」からとったそうです。
なかなか自由な研究グループですね^^
上記Wikiのリンクで知ったのですが、日本の研究グループで「ピカチュウ」からたんぱく質を名付けた猛者(?)もいますね。好きな語感です☺
話を戻します。
今回分かったのは、SHHだけでなく別のたんぱく質もKIF3Bが指の外縁部にあたる場所に輸送していることが分かり、これもうまく運ばれないと「多指症」として6本指以上で生まれる可能性が出るそうです。
歴史上で有名な人を挙げると、豊臣秀吉です。
ただ、これと豊臣秀吉の立志伝との因果関係は分かりません。
今の医学ですと、治療は可能になっているようです。
今回の研究成果では、あくまで5本指になる形成過程が分子レベルで解明され、ということはそのたんぱく質と発現方法を制御することが出来ると、もしかしたら指の数も制御できそうです。
(書いていてちょっとこわいですが、あくまで科学技術の可能性としてで良しあしは別)
それで、肝心の「ではなぜ5本指なのか?」ですが、色々と公開情報を見る限りでは「結果論」とするのが妥当なようです。
すっきりとはしませんが、進化は論理的な謎解きゲームではないので、それを求めるのは酷かなと思います。
QAサイトのQuoraとかでもやはり同じように疑問を持つ方はいっぱいいますね。(1つだけ引用)
原因はともかく、ふと思ったのですが、5本指になったことで文明レベルで影響は与えたのかなとは想像します。
例えば、日常で10進数を選んだのも両手の数の可能性が高いと思います。
ロマンはともかく、ヒト含めて生物が今の形状になったのは偶発的な要素が多いのかもしれません。
ただ分子発生生物学という分野として、そのメカニズムを理解することは、少なくとも医学治療においては意義がありそうです。
こうなってくると、指以外の人体の形成過程も今後解明が進みそうで興味深いです。
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