職場でヒールを義務付けていいのか？
ヒールを履くことがフォーマルな女性の服装と見なされてきた背景には、歴史的な要因や文化的な価値観が影響しています。まず、ヒールはもともと男性の乗馬用や権威を示すための靴として発祥しましたが、次第に女性の靴として普及し、足を細く見せたり姿勢を美しく見せたりすることから、ファッションの一部として定着していきました。
また、ヒールが「フォーマル」な場で求められるのは、特定のルールやエチケットが求められる中で「洗練された印象」を与えるためとされているからです。しかし、最近では多様な価値観が広まり、ヒールを履かないことを選ぶ女性や、ドレスコードのあり方に疑問を持つ人も増えています。ヒールを履くかどうかは、個人の快適さや健康の観点からも見直されるべきだという意見も多く、いくつかの国では職場でヒールを義務付けることを禁止する動きもあります。
ただ、「フォーマル=ヒール」という固定観念は少しずつ変わりつつあり、女性のフォーマルな装いが柔軟で多様なスタイルに向かっているのは確かですね。
ヒールの義務づけを禁止する動きについて詳しく。
ヒールの義務づけを禁止する動きは、特にカナダやイギリスなどで注目されています。これらの国々では、ヒールを義務づけることで女性が身体的な負担を強いられることが問題視され、職場における性別役割の押し付けとして批判されています。
カナダ
ブリティッシュ・コロンビア州は2017年、職場でヒールを義務づけることを禁止しました。この州では、ヒールの強制が労働者の健康と安全に対するリスクと見なされ、性別による差別とされました。ヒールは滑りやすさや足首のけが、腰痛などの原因となるため、ヒール義務が労働環境にふさわしくないと判断されたのです。
イギリス
2016年、ロンドンの女性が企業でヒールを履くことを求められたことに異議を唱え、30万人以上の署名が集まりました。このケースはメディアでも大きく取り上げられ、イギリス議会が対応に乗り出すきっかけとなりました。その結果、イギリス政府はヒール義務を禁止する方向での調査を開始し、企業にドレスコードにおいて性別差別を避けるよう呼びかける報告書を出しています。
その他の国や国際的な動き
他の国々でも、性別を理由に特定の服装を強制することについて見直しが進んでいます。国際労働機関（ILO）や各国の労働団体も、服装規定における性差別の撤廃を推進しています。企業内で女性がヒールを履かなくてもよいようにしたり、選択肢としてフラットシューズを認めたりする動きが、特にグローバル企業を中心に広がりつつあります。
こうした禁止や見直しの動きは、働きやすい環境を整えるだけでなく、性別によって不平等な期待を課すことの見直しにつながっています。
日本でもヒールの義務づけに疑問を感じます。
国を動かすにはどうしたら良い？
日本でも、ヒールの義務づけに対する疑問や抗議の声は徐々に強まってきています。例えば、2019年には「#KuToo」というムーブメントが話題になり、労働環境や社会の固定観念に対して意見を集めました。このようなムーブメントの影響で、一部の企業が柔軟な服装規定を導入するなど、変化が生まれつつあります。
国を動かすためにできる具体的なステップは、以下のようなものがあります。
1. 署名活動やソーシャルメディアでの発信
署名活動は、社会的な関心を高めるために非常に効果的です。2019年の#KuToo運動のように、SNSやオンライン署名プラットフォームを活用して賛同者を増やし、問題に対する共感を広めていくことが大切です。集まった声が大きくなると、政治家やメディアも注目しやすくなります。
2. 労働組合や人権団体と連携
労働組合や人権団体に協力を依頼し、働く環境や安全に配慮した服装の見直しを推進してもらうことも有効です。特に労働安全や健康被害のリスクを訴えれば、労働基準監督署などが介入しやすくなります。
3. 議員への働きかけや政策提言
署名活動をもとに議員に相談するのも、制度の見直しに向けて有効な方法です。女性の労働環境や職場での平等について関心のある議員に対し、ヒールの義務づけが性差別や健康問題を生んでいるという実情を伝え、国会で取り上げてもらうよう働きかけることも大切です。
4. 調査結果やデータを示す
職場でのヒール着用がどのように健康に影響するのか、心理的な負担があるのかなど、実態を調査してデータとして公表することも有効です。データは説得力があるため、メディアや政策決定者が問題を深刻に受け止めるきっかけになることが多いです。
5. メディアでの啓発活動
メディアでの特集記事やインタビューを通して、社会的な意識を高めることも重要です。自分自身が声を上げることで、同じように感じている人々が勇気をもって共感を示しやすくなり、ムーブメントが広がります。
6. 企業にも柔軟なルールの導入を促す
国を動かす一方で、個々の企業が柔軟なドレスコードを導入することも重要です。ヒールを義務づけない企業が増えると、社会全体で「ヒールは必ずしもフォーマルの条件ではない」という考え方が定着しやすくなります。
日本でも、時間はかかるかもしれませんが、これらのアクションによって社会の意識や制度が変わっていく可能性があります。
ヒールが体に与える影響は？
ヒールは見た目やファッション性がある一方で、体にさまざまな影響を与えます。以下のような影響があり、特に長時間の着用は健康リスクを高めることがあります。
1. 足の健康への影響
• 外反母趾：ヒールが高いと体重がつま先に集中しやすく、指が圧迫されるため、外反母趾のリスクが高まります。
• タコやマメ：つま先部分が狭いヒールは足指の圧迫を引き起こし、タコやマメができやすくなります。
• 足底筋膜炎：足裏の筋肉や靭帯に負担がかかり、痛みや炎症が起こることがあります。
2. 脚や膝への影響
• 膝の痛み：高いヒールを履くと膝関節にかかる圧力が増し、膝に負担がかかります。これが続くと関節痛や変形性関節症のリスクが高まることもあります。
• ふくらはぎの緊張：ヒールを履くことでふくらはぎの筋肉が収縮し続け、緊張状態が続きます。長期的にはふくらはぎが硬くなりやすくなります。
3. 姿勢や腰への影響
• 腰痛：ヒールを履くと骨盤が前に傾きやすく、腰に負担がかかります。その結果、腰痛が起こることがあります。
• 姿勢の変化：ヒールが高いと重心が前方に移動し、姿勢が不安定になりやすいです。無理な姿勢を取ることで腰や背中に負担がかかることがあります。
4. バランスや転倒のリスク
• ヒールは不安定な靴底であるため、特に高いヒールの場合はバランスを取りにくくなり、転倒や捻挫のリスクが増えます。
5. 血流への影響
• むくみ：ヒールを履くとふくらはぎの筋肉が収縮し続け、血流が悪くなりがちです。これにより足や脚のむくみが生じやすくなります。
健康リスクを抑えるためには、適度な高さのヒールを選ぶことや、ヒールの使用頻度を減らし、履いた後はストレッチやマッサージを行って筋肉をほぐすことが有効です。また、インソールを使用したり、足に負担の少ないデザインの靴を選ぶことで、体への負担を軽減することができます。
もちろん、自分で選んで履くヒールは良いのだ。
ピンヒールを履きたいこともあるだろう。
私は腰痛持ちの為、ヒールは苦痛である。
ひどい外反母趾友人が、「もう職業病だよね。」と諦めていたが、ヒール義務が無ければ、ヒールなしのパンプスにするだろう。
ヒールの角度によって足が前に押し出されやすくなり、ストッキングを履いていると滑りやすくなるため、つま先に体重が集中して痛みを感じやすくなるのだ。もちろん、何か起きてもスニーカーの様に走って逃げることは出来ない。
紳士用には革靴風スニーカーが販売され、売れているのだ。男性もスニーカータイプを求めている人が一定数いるのは、やはり革靴にはそれなりのストレスがあるからだろう。
女性のヒールはもっとストレスになり得ることは考えるに容易い。
職場でヒールを義務付けているのは、おかしいのではないだろうか？
健康を害する可能性が多分にたり、実際悩んでいる人も多い。どうして、体に支障をきたすようなことを職場で義務付けられるのか不思議で仕方がない。
#KuToo を応援している！！
「安全配慮義務」は、雇用者が労働者の健康や安全を守るために必要な配慮を行う法的義務のことです。これは主に労働契約法や民法、労働安全衛生法などに基づいています。この義務の背景には、労働者が職場で安全に働き続けられるように、雇用者が責任を持って職場環境を整え、労働者を守る必要があるという考え方があります。
具体的には以下のような内容が含まれます：
1. 物理的な安全の確保
• 危険物・危険機器の管理：危険な機械や有害な物質を取り扱う職場では、適切な管理・点検や設備の導入を行い、事故が起こらないように対策を講じる必要があります。
• 作業環境の整備：作業場所が過度に寒すぎたり暑すぎたり、照明が不足しているなどの環境面のリスクにも配慮し、健康被害を防ぐための設備や改善策を講じます。
2. 労働時間や労働負荷の管理
• 長時間労働の抑制：過剰な労働時間は心身の健康に悪影響を及ぼすため、労働基準法などに基づき、長時間労働を回避し、適切な休息時間を確保する必要があります。
• 負荷の軽減：無理な作業量や高い精神的負荷をかけないようにすることも重要です。特に、過度のプレッシャーやストレスを与える業務環境は、精神的な健康リスクを引き起こす可能性があります。
3. メンタルヘルスケアの推進
• パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの防止：職場でのハラスメントは労働者の心理的な健康を大きく損なうため、雇用者はこうした行為が起こらないよう教育や指導を行う責任があります。
• 相談体制の整備：メンタルヘルス不調のサインが見られる労働者には、相談や支援を行う体制を整えることが求められています。
4. 安全教育と訓練
• 労働者に対して安全に関する教育や訓練を行うことも、雇用者の責任です。これにより、労働者自身がリスクを理解し、回避する行動をとれるようにすることが目的です。
5. 事故発生時の対応
• 万が一事故や災害が発生した場合、迅速な対応が求められます。また、再発防止のための原因調査や再発防止策を講じることも雇用者の義務です。
安全配慮義務違反のリスク
安全配慮義務を怠った場合、雇用者は労働者に対して責任を負い、損害賠償を求められる可能性があります。裁判などでは、業務内容や雇用者の対応、過失の度合いなどが審査され、安全配慮義務違反が認められると損害賠償が命じられることもあります。
少しづつ変わってきているかもしれない。
ヒール着用規定を見直す会社が出てきている。とても素晴らしい。
中学生の頃、冬の夕方、制服のスカートが寒すぎて、ジャージをスカートの下の履いて、スカートから出ないように上にまくって履いて帰ろうとしたら見つかって、体育の女教員にこめかみを殴られたことがあった。
昔は、規則を守らせる為に体罰があった。なんだったのだろう。
制服は女子はスカート一択。男子がズボンの下にジャージを履いて暖かそうなのが羨ましかった。
小学校までは私服で雪が降れば当然暖かい格好が出来たのに、中学校になったら、雪が降ってもスカートで辛かった。
今は、女子もズボンが選べる様になって良かったと思う。
パンプスのヒール強要も、そのうち、なんだったのだろうとなるのかな。