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法と慣習の変革

昨年九月より、国民民主党のフライヤー配布のボランティアに参加しているが、ポストへフライヤーを投函する際、表札にそれぞれ別の姓を表記している家庭が多数存在している事に気付いた。統計的なデータがあるのかは定かでないが、法的には未だ認められていないが、事実上、夫婦別姓で暮らしている方が私の住まう足立区にも至って普通に存在しているようである。
男女平等に関して自民党政権下においても様々な法が制定されてはいるが、実質的には平等と言うにはほど遠い状況であり、ジェンダーに基づく差別の撤廃に当たってはそれらの阻害要因を徹底的に取り除く必要があると私は考える。表札への別姓の表記は、法整備が遅れている状況の中で、性差別撤廃に関して二十世紀前半の旧弊を固持する与党自民党へ追従することなく、別姓をまずは慣例・慣習の中で認めさせようとする、市民による政治的抵抗の表れであると感じている。社会慣習が市民の不断の努力によって変容し、法改正によって慣例・慣習が変わるのではなく、逆に、法制度がそれらに追い付く必要がある状況を作り出した事は、市民の勝利と呼んでも過言ではない。
選択的夫婦別姓の導入のみならず、これまで前例がないという事のみを理由に、女性天皇を認めない天皇制についても、女性天皇の即位が可能となるよう改革が必要であると私は考える。現行憲法において日本国の国民統合の象徴とされている天皇に、男性以外が即位できない事は、日本社会における女性進出の妨げの「象徴」と呼ばざるを得ない。前例踏襲を繰り返し思考停止を引き起こすのではなく、事実上の立憲君主制国家として、日本国が二十一世紀の世界史を耐え抜く柔軟性と機動力を持つには、これまでタブーとさえされてきた「天皇」なるものが変化する事を決して拒絶すべきではない。

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