田村耕一

田村耕一

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第29回「洗練された最高のショー番組 シャボン玉ホリデー」

1961年6月から1972年10月までの全591回、日曜夜18時半から19時まで日本テレビ系列で放送された伝説の番組が「シャボン玉ホリデー」です。レギュラー出演者は、ザ・ピーナッツとハナ肇とクレイジーキャッツ。布施明さんや中尾ミエさん、伊東ゆかりさん、園まりさん、ザ・タイガース、小松政夫さん、なべおさみさんなど渡辺プロダクションのタレントをはじめ多くの人気歌手、タレントが出演しました。当初、「ピーナッツ・ホリデー」という番組名を予定していましたが、スポンサーが牛乳石鹸1社に決

    • 第28回「楽しかった東宝映画2本立て 後編」

      東宝クレイジー映画後半の15作品と併映作品をご紹介します。当時は、併映作品との組み合わせが映画を観る楽しみの一つでもありました。 ◯1966年10月29日封切 「クレージー大作戦」(監督古澤憲吾)「喜劇・駅前競馬」(監督佐伯幸三) 植木等さんをはじめクレイジーキャッツのメンバー七人が犯罪のプロに扮し、チームワークでギャングから現金10億円を奪う大作戦を遂行するというアクション・コメディー。前年封切られてヒットしたイタリア映画「黄金の七人」を彷彿とさせる内容です。 ◯1967

      • 第27回「楽しかった東宝映画2本立て 前編」

        今でこそ、シネコン等で見る映画は1本立てですが、私が青少年の頃、昭和の時代は、映画会社ごとの専用映画館で2本立てでした。1962年から1971年まで続いた東宝クレイジー映画30本も基本2本立て、併映作品を見るのも大きな楽しみでした。そんな2本立てを紹介します。 ◯1962年7月29日封切 「ニッボン無責任時代」(監督古澤憲吾)「喜劇・駅前温泉」(監督久松静児) 人情喜劇として人気のあった駅前シリーズに全く新しいスタイルの喜劇を組み合わせ。予想をはるかに上回る大ヒットとなりま

        • 第26回「クレイジー関連本 いろいろあるよいろいろね」

          クレイジーキャッツ関連本は数多く出版されており私の書棚も一杯になっていますが、今回はその主なものを紹介したいと思います。 ◯「ハナ肇とクレージーキャッツ物語」1985年10月、山下勝利著、朝日新聞社 週間朝日の連載が本になりました。 ○結成35周年記念「クレージーキャッツ55ー90」1990年6月、編集アドリブ、発行清水弘文堂 ヒット曲35曲の楽譜も掲載されています。 ◯「ジ・オフィシャル クレージーキャッツ・グラフィティ」1993年6月、発行トレヴィル アート性の高いお

          第25回「夏に聴きたい!植木さん、谷さんの平成の名盤」

          1970年代以降、クレイジーキャッツのメンバーは個々の俳優活動などが中心になっていましたが、平成に入ってから植木等さんは「スーダラ伝説」「スーダラ外伝」など次々とCDアルバムをリリース。スチャラダパーのアルバムに参加するなど若手のミュージシャンとの共演機会を増やしていた谷啓さんもソロアルバムを発表しました。その中から、夏聴くのに最適なお二人のCDアルバムを紹介します。 ○「植木等的音楽」(1995年7月発売、ファンハウス) アルバムをプロデュースした大瀧詠一さんは、解説で次の

          第25回「夏に聴きたい!植木さん、谷さんの平成の名盤」

          第24回「日劇や宝塚劇場を沸かせたクレイジーキャッツ」

          クレイジーキャッツは、映画、テレビ、音楽、舞台というエンターテイメント全ての分野で活躍した稀有な存在ですが、今回は舞台での魅力について紹介したいと思います。 私が初めてクレイジーの舞台を見たのは、1965年(昭和40年)前後、小学生か中学生の頃だったと思いますが、広島県立体育館でクレイジーのショーが開催されることになり、東芝の電気製品を一定額以上購入した人が観覧できるというシステムで、母親にせがみ、切符を入手した記憶があります。シャボン玉ホリデーなどのテレビや映画でよく見てい

          第24回「日劇や宝塚劇場を沸かせたクレイジーキャッツ」

          第23回「平成にブレイクした植木等コンサート」

          1991年(平成3年)の今日、6月10日、全国縦断してきた「植木等 ザ・コンサート"いろいろあるよいろいろね」のラストステージが、東京NHKホールで開催されました。 パンフレットの中で、志村けんさんは、植木さんに次のような言葉を贈っています。 「ウンジャラゲ」の時はいろいろお世話になりました(植木さんのヒット曲を志村さんがカバーしています)。それにしてもあなたはどういう人ですか。64歳でレコードは吹き込む、紅白歌合戦には出場する、はたまたコンサートはやってしまう。植木等ブー

          第23回「平成にブレイクした植木等コンサート」

          第22回「クレイジーのラプソディ・イン・ブルー」

          今年2024年は、アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュウィンがピアノ独奏と管弦楽のために作曲した「ラプソディ・イン・ブルー」がニューヨークで初演されて100周年にあたります。 この曲は、ジャズとクラシックが見事に融合した作品として、今も高い人気を誇っていますが、私は、この曲を聴くと、1967年12月28日に放映された、「植木等ショー24回"われもし指揮者なりせば"」(TBS系)でのクレイジーキャッツの演奏を思い出します。 「植木等ショー」(TBS系毎週木曜日21時〜21時半)

          第22回「クレイジーのラプソディ・イン・ブルー」

          第21回「GWはマフィアも黙った超大作"クレージー黄金作戦"を」

          いよいよゴールデンウイーク(黄金週間)が始まりましたが、4月末から5月初めにかけての大型連休を黄金週間と名付けたのは、集客目的を狙った映画会社と言われています。 1967年4月29日、黄金週間に合わせ東宝創立35周年記念映画として、当時としては珍しい一本立て、上映時間2時間37分、製作費1億8千万円という破格のスケールで封切られたのが「クレージー黄金作戦」です。 脚本家の田波靖男さんの著作、「映画が、夢を語れたとき〜みんな若大将だった、クレージーだった」(広美出版事業部)には

          第21回「GWはマフィアも黙った超大作"クレージー黄金作戦"を」

          第20回「山田洋次監督とクレイジーキャッツ後編」

          1966年、「なつかしい風来坊」でブルーリボン賞の主演男優賞、監督賞を受賞した後も、ハナ肇さん、山田洋次監督コンビの作品は続きます。 1967年の「喜劇 一発勝負」は、夏目漱石の「坊ちゃん」と落語の「山崎屋」をヒントに作られた作品で、ハナさん扮する家出した老舗旅館の放蕩息子が十数年後に帰郷、温泉掘削という起死回生の一発勝負を図るが、娘に反抗され、親不孝の因果は巡るという話。 この作品のヒットで「一発シリーズ」がスタート。1968年には「ハナ肇の一発大冒険」が公開されました。

          第20回「山田洋次監督とクレイジーキャッツ後編」

          第19回「山田洋次監督とクレイジーキャッツ 前編」

          現役の日本を代表する監督と言えば、山田洋次監督をあげる方も多いと思います。「男はつらいよ」をはじめ数々の名作を送り出し、92歳の今も活躍を続けておられますが、喜劇の監督として山田洋次監督が脚光を浴びたのは、ハナ肇さんと組んだ数々の作品がスタートです。 1961年に「二階の他人」で監督デビュー、1963年に倍賞千恵子さん主演の「下町の太陽」を撮った山田監督に、監督第3作として藤原審爾さん原作の「庭にひともと白木蓮」をクレイジーキャッツのリーダーハナ肇さんを主演にどうかとの提案が

          第19回「山田洋次監督とクレイジーキャッツ 前編」

          第18回 「1960年代東宝のドル箱だったクレイジー映画」

          1962年から1971年まで続いた東宝クレイジー映画は30本で、その一つ一つに笑ったり、落ち込んだ気分を救ってもらったり、植木等さんのような有言実行の大人になりたいと思ったり、とにかく見終わった後、爽快な気分にさせてくれました。東宝クレイジー映画の詳細は、娯楽映画研究家・音楽プロデューサーとして活躍の佐藤利明さんたちが編集した「クレージー映画大全 無責任グラフィティ」(フィルムアート社)で紹介されています。 東宝クレイジー映画は1962年7月末に封切られた「ニッボン無責任時

          第18回 「1960年代東宝のドル箱だったクレイジー映画」

          第17回「谷啓が誘う美の壺」

          先日、NHKのアーカイブで谷啓さんが、ジャズにのめり込むきっかけとなったデュークエリントン楽団演奏の「りんごの木の下で」のレコードを探してアメリカを訪ねる番組が放送されました。 谷啓さんはクレイジーキャッツでトロンボーンを担当、クレイジーに入る前から「スイングジャーナル」誌などのトロンボーン奏者人気投票で常に上位にランクされる一流のジャズマンです。中央大学在籍時から日劇などに出演、舞台と舞台の合間に、気になっていた大学の月謝を払おうと駿河台まで飛んで行ったが、月謝を納める学

          第17回「谷啓が誘う美の壺」

          第16回「紅白歌合戦と新春かくし芸大会」

          2024年は能登地震、日航機炎上というショッキングな出来事で平穏な日常生活の大切さを実感する波乱の幕開けとなりました。 テレビ全盛の頃、昭和の穏やかな年末年始には国民的番組と言われる番組がありました。このいずれにもクレイジーキャッツは関わっていました。 年末の番組は、今でも続いている「紅白歌合戦」(NHK)。最高視聴率は1963年の81.4%。 植木等さんの「スーダラ節」は1961年8月に発売され、大人から子供まで社会現象となるほどの大ヒットとなりましたが、その年の紅白にはお

          第16回「紅白歌合戦と新春かくし芸大会」

          第15回「布施明とクレイジーキャッツ」

          2023年12月16日、神戸国際会館こくさいホールで開催された「布施明コンサート 刹那の夢がたり」を鑑賞、会場は老若男女で満員、12月18日で76歳になるとは思えないパワフルな歌声に魅了され、元気をもらいました。 布施明さんは1965年にクレイジーキャッツと同じ渡辺プロダクションから歌手デビュー、渡辺プロ制作の人気音楽バラエティ番組「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ系)にもたびたび出演し、次々とヒット曲を連発しました。 阿川佐和子さん司会の「サワコの朝」に2018年に出演さ

          第15回「布施明とクレイジーキャッツ」

          第14回「ハナ肇邸での忘年会」

          師走に入り、忘年会の季節になりましたが、私には忘れられない忘年会の思い出があります。 1970年代以降クレイジーキャッツは個々の活動が中心になっていましたが、もともとジャズマンのハナ肇さんは、1985年55歳の時、音楽への強い気持ちから、「ハナ肇とオーバー・ザ・レインボー」というジャズバンドを結成しました。メンバーは、ハナさんがリーダーでドラムを担当、ピアノに宮川泰さん、テナーサックスに稲垣次郎さん、トロンボーンに谷啓さんなど錚々たるメンバーばかりです。その時の気持ちを著書の

          第14回「ハナ肇邸での忘年会」