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第105椀 中濃の豆味噌で麻婆豆腐鍋

初出:2023年12月9日

<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから

「お味噌汁復活委員会」は、味噌汁の大切さをあらためて発信していこうと、2014年夏にFacebookページにてスタートしました。世話人、お味噌汁復活ライター、一般読者が思い思いの味噌汁を投稿しています。

味噌汁の出汁・味噌・具材を、それぞれに深く楽しく考え広め、毎日の食卓に味噌汁をいただく習慣を復活させるべく、活動の場を広げています。

私コイタは第1期からお味噌汁復活ライターをさせていただいております。ここでは私の書いた記事をまとめて紹介しています。

テーマ:お味噌諸国漫遊

「中濃の豆味噌で麻婆豆腐鍋」

江戸時代まで岐阜県は上半分を飛騨、下半分を美濃と言ってましたが、現在も地域区分するのに使っています。そして美濃の真ん中あたりを中濃と呼んでるんですけども、その中濃にある美濃加茂市の味噌醤油屋さんと大変懇意にさせていただいてまして、今回はそのお店の一番人気商品であります「豆味噌」について少し書かせていただきます。

「豆味噌」とは、大豆に直接麹菌をつけ、塩水とまぜ合わせて作るお味噌のことです。地域によって、多少米や麦が加わっていることもあります。

八丁味噌に代表される愛知県の「豆味噌」の多くはすり潰してから桶に仕込むのですが、中濃あたりでは潰さずに豆粒のまま仕込む方法があります。郡上のお味噌はこれで「たまり 」もとることが多くて、かなり緩く(水分を多く)仕込んでいるようですが、ここの蔵では最初から普通のお味噌くらいの硬さで仕込んでいます。そしてしっかり豆粒が残ったままで、一見するとあんこみたいです。一般的な豆味噌より渋みは感じないので、そのままでも、お味噌汁でも、漬け床でもどんな使い方にもできます。

実際のところ地元の家庭でどうやってお味噌汁にしているか聞きましたら、味噌こしやすり鉢で潰して入れているそうです。自分は豆粒が残ったままでも面白いのでそのまま使うことが多いです。

家で麻婆豆腐のような鍋をすることがありますが、そんな時に豆味噌を使うのがぴったりなんですよねぇ。麻婆豆腐と言っても、鍋の具にひき肉と多めの豆腐が入っているというだけのものですが、、、、。

作り方などと言うほどのものではありませんが、鍋にごま油をひいて豚ひき肉を炒めましたら、そこに昆布出汁、豆味噌、酒、みりんと、豆腐にお好みの野菜を入れて煮込んだら出来上がりです。めっちゃ簡単です。

一般的に味噌は煮えばなと言って、仕上げにいれることが多いと思いますが、豆味噌は煮込んでも風味が変わりませんので最初から。豆腐も「す」が入るのが悪いことのように言われることも多いかと思いますが、自分は「こも豆腐(水切した豆腐を藁つと(こも)で包んで固く茹で上げた岐阜県の郷土料理。だいたい甘辛い煮物にする)」のような「す」が入った方がむしろ好きなので、これも最初から入れて煮込んでいます。

ちなみに我が家は辛いのが苦手ですので、鍋自体は辛味はなしで作って、各自唐辛子などで調味していますが、より麻婆豆腐っぽくというのなら豆板醤などをお好みで。鍋のしめにはご飯を加えたおじやが最強ですよー。

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「中濃の豆味噌で麻婆豆腐鍋」

出汁:昆布水、酒、みりん
具材:木綿豆腐、豚ひき肉、ゴボウ、ハクサイ、コマツナ、長ネギ
薬味:自家製三味(唐辛子、山椒、陳皮)
味噌:中濃の豆味噌


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