=AKANE=　第十二話　同じ目標

樋口「ちょっとボール打うつから付つき合あってくれよ」

と、言いわれて広場ひろばの方ほうへ行いき彼かれとコート一面分いちめんぶんほどの距離きょりをとり構かまえた。

そして彼かれがフォアハンドで打うったボールを私わたしは返かえした。

それをまた彼かれが返かえして、を繰くり返かえしラリーをしているうちに徐々じょじょに彼かれのボールが重おもく感かんじ返かえすのに精一杯せいいっぱいになってきた。

さすがに男子だんしの打うつ球たまは違ちがう。

ただ私わたしも負まけず嫌ぎらいなので打うち負まけないように必死ひっしで返かえした。

何回なんかいラリーが続つづいただろうか、

私わたしはミスショットをしてエッジで弾はじいたボールは大おおきな放物線ほうぶつせんを描えがいて彼かれのもとへ返かえっていった。

彼かれは左手ひだりてでそのボールをキャッチしてゆっくり私わたしの方ほうへ歩あゆみ寄よってきた。

樋口「お前まえ、割わりと筋すじいいじゃん」

茜「え、そうかな……？」

樋口「頑張がんばればレギュラーとかいけんじゃね？」

茜「うん、そりゃやるんだったらレギュラーは獲とりたいよ！」

樋口「お前まえいつからやってんの？」

茜「高校こうこうからだよ、中学ちゅうがくはバレー部ぶだったから」

樋口「え、そうなのか？始はじめて一ヶ月いっかげつや二ヶ月にかげつでそれだけ打うてりゃ十分じゅうぶんだろ」

と、珍めずしく彼かれから話はなしをしてくれたかと思おもったら私わたしのことを褒ほめてくれた。

樋口「本気ほんきだったら真剣しんけんに練習付れんしゅうつき合あってやるよ！」

茜「え、いいの？樋口くんの邪魔じゃまに……」

と、言いいかける私わたしの言葉ことばを遮さえぎり…

樋口「新人戦しんじんせん優勝ゆうしょうすっぞ！！」

と、急きゅうに熱あつくなった彼かれの大おおきな声こえに私わたしは驚おどろき…

茜「えー！！」

と、言いうと彼かれは…

樋口「大丈夫だいじょうぶ！中学ちゅうがくの部活ぶかつはほとんどがソフトだからスクールとかに行いってなきゃ硬式こうしきは経験けいけんがないはず」

茜「そっか…」

樋口「7月がつの大会たいかいなら目指めざせばいけるぞ！オレももちろん優勝狙ゆうしょうねらう！だから……一緒いっしょに頑張がんばろうぜ！」

と、彼かれに言いわれ私わたしは…

茜「うん♪」

と、応こたえた。

同おなじ目標もくひょうが出来できたのも嬉うれしかったが、彼かれのあんな表情ひょうじょうが見みれたのが何なによりも私わたしの心こころには響ひびいた。

それからは部活ぶかつでも冬優花を誘さそい居残いのこり練習れんしゅうに付つき合あってもらい練習量れんしゅうりょうを増ふやした。

そして期末試験きまつしけんも終おわりいよいよ新人戦しんじんせんが始はじまった。

第十三話へつづく…

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