読書感想短文(四)町田康「俺の文章修行」
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「おれの文章修行」読了。
しかし要所で笑つてしまつてそれまで読んだ内容が頭の中から飛んでゆく、と云ふやうな事が屡々あつたので再読してゐる。
町田ファンならば、ある程度作品をとほして無意識に吸収してゐる部分もあるだらうが、「半畳」「時代錯誤」「国訛」等々、名付けて明確化してある分、ものを書く時に意識して使ひやすい。
しかしこの本で技法よりも大切なのは、やはり書くと云ふ事に対する姿勢、自分と向き合ふ覚悟をどうするか、であらう。
文章を書くと云ふ事は糸クズから始まる斬り合ひである。読む・書くと云ふ事は白刃が翻る如く表裏一体の現象でなければならないのである。
読んでゐない者には解らないと思ふが、即ち、シャッポーが廻ると云ふ事である。
私は名もなき素人文士である。だからこそ廻さねばならない。シャッポーを。
シャッポーを廻せ。