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伝説を訪ねる鎌倉散歩 Vol.01 -建長寺-
鎌倉市議会議員高橋浩司と巡る、ちょっぴりマニアックな鎌倉散歩。
鎌倉には戦や神社仏閣の建立にまつわる伝説や「天女と五頭龍伝説」、「建長寺の龍神伝説」、「阿部清明の清明石伝説」など知られざる数々の伝説が残っています。
その他にも文学や洋館建築、鎌倉ゆかりの著名人の墓地やパワースポット巡りなど面白いテーマが盛り沢山。『鎌倉散歩』のコーナーでは、私の好きな鎌倉をちょっぴりマニアックに歴史や伝説と共にご紹介します。
初回の今日は「伝説を訪ねる鎌倉散歩 Vol.01 -建長寺-」にお連れいたします。
建長寺とけんちん汁
建長寺に色々ある伝説の中でも、一番有名なのは「けんちん汁」のお話です。
豆腐の買い出しを頼まれた小坊主が豆腐を買って戻る途中、転んでしまって豆腐はぐちゃぐちゃに、それでも和尚さんは怒らず、切る手間が省けたと言いながら汁に入れてできたのが「建長寺汁」。これが後に「けんちん汁」と呼ばれるようになったそうです。
雲水(修行僧)さんの食事は「一汁一菜(ご飯、味噌汁、たくあん)」。肉や魚といった殺生する具材は一切ありません。
でもやはり「けんちん汁」は豚肉入りが美味しいですよね。
あ、それは豚汁か・・・笑
△ 鎌倉五山第一位、建長寺
建長寺を巡る、 ショートストーリーを添えて
建長寺の入口横には、お寺が運営している鎌倉学園があります。
文武両道の校風で野球や駅伝も有名ですが、サザンオールスターズ桑田佳祐さんの母校でもあります。
建長寺は鎌倉五山第一位で、正式名称は巨福山建長興國禅寺といい臨済宗の禅寺です。北条時頼が建立し、創始者は中国宋時代の高僧である蘭渓道隆(ランケイ ドウリュウ)です。
△ 建長寺総門(拝観受付)
門は総門、三門、唐門と大中小の門があります。まずは総門をくぐって500円の拝観料。
受付から三門に向かって進んで行くと左手に「かながわの名木百選」に選ばれた物凄く大きな柏槇があります。いきなりの大迫力で感動もの。
しばし大柏槇と心を通わせたら次は、三門へ。
△ 「かながわの名木百選」に選ばれた柏槇
建長寺の三門に隠された秘密!?
この三門の上には公開されていませんが、宝冠釈迦如来像、十六羅漢像、五百羅漢像が安置してあります。そのため密かに門をくぐるだけで心が清まるといわれています。俗社会の汚れも一気にスッキリ!
ちなみに三門は三解脱門の略で、空・無相・無作の三つを象徴していてあらゆる執着から解き放つことを意味しているそうです。
△ 三解脱門(通称:三門)
ひそかに佇む「国の宝」と地蔵菩薩の別名
三門の右横には、ひそかに佇んでいる国宝の鐘があります。
実はこれが凄い値打ちの鐘で一見の価値あり!
その先に進むと仏殿、法堂と続きます。仏殿には建長寺の本尊、地蔵菩薩が安置されています。
みなさん、地蔵菩薩の別名は閻魔大王なのをご存じですか?
私たちはこの世で亡くなった後、あの世に辿り着くまでに7回の尋問を受け49日間で彼岸に着くといわれています。
お地蔵さんは身近にいて私達の悪行も善行も全て見ています。人が亡くなって毎週関所で尋問を受け、35日目に出て来られるのが閻魔大王。この閻魔大王に嘘をつくと舌を抜かれるという言い伝えは「お地蔵さんが全て見ていたんだよ」、「地蔵菩薩=閻魔大王だから嘘をついてもダメなんだよ。」、「人間正直に生きなさい」と言う戒めでもあります。
天井に現れる龍の爪の秘密!?
仏殿の直ぐ隣に法堂があります。法堂には千手観音と釈迦苦行像が安置されています。
△ 釈迦苦行像
法堂で最も圧巻なのが天井の龍雲図です。これはすばらしいの一言、ぜひ見上げてじっくりと観察してください。
ちょうど写真では見えませんが、龍が玉を持っている爪を見ると5本あります。昔、龍の紋は中国の王様しか使う事を許されておらず、朝鮮王朝では4本爪、日本では3本爪の龍が多く描かれていたそうです。
建長寺の天井画は鎌倉の日本画家、小泉淳作先生が近年描かれたもので爪は5本となっています。円覚寺の天井画、白龍図は確かに爪が3本。両方訪れて比較してみるのもいいかもしれません。
△ 法堂の天井画「雲龍図」
建長寺と「龍神伝説」
ここで、建長寺にまつわるもう一つの伝説「龍神伝説」をご紹介します。
長谷の駕籠かきが江の島まで客を送った帰りのこと。
暗くなった極楽寺切通から海辺へと下ってくると、一人の女性に建長寺まで送って欲しいと頼まれます。ただその女性はびしょ濡れで、駕籠かきは身投げをしそこなった人だと思い、関わり合いになるのを恐れて断りました。しかし、その女性は小判一枚を差し出します。
大金を見せられた駕籠かきは、女性を建長寺まで送ることに。
女性を乗せた駕籠かきはかなりの重さを感じましたが、着物が濡れているせいだろうと思い走り続け、巨福呂坂を越えて建長寺に到着。
山門を抜けて方丈の前まで行くように言われ、言われたとおりに運んで女性を降ろしました。すると女性は、駕籠かきに絶対に後ろを振り返らぬよう言いつけて方丈の庭へと入って行きました。気味が悪くなった駕籠かきは急いで帰ろうとしたその時、後方で大きな水音が…
振り返ってみると水煙のなかに龍の姿。驚いた駕籠かきが和尚に報告すると、和尚は平然として「あれはこの池の主だ。安房国へ行っていたのだが帰ってきたのじゃな」と言いました。駕籠かきが女性からもらった小判を見てみると、それは龍の鱗だったというお話。
龍は仏教の守護神です。
建長寺五世で円覚寺開山の無学祖元は、龍に守られて来日したという伝説も残っています。建長寺の法堂の雲龍図や円覚寺の仏殿の白龍図には「法(教え)の雨を降らす」「火災から護る」という意味もあるそうです。
ちなみに、建長寺の方丈(本堂)は「龍王殿」と呼ばれています。
△ 方丈(本堂)の門、唐門
方丈(本堂)に入る最後の門が唐門です。方丈とはお寺のメインのお堂で住職が住む場所を意味します。裏手には鶴と亀をモチーフにした池のある庭がひろがり、その池に龍神が棲むといわれています。
建長寺を訪れた際には、そんな庭を眺めながらボーっとするのもお勧め!
身も心もリフレッシュしたところで、今回の散歩はここまで。
次回は方丈からさらに奥に進み、河村瑞賢墳墓、半僧坊へとご案内いたします。
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高橋浩司|鎌倉市議会議員のWEBサイト
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