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初期設定の愛 45.また逃げる気?
自分は何者なのか?
それすらわからず、人生を生きてきた。
いつからであろうか、何に対してもそれほど興味がわかない。
どこかで、すべてはつくりもの、嘘っぽい。
はりぼて人生。そんな風に感じていた。
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初期設定の愛【プロローグ】で “筆者の実体験を基にした自伝的エッセイです。” と表現した。
自分の人生の経験を書くということ、その時何を感じたか、今何を思うか。そして、できれば何か少しでも読者の心に届くこと。
(インスピレーションによる抗いがたい衝動により動き出した。)
そう思って書き始めてから、1か月ほどが経過した。
基本的には、古い時代から徐々に今に近づいてきている。
直近の【44.女神のいらだち】は、すでに昨年3月時点のリアルストーリーである。
もう、最近の出来事だ。
自分の人生を書くとは、過去の感情を追体験することのようだ。
そのことが、これほどまでの “とまどい” や “葛藤” をともなうことであること。これほど厳しい修行であることを知らなかった。
非常に激しく傷つく。
書き始めて初めてわかったことだ。
女神との出会い、すれ違い、葛藤、後悔、自分との向き合い、そして再会。ふたたびの後悔。
随分むかしのことも多いが、筆者の特殊能力なのか、特に女神とのことは、ついさっきのことのように追体験できる。感情もリアルに感じる。
私の人生にかかわってくれた友人、家族、同僚部下上司、当時はまるで気がつかなかったことに気がつく。
さりげないやさしさや愛。 “はっと” 気がつくのだ。
自分の鈍感さ、傲慢さ、自己本位さ、駄目さ加減を痛感する。
いつからだろうか、どっぷりと自分の感情に浸ることを、無意識に避けてきたのであろうか。
自己保身、プライド、自分かわいさ、繊細で非常に薄いガラス製の自分の心を守るためだったのだろうか。
事ここに及んでも、エゴと魂の渇望が激しく戦っている。
ここから先、書けるのだろうか。
見えないハードルがある。
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プライド、エゴ、甘さ、そんなものが行く道を阻もうとしている。
どうしても、書ききれないこと。
はるか昔に蓋をしてしまい、忘れることに成功していること。
エゴ意識が改ざんしていること。
夏目漱石のような文豪になりたいわけではない。
ただ、魂の成長のため。
すべての感情、ずるさ、弱さ、とにかく自己のダメさ加減、すべて追体験して表現したい。
ずっと逃げてきた人生なのだ。
魂を震わされた初恋の女神から逃げて、逃げて、逃げ切ってしまった自分。
これがどうしても許せないでいるのだ。人生の筋書、ブループリントなのか? そうかもしれない。
だが、自分の感情、これは自由に感じることができる。
とにかく自分をまだ許せていない。この思いがつきまとう。
「わたしから、また逃げる気?」
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この言葉は、筆者のハートへのダイレクトハードパンチとなった。
あまりにきついパンチなので、【44.女神のいらだち】内では文章化を避けた。
これはいい例だ、無意識で、自分のこころを守ろうとするエゴがでてくる。
本来は記載されるべきセリフだ。
女神の怒りのスイッチが入り、どこか違う方向をむいて、私に怒りをぶつけた。
このセリフがその時の〆の言葉、この言葉だけは、私の目を見つめて、しっかり伝えてくれたのだ。
女神の魂の言葉だ。
50代半ばの初老男子になっても、お前はまだ逃げるのか?
それともここからは立ち向かうのか?
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聖人君主になりたいわけではない。
ただ、裸になり、保身を捨て、すべてをさらけ出したい。かっこつけたくないのだ。ダメでいいじゃないか!
ダメな自分、かっこ悪い自分、これを体現し、そして表現したい。そうすべきなのだ。
46.崩壊 へつづく
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