『真面目なエッセイ』「星の王子さま」の星はどこ?<今日は何の日?>
『星の王子さま』の星ってどこ?
僕にとって、これは結構長きに渡る問題だった。
何の話だって?
そう、6月29日はかのサン・テグジュペリの生誕日で、箱根の「星の王子さまミュージアム」がオープンした日だそう。(ミュージアムは昨年惜しまれながら閉園しました。)
6月29日は記念日だらけ!
調べてみると、この日はいろんな出来事で満ち溢れている。例えばこんな具合。
「長篠の合戦」は最近ではいろいろ異議があって、名称とか場所とか戦法とか鉄砲とか割烹とかポウポウとか。再検証も行われているようで。ホントはなかったんじゃね? なんて声まで・・・ま、歴史なんてそんなもんだろう。新発見があるたびに書き換えられてゆく。でもそうなると、教科書はもちろん、歴史小説を書く方も大変だ。大化の改新はあったのかなかったのか、聖徳太子は実在したのか、頼朝はどんな顔だったのか。こんなスピードで新たな発見があった日には、今日書いたものを翌日には修正しなくてはならない、なんてことも。
瀧廉太郎は、僕などが中途半端なことを書くわけにはいかない。「荒城の月」はあんまり好きじゃないし。
動揺、じゃなくて(ほら、慣れないことを書こうとするから変換まで動揺してしまふ)、童謡とか小学唱歌については結構縁があって、高校がかの三木露風とゆかりがあったもので、「赤とんぼ」はよく歌った、というか歌わされた。と言っても三木露風がいたのは1年のときだけだから、僕と変わらない。そのせいか、そこを舞台にした『寅次郎夕焼け小焼け』はシリーズの中ではパッとしなかった(ジョークですもちろん)。
誕生日の人はもっと多くて、井川遥さん、パパイヤ鈴木さん、橋下徹さん、プリンセステンコーさん、松本志のぶさん、・・・さん、・・さん、さん、サンサンサンのサン◯◯◯!(ローカルネタです、気にしないで)。まるで6月29日はなんかあるんじゃないかっていうくらい。それともこの日に生まれると有名になるのか? ぜひ検証していただきたいですね、誕生日占いの方に。
『星の王子さま』原題は「Le Petit Prince(小さな王子さま)」
そもそも『星の王子さま』という訳はだれ? とおもったのは、「青空文庫」では『あのときの王子くん』になってるから。
あのときの王子くん、って・・・アントキノイノキの親戚か? そんな続編あったっけ? と、本気で考えてしまった。
「NHK100分de名著」で『星の王子さま』の解説をされた北九州市立大の名誉教授、水本弘文先生によると、フランス文学者の内藤濯氏が初めてこれを翻訳された1953年に、内容から『星の王子さま』にされたのだとか。言い得て妙、というか、素晴らしいとおもう。
翻訳ってのも大変で(と、やったことがあるみたいに言うが全くの門外漢だ)、訳によって作品の印象ががらりと変わってしまうのはご存知のとおり。読む人によって考え方も違うのでどれとは言わないけれど、ある有名な作品など、その作者の第一の研究者による訳でありながら、僕は3回挑戦して3回とも挫折した。詩とかになるともっと難しいだろう。その意味では『星の王子さま』も哲学的というか、初めて翻訳されたときは結構悩まれたことだろうというのは想像に難くない。
『星の王子さま』の星は小惑星ナントカらしい、というのはあんときの・・・じゃない、『あのときの王子くん』に書いてあった。家一軒よりやや大きめ、というのは『星の王子さま』を読んで知っていた。でも、例えば田山花袋あたりが想像する家一軒とテグジュペリがイメージした家一軒とは広さが違うだろう。まして喜多條忠だと三畳一間だし、ハハ。
星の名前や広さはまあいい。問題だったのは、それがどのあたりにあるのかということ。
中学生の頃天体望遠鏡を持っていて、少しは星に興味があった。『星の王子さま』を読んで気になったのはそんなところからだ。今でも解決したわけではないけれど、いつからか、特に気にすることもなくなった。前にも書いたように、実際に見える星の数が減ったこともあるかもしれない。星のことは気にしなくなったけれど、ときどき通る県道の先にゾウを飲み込んだウワバミにそっくりな形の山があって、あれは実はそれなんじゃないか、とふとおもったりする、なんてことはあったりなかったり。
6月29日は「星の王子さまの日」。
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wal_172619による/Pixabayからの画像