人の言葉は死ぬほど響かない。

私には、私を囲む2つの壁がある。
1つは家の壁。それは私と社会とを隔ててくれる。家を出てスイッチオンの私は社会に媚びへつらいながら、ぎこちなく口角を持ち上げて、作り笑顔で生きている。
玄関を開けて木造のその内側に戻ると、そこには何一つ飾りのない素の私。録画した先週のドラマを横目に、携帯でSNSを眺めて生きている。

もう1つの壁は、私という魂を覆っている骨、神経、皮膚といった、私の体。両親や弟、親友も、まだ誰もその内側には来たことがない。私と世界を隔てている壁。

私は、私の体から子どもの私が捨て去られるとき、
その人は初めて私の2つの壁を取っ払い、私の魂のもとにやって来て、そして私を理解してくれると思っていた。

そう、思っていた。

ふと目が覚めた。まだ暗い。枕元の携帯をつけると、時刻は深夜2時だった。隣で眠っているその人を見て、大人になった19の私は、改めて自身の孤独を知ったのだった。

(あとがき)
5月も下旬に入り、暑さを意識せざることも多くなってきました。私は風邪を引いてしまい、退屈だったので短文を書いてみました。どうか皆様、体調にはお気をつけて。

(文:ケビン 5/21 追記)

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