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【試行錯誤実況中継】 AIを通して活用できる創作データベースを作ってみる (3)AIに簡単な推論をやらせてみる
アイディア出しの一歩手前の段階として、今回はデータベース相手にAIにいろいろ「推論」してもらうよ。
小説を書きたいけれど一歩を踏み出せない。そんな思いを抱える人は少なくないはず。でも、最新のAI技術を活用すれば、アイデア出しから設定作りまで、創作の悩みを大きく解消できるかもしれません。
本シリーズでは、簡単なデータベース作りから、AIとの対話によるアイディア出し・設定のブラッシュアップ・作文の支援まで、AI時代の新しい創作手法を模索します。これらの記事は下記のマガジンにまとめていくので、ぜひそちらの購読もご検討ください。
前回のおさらい
以前から小説を書いてみたかったものの実現には至らなかった筆者。AIの支援の下、こんどこそ夢を実現するべく、まずは高機能ネタ帳・資料集たる「創作データベース」の制作を目論むのであった。まずはキャラクターとその関係性を扱うデータベースの試作版作成に着手した。
前回記事はこちら:
人間関係データベースでAIと遊んでみる
前回つくってみた人間関係データベース。
graph TD;
桃太郎 -->|家来| 犬;
桃太郎 -->|家来| 雉;
桃太郎 -->|家来| 猿;
桃爺さん -->|義理息子| 桃太郎;
桃婆さん -->|義理息子| 桃太郎;
金太郎 <-->|友人| 桃太郎;
金太郎 -->|家来| 熊;
熊 <-->|ライバル| 犬;
金太郎 -->|恋慕対象| 瓜子姫;
瓜子姫 -->|敵| 天邪鬼;
瓜子姫 -->|嫌悪対象| 金太郎;
瓜子姫 -->|恋慕対象| 桃太郎;
瓜子姫 -->|友人| 機織娘;
鶴爺さん -->|友人| 桃爺さん;
鶴婆さん -->|妹| 桃婆さん;
鶴爺さん -->|義理娘| 機織娘;
鶴婆さん -->|義理娘| 機織娘;
浦島太郎 -->|子孫| 桃爺さん;
浦島太郎 <-->|相思相愛| 乙姫;
機織娘 -->|尊敬対象| 乙姫;
欲張り爺さん -->|憎悪対象| 花咲か爺さん;
花咲か爺さん -->|寵愛対象| 白;
白 -->|弟| 犬;
花咲か爺さん -->|友人| 桃爺さん;
花咲か爺さん -->|友人| 鶴爺さん;
桃太郎 -->|敵| 欲張り爺さん;
金太郎 -->|敵| 欲張り爺さん;
欲張り爺さん -->|利用対象| 天邪鬼;
これを使って少し遊んでみたいと思います。データベースを全文引用しつつ、次のようなプロンプトをChatGPTに投入してみました。
以下の図は、ある昔話の人間関係を示したものです。この情報に基づき、桃太郎の家来を全て挙げてください
返ってきた答えがこちら。
桃太郎の家来は以下の3つです:
犬
雉
猿
`桃太郎 -->|家来| 犬`などとして記述した桃太郎の家来たちを過不足なく列挙してくれました。
もう少し高度な質問に挑戦してみましょう。簡単な「推論」を伴う回答の要求です。プロンプトは以下の通り。
ある人物が危機に陥ったとき、その友人と家来たちはその人物を助けようとします。 桃太郎が危機に陥ったとき立ち上がる可能性のある人物を全て挙げてください。
データベースには「友人」・「家来」という記述があるだけで、助っ人になってくれるなんて記述はありません。回答にたどり着くには「AはBの友人または家来である ⇒ BはAを助ける」といった「推論」が必要です。
返ってきた答えがこちら。
桃太郎が危機に陥ったとき、助けに立ち上がる可能性のある人物は以下の通りです:
犬(家来)
雉(家来)
猿(家来)
金太郎(友人)
桃太郎の家来たちと友人である金太郎が助けに立ち上がる可能性があります。
ChatGPTには簡単すぎる推論だったでしょうか。では、もう少し高度な条件を設定してみるとしましょう。
桃太郎とその友人・家来は協力関係にあります。
協力関係にある人物の友人・家来も協力関係になります。
この法則のもとで、桃太郎と協力関係になりうる人物を全て挙げてください。
返ってきた答えがこちら。
桃太郎と協力関係になりうる人物は、桃太郎自身、友人、家来、そしてそれらの友人・家来を考慮します。この法則のもとで、桃太郎と協力関係になりうる人物は以下の通りです:
桃太郎(本人)
犬(家来)
雉(家来)
猿(家来)
金太郎(友人)
熊(金太郎の家来)
瓜子姫(金太郎の恋慕対象)
機織娘(瓜子姫の友人)
これにより、桃太郎と協力関係になりうる人物は合計8名です。
桃太郎自身を勘定に入れて「合計8名です」はご愛敬ですな。
しかし「友人」としては登録していないはずの「瓜子姫」も桃太郎のために立ち上がってくれるはずとのご神託。
いわれてみるとそうかも。AIのお陰で新しい発見が成し遂げられたぜ!
千里の道も一歩より
今回の「推論」は簡単すぎて、「これなら別に普通に人間がやればよくね?」と思った人もいるかもしれません。しかし、100とか200とかのキャラクターを対象に、4段も5段も推論を重ねなければ解答に至らないような質疑応答も、結局はこうした「簡単な」やりとりの積み重ねです。
英会話だって最初は"This is a pen."から始まります。これはペンかと尋ねられ応答するシチュエーションなど現実世界には滅多にありません。しかし、ナンセンスだといって英会話入門時にThis is a pen.を復唱することもしないのでは、その先の発展は望めないのです。
第3回記事しめくくり
ごく簡単ではありますが、データベースに基づく推論をAIにやらせてみました。人間一人が悶々と考えていてはなかなか結果を出すのが難しい複雑なアイディア出し。これをAIに支援してもらう未来が少し想像できましたね。
次回、データベースをもう少し作り込みましょう。データベースのフォーマットについても検討していきたいと思います。