強い興味・関心主導の日本語習得
この記事はごく簡潔に書きます。
1.表現活動の日本語教育と強い興味・関心主導の日本語習得
先に書いた表現活動の日本語教育における日本語習得の仕方(記事:日本語を「教える」ことの70-8-%は…)は、いわば「整えた形で教育を企画して実践する」というパラダイムでの日本語習得の仕方となります。それとは、大きく異なって、強い興味・関心主導の日本語習得とそれを促進する日本語教育というのも「ITが進んだ現在」では実行可能です。
その方法は、その名の通り、日本関係のいろいろな事象(アニメ、Jポップ、食べ物や料理、武道、各地への旅行、東京・京都やその他の町、など)にひじょうに強い興味があり、それ及びそれ関係のことを日本語で直接みたい、読みたい、聞きたい、話したいなどの関心と意欲がひじょうに強く、その強い興味・関心を原動力として、学生自身でITを活用して、日本関係の事象に自力で入っていって、そこで使われている日本語を「つまみ食い」的にあれやこれや取ってきて、自分の言語のレパートリーの一部にして、それをどんどん拡充していくという仕方で日本語力を伸ばしていく方法です。
2.興味・関心主導の日本語習得を支援する日本語教育
特別に才知のある学生は、そのような日本語習得を自力で進めることができます。しかし、一般的には、才知のある教師によるうまい「誘導のメニュー」を用意する必要があるでしょう。
日本語の場合は、特殊な文字という、テクストを扱う上での「障壁」がいきなり出てきます。その「障壁」にいかにストラテジックに対応するかは才知のある教師の腕の見せどころです。「ストラテジックに」というのは、その「障壁」に正面からぶつかって何とかしようとするのではなく、「中期的なスパンで結果を出せるように工夫して」のような意味です。
で、そうした文字の障壁のことを当面は「見ない」こととして、「誘導のメニュー」のごく一部のみ書いてみると。学生は英語話者とします。
こんな家庭学習課題をさせた上で、クラスでは、グループで、あるいは全体で「楽しいシェアリング」をすることで、日本語の「つまみ食い」をうまい具合に促進します。
日本フリークの学生たちを相手にする場合は、こんな方法もあり得ます。アメリカの大学などではそのような発想に基づく教育実践が以前からいろいろ行われています。くろしお出版の『とびら』のシリーズはけっこうそういう発想を採り入れています。最近では、パーデューの畑佐一味さんの『めしあがれ』の実践などもあります。畑佐さんの実践は上級段階ですが。(https://www.amazon.co.jp/-/en/畑佐-一味/dp/4874248624/ref=sr_1_2?crid=109SK6C4N5N6D&keywords=畑佐一味&qid=1657155421&s=books&sprefix=畑佐一味%2Cstripbooks%2C247&sr=1-2)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?