短編 答え合わせ
京都駅の下に着いた。
彼女が来るまでそわそわしていたが、一時間はあっという間で、エレベーターから降りてきて俺を見た。
ほい。
彼女にマカロンを渡しそして。
「手紙書いたよ。読みたい?」
と見せると笑顔で手紙を抜けとって、嬉しいと答えてた。
でも内容は分かっていない。
だから俺は、今読んでと言った。
何で?って顔をしてたけど、今読んで、感想が聞きたいと少し遠回しに言ってみて、彼女は手紙を読んでいた。
数分待って、彼女は顔を赤くしながら。
「私はどうしたらいい?」
と少し震えながら聞いてきたので。
俺は右手を前に出して。
「よろしくお願いします。」
と言った。
すると彼女はその手を掴んだ。
「こちらこそよろしくお願いします。」
恥ずかしがり屋で、なかなか言いたい事を言えない、そんな、似た物同士が手を取り合った。
そして俺は思わず彼女を抱きしめてしまった。
心から、嬉しい、愛しい、恋しい。
色が全てカラフルに見えた瞬間でもあった。
真っ暗で微かな街灯しかない街なのに、彼女の顔はよく見えたし、今でも、あの赤を忘れることはなかった。
そのまま連れて帰りたかったけど、2人とも実家。
「家帰って落ち着いたら、電話するから、答え合わせしよ?」
と俺は言った。
いつから好きになったのか、いつから恋焦がれたか、自分は言いたくて、聞きたくて、何よりも何よりも、声をずっと聞きたかった。
もう一つ、彼女は驚いたことがあったらしい。
それはマカロン。マカロンしか自分は頼まれていなかったが、買ったお店が彼女が1番好きで、新宿にしか当時はなかったお店を、自分がピンポイントで買って帰ったこと。
こういうのは今でも得意だし、才能だと思う。
きっとあの時、全ては始まった。
背中を押してくれた人もいたし、何より、自分が今でも変わらず自分の好きなところ。
思ったらやらずにはいられないところ。
そのおかげなのか、せいなのか、今がある。
きっとあれほどの恋はもうない。
断言できる。ない。
人を愛することは出来るし、恋はするだろう。
ただ自分は。愛してるの手紙は、もう書かないと思う。
書くとしたら、君だけがいい。