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小磯通信
2019年1月2日 22:52
校庭には桜が咲いて、陽気な風が髪をなびかせながら、彼女は生まれた。平凡な日常と移り変わる季節、その中でとめどなく沸き溢れる感情を叫んでいた。ほの温かい太陽に照らされて、その表情は誰よりも輝いていた。雨はすっかりあがって、強すぎる日射しが風鈴を少し鳴らす。彼女は階段をかけ上がっていた。汗ばんだ背中にぴったりとくっついたTシャツが、全く気にならないほど軽やかな足取りに、満面の笑みで。蝉の声が鳴り