タルトの分類についての短い考察 [ショートショート]
フルーツタルトの切れ端を皿に置き、彼女はその表面をじっと見つめた。表面はキウイやイチゴ、ブルーベリーといった鮮やかな果物で覆われている。透明なゼリーがその表面を艶やかにコーティングし、キラキラと光を反射していた。視線を近づけると、ゼリーの下にあるカスタードがほんのりと黄色く、甘い香りを漂わせているのがわかる。
「分類というのは、こういったものにも当てはまるのだろうか」と彼女は呟いた。フルーツタルトは、デザートの分類において果たしてどこに属するのだろうか。タルトと言っても、ベリー系のものやトロピカルフルーツを用いたもの、そして焼き加減によっても変わる。これを「フルーツタルト」と一括りにするのは、少々雑な気もする。
例えば、焼かれたアーモンドクリームの上にフルーツを並べたものと、今日彼女が食べている生のカスタードクリームをベースにしたものは、味わいも食感も異なる。食べる際に得られる体験そのものが違うのだ。デザートの分類にはどのような基準があるのだろう。味、見た目、材料、作り方――。彼女はフォークを持ち直し、タルトの端を軽く切って口に運んだ。甘さと酸味、カスタードの滑らかさ、サクサクとしたタルト生地の感触が、彼女の思考を一瞬中断させた。
食べ終わった後、彼女は少しの間考え込んだ。分類というのは、人が理解しやすくするための手段だが、どうにも無理があることもあるのではないか。何事も単純に括れるものではない。彼女はその思いを胸に、タルトの空いた皿を見つめながら、デザートにもまた、個性があるのだと感じた。
「ハイライトだけで全てを表すことは難しいのね」とつぶやいた。
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