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第26回「クレイジー関連本 いろいろあるよいろいろね」

クレイジーキャッツ関連本は数多く出版されており私の書棚も一杯になっていますが、今回はその主なものを紹介したいと思います。
「ハナ肇とクレージーキャッツ物語」1985年10月、山下勝利著、朝日新聞社
週間朝日の連載が本になりました。


○結成35周年記念「クレージーキャッツ55ー90」1990年6月、編集アドリブ、発行清水弘文堂
ヒット曲35曲の楽譜も掲載されています。

「ジ・オフィシャル クレージーキャッツ・グラフィティ」1993年6月、発行トレヴィル
アート性の高いお洒落な内容で全400ページ。植木等さんが亡くなった後、追悼で増補版が出ました。

この本の中で私も日本一平というペンネームで次のようなコラムを掲載しています。
「クレージー、植木等のファッションについて〜植木等はやはり日本一の色男」
クレージーキャッツといえば、何といっても白いスーツに白い靴、黒のリボンタイという彼らのユニフォームを思い出す。シンプルにして洗練され、まさにミュージシャンとしての彼らのスマートさが前面に押出されたユニフォームであり、これを着たメンバー全員がクレージー・リズムに乗ってさっそうと登場してくるだけで映画やステージは熱気と興奮に包まれた感じになる。
グループとしての活動後期には、赤いシングルのブレザー、濃紺のダブルのブレザーなどをユニフォームとして使っていたが、著者の個人的意見を言わせてもらえば、やはりクレージーには白のスーツに黒のリボンタイが一番ピッタリする。近い将来、メンバー全員がこのユニフォームで勢揃いする日を全国のクレージー・ファンと共に期待したい。
メンバーの中で、植木等のファッションにスポットを当てると、最も強烈な印象を受けたのは、一連の東宝無責任映画の中における背広姿である。植木等扮する主人公が当時としては非常に奇抜なライト・ブラウンやライト・ブルー、ライト・グリーン等の派手な背広姿で縦横無尽の大活躍をするわけだが、こうした背広を着て現れても不思議と違和感がない。その当時、背広の最もよく似合うタレントとして植木等が堂々第1位に輝いたことがあるのも、なるほどとうなずける。日本に、人から笑われるコメディアンは数多いが、人を笑わせかつ出てきただけでスーパー・スターの雰囲気を漂わせ、カッコ良さを感じさせるコメディアンは植木等をおいて他にいない、と言っても決して言いすぎではないと思う。
ついでに言うと、植木等の素晴らしいところは、こうしたカッコ良さの対極とも言うべきステテコおじさんの格好(ステテコ、毛糸の腹巻、カンカン帽に下駄履き、丸メガネにチョビひげ)がこれまたよく似合い、しかも決して品が悪くならないという点である。
クレージーがグループ活動を休止し、植木等が個人活動に移ってからは、年相応の渋い役を演じるようになったため、ダンディな植木等をみることのできる機会がほとんどなくなっていた。それはそれで、まったく自然に普通の中高年を演じることのできる植木等の幅の広さを改めて感じさせられたが、やはり筆者にとってはカッコいい植木等を見たいという思いが日に日に高まっていた。
そこへ、「いやあお待たせお待たせ」とも言うべき絶妙のタイミングで登場したのが「スーダラ伝説」である。それ以後の展開は、改めて詳しく述べるまでもないだろう。
ファッションを見ても、紅白歌合戦のシックなタキシード姿、ゴールデン・アロー賞話題賞受賞式で大地真央から花束をもらった時のグレン・チェックの上着、篠山紀信の写真で週刊朝日の表紙を飾ったスーツ・ワイシャツ全てエンジ色のトータル・ファッションと、まさにカッコいい植木等が戻ってきた。考えてみれば、この30年間体型がほとんど変わらず、昭和元年生まれという年齢を感じさせないほど表情が輝いているのは、驚異的ですらあり、日頃の目に見えない努力の賜だろう。
それにしても、初の全国縦断ソロ・コンサートのラストで、自ら作詞した「星に願いを」を万感を込めて歌っていた植木等の黒いタキシード姿のよく似合うこと、思わず「ヨッ!!日本一の色男!!」と声をかけたくなったのは、筆者一人ではないだろう。

映画、テレビ、音楽、それぞれの分野でのクレイジーキャッツの活躍を掘り下げた本も出ています。
「クレージー映画大全」1997年7月、佐藤利明・町田心乱・鈴木啓之編、フィルムアート社

「植木等ショー!クレージーTV大全」2010年11月、佐藤利明編著、洋泉社

「クレイジー音楽大全」2018年9月、佐藤利明著、シンコーミュージック・エンタテイメント
筆者が月1回出演している四国放送ラジオ「日曜懐メロ大全集」に娯楽映画研究家・音楽プロデューサーの佐藤利明さんがゲストで出られた時、「映画、テレビの次は音楽でクレイジーの大全出してほしい」という私のリクエストに佐藤さんが応えてくれました。「次は、クレイジーの究極の大全を是非」という要望を出させてもらっています。クレイジーの舞台とか数多く出演したCMでの活躍などがさらに紹介されればと思いますが…

「テレビの黄金時代」1983年5月、小林信彦責任編集、キネマ旬報別冊

「シャボン玉ホリデー〜スターダストを、もう一度」1995年2月、五歩一勇編著、日本テレビ放送網
日テレディレクターの五歩一さんが伝説のバラエティ番組「シャボン玉ホリデー」の魅力を臨場感あふれる筆致で紹介しています。

「映画が夢を語れたとき〜みんな"若大将"だった。"クレージー"だった。」1997年7月、田波靖男著、広美出版事業部
若大将やクレージー映画の脚本家、田波さんが皆んなに夢を与えた娯楽映画の素晴らしさを語っています。

「クレイジーキャッツの時代」2024年2月、ユリイカ2月号、青土社
文学、思想などを広く扱う芸術総合誌がクレイジーキャッツを特集しています。

植木等さんに関する本も、いろいろ出ています。
「植木等伝"わかっちゃいるけど、やめられない!"」2007年12月、戸井十月著、小学館
作家・ルポライターの戸井さんが植木等さんにインタビュー、週間ポストに連載したものが本になりました。

「植木等と昭和の時代」2017年3月、別冊宝島、宝島社

「今だから!植木等」2022年1月、高田雅彦著、アルファベータブックス
東宝&日本映画研究家の高田さんによる植木等愛に溢れた本。高田さんはバンドを組んで、ライブハウスなどでクレイジーソングをレパートリーにしています。

「決定版 日本の喜劇人」2021年5月、小林信彦著、新潮社


「植木等と藤山寛美〜喜劇人とその時代」1992年3月、小林信彦著、新潮社

「植木等のみなさんおそろいで」1992年9月、植木等デラックス編、ファンハウス
TBS系列で放送されたトークバラエティ番組「植木等デラックス」で、植木さんが様々な仲間の芸能人と対談した内容が本になりました。

「夢を食い続けた男」1984年4月、植木等・北島清泰著、朝日新聞社
植木さんが破天荒ながら、平和と平等のために闘ったお父様について語っています。

「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝 植木等」2007年8月、日本放送出版協会
NHK教育テレビで放送された内容が本になりました。

「しっかり母さんとぐうたら息子の人生論」1985年7月、岩波書店
随筆家でもあり、個性的な演技の名脇役女優として知られる沢村貞子さん植木等さんの対談です。

クレイジーキャッツのリーダーハナ肇さんの本を紹介します。
「あっと驚くリーダー論〜ハナ肇のガキ大将バンザイ!」1985年秋、ハナ肇著、主婦と生活社
個性あふれるクレイジーキャッツのメンバーを見事にまとめたハナさんのグループ・組織リーダー論です。

「ハナ肇を追いかけて」2020年1月、西松優著、文芸社
映画俳優としてのハナさんの魅力にスポットを当てた本です。

「幸せだったね、ハナちゃん」1994年9月、野々山葉子著、扶桑社
ハナさんの奥様がハナさんを偲び、在りし日の思い出を綴っています。

「病室のシャボン玉ホリデー〜ハナ肇、最期の29日間」2008年2月、なべおさみ著、文藝春秋
元付き人のなべさんが、ハナさんの闘病生活にずっと付き添って見聞きした、激しくも哀しく、友人たちに愛された最期の日々の模様です。

谷啓さんはじめ他のクレイジーキャッツメンバーも、桜井センリさんを除いてそれぞれ本を出しています。
「ふたつの月」1989年11月、谷啓著、日之出出版
谷啓さんのエッセイで、独特の感性が光ります。

「七人のネコとトロンボーン」1995年10月、谷啓著、読売新聞社
谷啓さんの面白エピソード満載です。

「谷啓 笑いのツボ、人生のツボ」2011年2月、喰始著、小学館
放送作家の喰始さんと谷さんの対談です。

「飄々として訥々(ひょうひょうとしてとつとつ)〜クレージーが青春、いまも青春」1994年10月、犬塚弘著、労働旬報社

「最後のクレイジー 犬塚弘〜ホンダラ一代、ここにあり」2013年6月、犬塚弘・佐藤利明著、講談社
佐藤さんが犬塚さんにインタビューして本にまとめられました。

「エータローの海」1994年、石橋エータロー著、廣済堂出版
健康上の理由から途中でクレイジーキャッツを脱退し、料理研究家となった石橋さんのエッセイです。石橋さんのお店「三漁洞」(渋谷)は、今も奥様がしっかりと守っておられます。

「ボクはガンに勝った」1995年、安田伸著、廣済堂出版
闘病生活を乗り越えた安田さんが、支えとなってくれた奥様の竹越美代子さん(美容体操家)への感謝の気持ちを込めた本です。

植木等さんの付き人を経てコメディアンとして活躍した小松政夫さんは、多くの本を出しておられますが、「おやじさん」と呼んで慕った植木さんのことは常に取り上げています。その中の2冊を紹介します
「のぼせもんやけん2」2007年12月、小松政夫著、竹書房
前作の昭和30年代横浜セールスマン時代のことに続き、このパート2では植木さんの付き人時代のことを書いています。

「昭和と師弟愛〜植木等と歩いた43年」2017年9月、小松政夫著、KADOKAWA

放送作家、作詞家としてクレイジーキャッツを世に出した青島幸男さんもクレイジーとの関わりを本にしています。
「蒼天に翔る」1982年5月、青島幸男著、新潮社
直木賞受賞作品「人間万事塞翁が丙午」に続く長編小説第2弾。自らの青春とおかしな仲間たちをユーモラスに描いています。

「わかっちゃいるけど…シャボン玉の頃」1988年9月、青島幸男著、文藝春秋

テレビの植木等ショーなどで植木さんとコンビを組んだ元TBSプロデューサーの砂田実さんも、次の本の中で植木さんとの関わりを大きく取り上げています。
「気楽な稼業ときたもんだ」2010年12月、砂田実著、無双舎

この他にも多くの方がいろいろな本でクレイジーキャッツや植木等さんのことを取り上げています。興味のある方は是非、本を読んでいただければと思います。今回の内容がクレイジーキャッツを愛する方々の少しでも参考になれば幸いです。
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