広報情報加工のフレームワーク その7
大手マンションメーカー広報15年、地方の小さなPR会社経営16年のPRプランナーが中小企業の広報PRに役立つ情報を発信しています。
■わが社は社会の中でどういう存在か
今回はこのシリーズの最後のフレーム「経営・国際」についてです。
「経営」に関する情報といえば、長期経営計画や新たな事業展開、新規拠点開設、業務提携、新しいビジネスモデル、販売・生産動向などです。
雑誌の日経ビジネスやプレジデントなどのビジネス系雑誌や、日本経済新聞はこうした、企業の経営にまつわる記事が中心になります。
中小企業では、自社の商品やサービスをどんどん情報発信して売り上げアップにつなげたいと思う反面、経営についての情報を進んで開示しようとする経営者は多くありません。
「うちみたいな小さな会社が経営計画や社内の制度を発表してなんの意味があるのか?」と言われる経営者の方もいらっしゃいます。
確かに、大企業や上場企業のように情報開示義務があるわけではありませんし、中小企業の経営情報が社会に直接与える影響は、大企業のそれと比べるとかなり小さいでしょう。
もちろん、発表することで明らかに自社に不利になるような情報を公開する必要はないでしょう。
しかし、広報の目的のひとつが「自社がこの社会の中でどういう存在なのかを理解してもらうこと」であると考えれば、経営にまつわる動きを意図的に外部に知らせる意味がお分かりいただけると思います。
■中小企業の経営がニュースになるには
では、中小企業の経営にまつわる動きをニュースにするためのポイントとは・・・
ひとつは、自社の新しい取り組みを、世相のキーワードと結びつけて説明すること。今この時代、この時期に注目が集まっているキーワードは、「デジタル化」「アフターコロナ」「SDGs」「格差社会」などなど。「当社は社会が抱えるこんな課題に対して、このように向き合っています」といえば、大企業ならずとも人はその取り組みを知りたくなるものです。
二つめは、顧客だけでなくすべてのステークホルダー(利害関係者)に自社のことを理解してもらうことを念頭に置いて進めるということ。経営情報の発信は、記事になったとしても商品の売れ行きに直結するものではありません。業界や取引先、金融機関、行政、学生などに自社の現状と方向性を知ってもらうことで、新規取引情報や資金の提供、自治体からの支援、人材の紹介、入社希望者など、思わぬところから有益な情報がもたらされる可能性が高まる、その呼び水であると考えましょう。
三つめは、必ず経営トップの言葉でなくてはならないということ。経営に関する重要なニュースは、一枚のプレスリリースと広報や総務の一担当者の言葉だけでは足りません。発表資料の中に「トップのコメント」を入れ、取材の際には必ずトップが直接受けて自らの言葉で語ることです。
■国際的な注目キーワードとの関連性を探る
また、「国際」については、中小企業が海外で事業を展開することはもう珍しくありませんが、全体から見るとまだまだ少数派であり、地方の中小企業でありながら海外に視野を広げた取り組みは、やはりその県内や業界ではニュース価値があるといえるでしょう。
特に注目されている東南アジアなどでの新規事業展開は、メディアでも頻繁に特集が組まれていますので、メディアのアンテナに引っ掛かる確率が高いはずです。さたに今でいえば「カーボンニュートラル」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」などの注目キーワードと何らかの関係性が見いだせれば、さらに面白い切り口が生まれてきます。
自社の情報をマスメディアのニュースにするための情報加工のコツを7回に分けてお伝えしてきました。もういちど初めから読み直して復習し、自社の広報に取り入れていただければ幸いです。
この記事を読んで役に立ったと思ったら #スキ 、フォローなどを押していただけたら嬉しいです。
この記事の筆者が書いた本「地方の中小企業が全国ブランドになるための広報PR パブリシティ戦略」 興味があったらクリックしてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4772661239?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?