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既存メディアを信頼しよう

マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを執筆しています。 

1.情報の真偽が判別しにくくなっている

アメリカのトランプ前大統領が、大手メディアの報道を「フェイクニュースだ」とTwitterで非難し続けたことで、「フェイク」「フェイクニュース」という言葉がクローズアップされ、今では誰もが当たり前に知る言葉になりましたね。

情報の真偽や出どころが怪しい「フェイクニュース」はSNSを通じて、真実のニュースよりも早く、広く、拡散すると言われています。

日本でも、雑誌社が大手新聞の捏造記事やテレビ局の報道番組での「ヤラセ」を暴いたり、メディア同士がお互いに報道姿勢を批判し合ったりしている状況を目にすると、社会に広がる情報の真偽がますます判別しにくくなってきたように思います。確かにマスメディアの情報の信用度が以前より低下している感もありますね。

私の周りにも「マスメディアは信用できない」と公言する人も大勢います。

2.新聞・テレビ報道の信頼度は依然として高い

ただ、少なくとも日本の伝統的な新聞社(全国紙、地方紙、通信社)やテレビ局では、報道機関としての行動規範が定められ、記者たちもきちんと教育を受けた上で取材の現場に出ています。

記者たちは正当な取材、公正な報道、情報の中立性、個人情報の保護などあらゆるルールに従って「公共の利益につながる取材・報道を行う」という役割を認識したうえで記事を書いています。誰かの圧力でフェイクニュースやステルスマーケティングにつながる記事を書くことはありません。

「A新聞の論調は右寄り、B新聞は左寄り」などと言われることもありますが、それは会社としてのイデオロギーであり、現場の記者たちはほとんど意識していません。

時に取材が不足していたり、間違った記事が出たりすることもありますが、それでもなお、日本のマスメディアが報じている情報は、単にインターネットで拡散された情報と比べれば格段に信用度が高いといえるんです。

3.「密かなブーム」がマスメディア報道で爆発

情報がネットニュースやSNSの中だけで拡散しているうちは、子供から高齢者まであらゆる人が知っているレベルに達することはありません。「密かなブーム」「静かなブーム」という状況が、あるとき新聞やテレビが報じることで閾値(ティッピングポイント)を超え、一気に庶民レベルにまで到達する大ヒットに結びつくのです。

たとえば、2016年後半に大ブームとなったPPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)。ピコ太郎がYoutubeに動画をアップしたのはその年の8月25日。しかしながら、9月の時点ではまだほとんどの日本人はPPAPを知りませんでした。9月28日に「ピコ太郎のPPAPをジャスティン・ビーバーがTwitterでつぶやいた」というニュースが日本のマスメディアで流れた時点で火が付いたんです。

このように、インターネット情報に端を発する「大ヒット」も「大炎上」も、実はネットの中だけに留まっている間は社会全体の関心事にはなっていません。その状況をマスメディアが報じることで確かな情報となり、老若男女が知るところとなるように、マスメディアはネットの情報を何百倍、何千倍にも拡大する増幅装置でもあるのです。

4.社会から信頼されるにはマスメディアを通じた情報発信を

皆さんの会社でも、「今はネット社会だから、自社WebサイトやSNSを駆使すれば十分情報が行きわたり、マスメディアは必要ない」と思っているのであれば考え直していただきたいです。

単に社名や商品名を知って欲しいだけならSNSやネット広告をうまく活用すればそれなりの認知度を高めることができます。モノを売って儲けたいだけなら、様々な顧客データを基にしたEコマース戦略によって短期的に販売額を伸ばすことができます。

しかし、もっと長期的に、会社の考え方を理解してもらい、社会に信頼してもらいたいなら、マスメディアでの好意的な報道を獲得するのが王道です。それも、一度の報道でブランド価値が飛躍的に高まるものではありません。地道に、何度も、いろんなメディアに取り上げられる実績を積み重ねることで徐々に成果が出ていくものです。

信頼度の高いマスメディアの記事や報道・情報番組の中で紹介してもらうためにはまず、取材する記者たちを信頼してください。良い記事は、企業と記者の信頼関係によって生まれるんです。

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