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古池ねじです。
古池ねじです。一応商業出版している小説家なのですが、色んなジャンルをふらふらしているので「どういう書き手なのか」まとめておきたいと思います。
デビュー作「木崎夫婦ものがたり」(2018年)
もともと趣味でだらだらと書いていた「日当たりのいい家」というウェブ小説を書籍化してもらいました。どのぐらいだらだら書いていたかというと、一日三行をノルマにして、完成までに三年かかりました。自分でもよくそんな書き方で完成したなあ、と思います。
著名な小説家の父を亡くしたばかりの小説家のゆすらと、その夫で専業主夫の木崎、そしてゆすらの幼馴染で小説家の崇の話です。
わりとじめじめとしているというか、おいしいご飯を食べてほっこり、というより、基本暗くて、おいしいご飯を食べて、ちょっと元気になって、すぐまた落ち込む、みたいな話です。しかし暗いばかりでもなく救いもある話だと思います。
デビュー作にはその作家の全てがある、みたいな説がありますが、私は何故だか死んだ人の影響下にある家に住む人の話が異様に好きなので、非常に自分らしい話だなあ、と思います。あと生活の話が好きです。人は出来事というより生活によって救われると思ってるので…。
好き勝手書いたのでちょっとライト文芸にしては癖が強く戸惑った方もいらしたようですが、好きな方は本当にお好きなようで、今でもときおり熱い感想をいただきます。
紙の本は在庫が切れていますが、電子書籍はあります。KindleUnlimitedとブックウォーカーの読み放題に時々入っています。
「京都烏丸のいつもの焼き菓子」(2020年)
富士見L文庫からの書下ろしです。しゅっとしたイケメン店長と可愛らしい女性店員さんがいる京都の小さな焼き菓子屋さんが舞台。連作短編で、一作ごとに主人公が変わります。
パッケージはライト文芸らしい作品で美味しいお菓子がいっぱい出てきますが、なんとなく我が強いというか、結構刺々しいところもあるなと今にしてみれば思います。
ヴィンクラー先生、というドイツ人教授が、自分で書いといてなんですがめちゃくちゃ好きです。この人の教え子が主人公の「こわれやすい家」という短編が我ながらとてもお気に入りです。
この本は本当に書くのが大変だったのですが、ライト文芸らしさと古池ねじの個性(って何かは一言で言えませんが…)がぶつかりあっていて、いい本になったなと思っています。「ドーナツ屋の夜のつれづれ」と、ほんのちょっとだけ関わりもあります。
2022年R18文学賞友近賞受賞「いい人じゃない」
https://www.shinchosha.co.jp/r18/
短編です。性格の悪い話を書くのが得意なのか、「イヤミスとか向いてると思う」とよく言われるのですが、イヤミスっぽさのある一般文芸です。
シングルマザーが主人公の女同士の話で、ちょっと女性同士のロマンスの雰囲気もあります。
実は友達に「〇〇〇はよくないよって話を書いて」と言われて、「無理だよ!」と思いつつもふと思いついて書きました。「よくないよ」って話しでは全然ないのですが……。
短編なので、十日ぐらいで書いて応募した記憶があります。たまにそういうことができます。友達はとても気に入ってくれました。
2023年note創作大賞入選「殺人小説の書き方」
推理小説が好きなので書いてみました。推理作家が小説のために殺人を犯す…という話です。これも女同士の話です。
めちゃくちゃ性格の悪い女の子が主人公で、色々と尖った話なのですが、すごーくすごーく好き、と言ってくれる方が多いです。私もすごく気に入っています。
推理小説好きなのに書けない、と思っていたのですが、これが書けて、ある程度評価していただけたことで「推理小説も書けるんじゃない!?」という気分になっています。
「重なりあって恋になる」(2020年)
Kindleの個人出版のBL小説です。かなり下品で性的描写が多いのですが、自分の傷と向き合っていくお話です。このがつっとした、しつこいぐらいの心理描写があまりにも私だな、と思います。恋愛小説を書くと、「恋愛とは…何だ!?」みたいな話に、なってしまう……。
投稿サイトで発表して、そのあとKindleの個人出版をしました。かなり読まれたのですがものすごく売れた、というわけではないのですが、なぜか台湾の春光出版からお声がけをいただき中国語繁体字版が商業出版されています。
「ドーナツ屋の夜のつれづれ」(2024年)
富士見L文庫から刊行された商業三作目です。書下ろし。
素敵なキャラクターとおいしいお菓子と居心地のいい雰囲気の優しい話を目指しました。関西弁のチャラチャラしたイケメンの大男と可愛い生真面目な男の子のコンビです。華やかなレンさんが人気になってほしいな、と思ったのですが、案外優しい信也くんに言及してくれる方が多かったです。
普段の私はわりとしつこく心理描写をしてしまうのですが、この作品ではあえて控えました。その代わりに、出来事で心理描写をしよう、という目論見です。結構うまくいったかな…と個人的には思っています。
「身代わりの贄はみなそこで愛される」(2025年)
マイクロマガジン社のことのは文庫からもうすぐ発売です。
実は縦読みコミックの企画用に…と考えた設定なので、「自分が書くんじゃないし…」という気持ちで考えたために普段の私が書くものよりもだいぶ思い切りがいい?話しです。いきなり主人公が殺される。
でもこの主人公の宵が追いやられる苦境(妹が生贄として死ぬ運命なのはお前のせいだと責任を押し付けられて虐げられていたのに結局自分が殺されてしまう)って、なんか、すごく私っぽいな……と思います。性格の悪さが……。
可哀想な女の子が優しい神様に救われる話なのですが、すぐに恋愛に行くのではなく愛玩動物として大切に可愛がられて、そこから恋愛になる感じです。商業ではあまり恋愛は書いてこなかったのですが、この二人はかなり正統派にラブロマンスしてるな!と思っています。
ウェブで最後まで書いたのですが、ちょっと話を大きくしすぎたりと色々問題があったので大改稿をしたのですが、編集さんのお力添えもあって、すごくよくなったな…と自分でも感動しました。赫天、という子供の姿の神様の出番がすごく増えていて、私はこの子?がかなりお気に入りです。
店舗限定の特典ポストカード(美麗!!!)があったり、後日談のSSを書いたり、初めての経験をさせていただきとても嬉しいです。わくわく。
これはウェブ版。ストーリーが途中から全然違ってます。
その他
他にも色々やっています。
BOOTHではBLの同人誌を売っていますし、同人誌のアンソロジーとかも時々参加しています。文学フリマや、J.GARDENというイベントにも参加することが多いです。
今後も色々やっていきたいです。よろしくお願いします。
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