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研修でのパワハラで人が亡くなったら責任を取るのは誰か

数年前に「企業研修と洗脳」という記事を書いた。

こちらで扱った話がようやく和解になったらしい。

記事を開いて驚いたのだが、遺族と研修を導入した会社、遺族と研修会社、研修を導入した会社と研修会社の間で争いになっているだろうとは思ったが、研修会社→研修を導入した会社でも反訴がなされていた。労災認定したことへの訴訟だそうだ。

確かに、この会社のサイトは事件後サーバーがダウンするほどアクセスが増えていたし、仕事にも相当な影響が出たのは間違いないので、本事件とは心情を切り分けて考えると合理的な訴訟ではある。

研修会社が遺族に支払った額にも驚きがある。ある意味では、研修会社は支払われた研修への対価程度を遺族へ支払ったのみ。示談内容は書かれていないのでわからないが、可能性としては研修発注側が負けている可能性も研修会社が負けている可能性もある。※示談なので厳密には勝ち負けはない

個人的な心情とは別に、多面的な視点を持ちうる立場として書くと、まず、人事は研修を外注する際に研修会社に責任を転嫁しようと思って外注することがある。しかし、この例を見ると転嫁できていない。むしろ、反訴で逆になってしまいかねなかった。これは研修を外注する側としては恐ろしい話だ。中の人が誰なのかわからない無形サービスの購入にはリスクがある。これについては契約などで取り決めるか、そもそも外注せずに内製する力を高めなくてはならない。

研修会社の立場から見てみよう。僕も昨日ロジカルシンキング研修で、参加者のアウトプットに対して数々のフィードバックを行った。言いたいことは多々あったが、最大限配慮したフィードバックをしたつもりだ。ただ、フィードバックの受け止め方は相手次第である。

僕も若い頃はロジカルシンキングに自信があったが、当時の上司から「きみはロジカルシンキングがまるでだめだからこれでも読んだら」と、ロジカルシンキング入門という本を渡されて悔しくて泣いた。別な上司からは資料を読まずにやり直しを指示されたこともある。

このときの僕にはレジリエンスが整っていたのだけれど、そうでなければどうなっていたか。はたまた、研修参加者のレジリエンスまでは把握できない。特にオンラインだと顔もわからない。結果に対して研修会社はどこまでリスクを追うかが定まっていないと研修の提供も難しい時代だ。研修におけるパワハラを抑止するための方法論がいるのではないか。

では遺族ならどうか。示談ということは裁判所では判決を出していないということだ。裁判所はだいたい示談を促してきてシャンシャンとなるものだ。僕の過去の経験もいずれも最後は示談になった。

示談では、弁護士間の調整で額が決まり、どこまで筋が通っているかがその額で分かる。ここについては色々な意見があるだろうし、明確に示されていないので言及を避けるが、遺族の心情はわかる。訴訟というのは無念を金銭的価値に換算する供養である。子供は戻らない。供養できたと感じる額だったか。それは主観的なものなのでわからないが、人は自分の苦しみを高く見積もる生き物だから、満足することはないだろう。ただただ、被害者とその遺族の安寧を願う。

研修提供側も、研修会社も社員も自衛の手段を講じる必要があるのではないか。それがひいては人命を守ることになると思う。

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