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ギリシャへの旅 3 〜北部 屈指のワイン産地 ナウサへ〜
ナウサへ
テッサロニキで1日半過ごし、到着から3日目の朝。
この日からいよいよ今回の旅の真の目的地である、ギリシャ屈指の赤ワイン産地「ナウサ」へ。
朝8時にホテルのチェックアウトを済ませてロビーに集合。ナウサの協会の方と通訳の方とご挨拶をした後、車へと乗り込みます。
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舞台はテッサロニキからナウサへ。
ツアーメンバーも5名となり、ますます賑やかな旅に。ギリシャ在住15年の日本人通訳の方からも車内で色々とお話しを伺うことができ、とても有意義な時間となりました。
1時間を超える長い移動時間も、ギリシャの美しい街並みや風景を眺めながらであれば、決して長くは感じません。
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今回の旅では4日間で11のワイナリーを訪問予定。これまでの経験から考えてもかなりハードなスケジュールとなりそうですが、その反面、ここまできたのだからできる限りのことを吸収し、日本で多くの方に伝え続けていかなければという使命感も高まってきます。
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無二のブドウ品種「クシノマヴロ」の特徴とは
ナウサを代表するブドウ品種「Xino Mavro クシノマヴロ」は、この土地の固有品種であり、他国だけでなく、ギリシャ国内でさえも他ではほとんど見かけることのない北ギリシャの土着品種。「Xino」は「酸」で「Mavro」は「黒」という意味を持つ。
ラズベリーレッドの色調を帯びる傾向があり、しっかりとした酸味とタンニン(渋み)が骨格を形成し、長期熟成能力の高いワインとなる。
香りはラズベリーやブルーベリー、干しプラム等のドライフルーツ、ブラックオリーブやクローヴのようなニュアンスになる傾向がありますが、ワインによって華やかさがあるものからよりスパイシーなタイプまで幅広い。
味わいの大きな特徴として、タンニンが豊富なことから、樽での長期間の熟成を経てからリリースされるものも多く、それにより緻密で溶け込んだタンニンへと変化しつつ、香りにはドライフルーツやリコリス、キノコのようなニュアンスも加わり、非常に複雑性を帯びた、独特のスタイルとして完成する。
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樽熟成の考え方
各ワイナリーでは醸造設備や熟成庫もしっかりと見学。詳しい解説も伺うことができました。
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樽での熟成については、各ワイナリーでさまざまな考え方があります。
特にフレンチオークとアメリカンオーク、そして樽の大きさや種類、トーストの強弱や使用年数による考え方の違いが興味深い。
ただし、なるべくワイン自体に樽の風味をつけすぎないように、新樽の使用を避け、数年間使った古樽を使うこと。酸化熟成を促す一方で、あくまでもブドウ本来の風味を活かしたいという考え方は、多くの生産者に共通していました。
そしてイタリアとはまた違い、大樽ではなく、フレンチオークの小さめの樽を使用する生産者が多い傾向にあります。
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王のワインを想起する赤
ナウサに到着してから2日目が終了。ここまでで5生産者を訪問することで、クシノマヴロの赤ワインであっても生産者ごとの哲学の違いが明確にあり、それがワインの個性にはっきりと現れていることを再認識。
そしてクシノマヴロの白ワインとロゼワインも素晴らしく、地元で採れるプラムとの相性も抜群です。
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固有品種クシノマヴロから造られる赤ワインは、時にイタリアの王のワイン「バローロ」にも形容されることがあるほど。
バローロのスタイルをシンプルに表現するとすれば、ドライフルーツや薔薇、ブラックオリーブ、シガー、トリュフのようなさまざまな香りが感じられ、複雑性があり、緻密で豊かたタンニンと酸味が骨格を形成し、複雑で豊かな風味を持ち、長い余韻が続く。
熟成した良年の2013年ヴィンテージのクシノマヴロの赤ワインをテイスティングさせていただきましたが、まさにそれを彷彿とさせるものがありながら、この土地にしかない個性も感じることができました。
そして、明日からの2日間もワイナリー巡りはまだまだ続いていきます。これまでの印象を覆す、また新たな発見が待っているのかと思うととても楽しみです。
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*続く
最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂