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「テクノロジー×投票×納税」で変革する地域のクアドラティックな未来。民主主義リノベーションに向けた2つのツールと提案。


まえがき「資本主義、民主主義、テクノロジーの課題」

資本主義の暴走とそれを抑制するべき立ち位置にある民主主義の衰退が叫ばれて久しい。

資本主義は富の創出と経済発展に大きく貢献してきたが、その一方で格差の拡大や環境破壊など、深刻な問題も生み出している。企業は利潤最大化を追求し、時に倫理を無視した行動に走ることがあることは否定できない。このような資本主義の暴走は、社会の持続可能性を脅かしかねない。

また、資本主義はお金を潤滑油として回っているため、お金が価値の測る基準になり、お金になるものだけに人々の関心が寄せられたり、価値に見合わないとされるものが見捨てられたり、様々なものを置いてきぼりにしていった側面があると思う。小さな地域もその一つだろう。日本では、2040年までに日本の地方自治体の半分が消滅すると言われている。その多くが山間地域であり、美しい自然と生物が息づく豊かな場所となっている。しかし、仕事がたくさんあり、あらゆる人や物に溢れる都市の利便性の求心力や経済的合理性に抗えず、多くの地域が危機に瀕している。

そういった取り残された人や地域のために、存在する分配と平等のシステムが民主主義である。しかし、これもうまく機能しているとは言い難い状況だ。政府の汚職や、集票母体との政治と金の関わり、SNSを巧みに活用して民意を操作するポピュリズム、あるいはSNSでのフェイクニュースの蔓延、若者の選挙離れなど日本ないし世界が抱えている民主主義の腫瘍が肥大化しており、本質的に民主主義が内包する社会問題に対して、投票や選挙などを通じて参加し、自身がそれに責任を持ち、また代表者にも責任を追求する「参加と責任のシステム」[1] が機能不全に陥ってしまっている。

そしてさらに、テクノロジーの急速な発展である。この進展においても、資本主義に利用され、大きな格差を生み出した。デジタルリテラシーがあるものが勝ち、資本を総取りする構造である。個人は巨大プラットフォームの無意識の奴隷となり、デジタルリテラシー及びメディアリテラシーが欠如していれば、その分だけフェイクニュースや詐欺、情報商材のカモとなる可能性が高く、それがさらに民主主義の衰退と資本の格差を助長しかねない。

しばしばテクノロジーが分断を生み出し、テクノロジーと民主主義は対立構造にあるという捉え方の論調を拝見する。しかし、今回、私が主張したいのは、テクノロジーを活用した民主主義のリノベーションの未来である。テクノロジーと民主主義をかけ合わせ、本来の直接的な人々の参加と自治、共助を生みだし、分断を超克するデジタルデモクラシー」[2] である。

この「デジタルテクノロジー」というイデオロギーは、台湾のデジタル担当大臣の「オードリータン」や、イエール大学の経済学者である「グレン・ワイル」、イーサリアム創始者の「ヴィタリック・ブテリン」などにより牽引されているものであり、今回ご紹介する2つの新しい民主主義のためのツール「クアドラティック・ボーディング」と「クアドラティック・ファンディング」はまさに彼らと彼らに共感した仲間で練り上げられた至高の発明品である。

まずは、この謎めいたクアドラティック云々の仕組みから紐解いて行こうと思う。

クアドラティック・ボーディング(二次投票)とは?

クアドラティック・ボーティング(QV: Quadratic Voting, 以降QVと記載する。)はその名の通り、ボーディング(投票)の制度のひとつであり、多数決のオルタナティブとして注目されている。
QVは2つの段階で行われる。
(なお、説明と以下の表は参考文献 [3]と[4] に記載した記事を参考にしております。)

1.クレジットの割り当て
各投票者には予算として「クレジット」が与えられる。クレジットはポイントのようなもので、金銭的な価値を持つものでも良いでしょう。

2.票の集計
集計の際、票は各選択肢に割り振られたクレジットの平方根から算出される。例えば、100クレジットを全て1つの選択肢に入れた人の票は「10票」で、25クレジットだった場合は5票、4クレジットの場合は2票という具合でである。以下の表を見るとわかりやすい。

参考文献 [3] より引用

その他にも、手持ちのクレジットを99にして、1人の候補者にすべてのクレジットをベットすることを不可能にする工夫も用いられている様です。

ルールや特徴は以下の通りです。

  • 基本的には、1人の候補者に投票できるのは1回までで、余ったら別の人に投票する。同じ人に「9票プラス1票」のようにするのは禁止。

  • 余ったクレジットを使わないという選択肢も取ることができるが、推奨はされない。基本的にクレジットを使い切るのが原則。

だいたいの枠組みやシステムはそのままで、細かい設定を投票する目的に応じて変更できるのが魅力かもしれません。候補者が複数人いるときにより有効で、少数者にとっては、自身の意見を反映されているものにたくさんの票を投じることができるので大きな力になるシステムだと思う。

実例としては、2019年4月にコロラド州議会の下院が実験的に行った投票が有名で、台湾やシンガポールでも導入されている。

実際に、QVを簡易的を試してみたい場合は、英語のサイトだが、以下から利用できる。どの作品が一番良かったかなどの優先順位をつけて評価を行いたい場合の評価システムとしても活用できるため、多様なユースケースが考えられる。

クアドラティック・ファンディングとは?

クアドラティック・ファンディング(QF: Quadratic Funding, 以降QFと記載する。)は、web3的なファンディング(資金調達)の方法で、イーサリアム財団によって発明された。

彼らの説明は以下のようである。

将来的に、私達が公共財のすべてのタイプに資金を供給する方法を改善する可能性があるファンディングです。
クオドラティック・ファンディングでは、最もユニークな必要性があるプロジェクトが、最も多くの資金を受け取るようになっています。その仕組みは次のとおりです。

1. 寄付を集めて供与先を決めるためのマッチングプールがあります。
2. 資金供与のラウンドが始まります。
3. 人々は、お金を寄付することで、あるプロジェクトに対する必要性を示すことができます。
4. ラウンドが終了すると、マッチングプールからプロジェクトに資金が分配供与されます。 最も多くの需要を獲得した人が、マッチングプールから最高額を得ることができます。

つまり、1ドルの寄付が100件集まったプロジェクトAの方が、1つの1万ドルの寄付に支援されたプロジェクトBよりも多くの資金を得られる可能性があるということです(マッチングプールの大きさによります)。

[6] 分散型金融(DeFi) | ethereum.org

ちょっとよく分からない。

よりわかりやすくするために、数学的な仕組みの解説を身近な例を用いて説明する。(これは参考文献 [8] および [9] の事例を参考にする。)

例えば、ある自治体で予算50万円を使って、複数のプロジェクトに資金を分配したいと考える。プロジェクトAは図書館の建設、プロジェクトBは公民館の建設である。どのプロジェクトにいくら配分するかを住民によるQFにより決定する。

このとき、マッチングプールには予算の50万円が入っているという状態になっており、5人の住民により以下のように寄付金が分配されたとする。

わかりやすくするため、総額を一致させた。表は参考文献[9]を参照している。

QFの基本的な計算方法と結果は以下の通りである。

1.住民の(Σ√(寄付額))²を計算する。
A: 公民館 X₁ =(√(1000)×5)²= 25000
B: 図書館 X₂ =(√(2500)×2)²= 10000

2.住民の(Σ√(寄付額))²を基に、重みを算出する。
重みは、Xj / Σi ( Xi ) により計算される。
A: 公民館 25000 / (25000 + 10000) ≒ 0.714
B: 図書館 10000 / (25000 + 10000) ≒ 0.286

3.重みに自治体の予算(50万)をかけ合わせる。
A: 公民館 500000 × 0.714 ≒ 357000
B: 図書館 500000 × 0.286 ≒ 143000
分配額と寄付金を足し合わせた額が公民館と図書館の設立に使えるお金となる。

分配額と計算結果

このシステムの良いところについて参考資料[8]では、このように述べられている。

単純なマッチング寄付だと、資産家がお金を多く出したプロジェクトに自治体のお金がより多く使われることになる。それだとお金を持っている人のほうが、自治体の予算というみんなで持っているお金をより多く使えるという不公平な結果になる。 一人一票でもなく、お金を持っている人が特別有利でもない知恵の集結方法が、クアドラティック・ファンディングだ。

[8] Web3で進化するAIの未来 | AI新聞 | exaBase コミュニティ(エクサベースコミュニティ) (exawizards.com)
クアドラティックのシステムをわかりやすく可視化してみた。支援者の数も分配において重要な変数となっている。

このクアドラティック・ファンディングの真価では、寄付数と寄付額に応じて分配される資金が決まるので、本当に需要のあるものに対して資金が分配される点である。
そしてさらに、クアドラティックボーディング同様にかなり柔軟にルールを変更できるシステムであり非常に便利である。以下にルール変更の3つの例をあげる。

1.寄付で集まった額だけで分配
例えば最初から自治体による予算がゼロでも、集まった寄付の総額を用いて、その総額を上記の計算式に当てはめてプロジェクトに分配することも可能である。つまり、今回の例ではプロジェクトの寄付で集まった金額の総額である10000円(5000 × 2)を基に、重み付けの計算対象として分配することができる。

2.寄付額+予算額を重み付けの計算対象とする。
また、支援者による寄付金も重み付けの対象にするかしないかも分けることができる。今回の上記の例では、重み付けされて分配されるお金は自治体の予算の50万だけであったが、寄付金もその対象に入れて計算することもできる。つまり今回は2つのプロジェクトに5000円ずつ分配されているため、その合計である10000円と、自治体の予算の500,000円を足し合わせた510,000円を重み付けて計算し、分配することもできる。

3.(Σ√(寄付額))²をそのままプロジェクト資金とする
さらには、重み付け計算に利用した額である、(Σ√(寄付額))²をそのままプロジェクトに投資する額として、実際に寄付された額との差分を自治体の予算から補填することもできる。
例えば、今回、公民館の(Σ√(寄付額))²は25,000円であった。これをそのまま公民館建設の費用(予算)とし、実際に集まった寄付額の5,000円との差分である20,000円を自治体の予算で補填するということも可能である。

まとめると、この方法では、地域で事業を行なう上でのファンディングを行なう上で、ニーズに応じた優先順位付けと資金運用ができる

このようにクアドラティック云々では、できるだけ少数派や貧困層などの社会的に弱い立場にある人をなるべく救済するために作られたような側面がありそうで、本来の民主主義をできるだけ忠実に具現化しようとしたものといえるだろう。

ここまでの話で、「全然テクノロジー関係ないじゃないか。」と思う方もいるかもしれないが、このボーディングシステムの真価はブロックチェーンとかけ合わせたときにある。もともとそういう文脈で発明されたものだ。

例えば、あるコミュニティ内だけで流通しているトークンがあるとしよう。web3の文脈では、トークンとはブロックチェーンによりデジタル上に改ざんや不正されないように記録される(厳密には違うが)デジタル通貨のようなものであり、誰から誰に送られたという取引が毎回デジタル上に記録され、管理されるシステムを基盤として成り立っている。コミュニティ内で、行ったタスクに応じてトークンが支給されるとすれば、つまり貢献したらトークンが自動で支給されるシステムがあるとすれば、たくさん貢献している人がたくさんこのトークンを持つことになる。

そして、このトークンを用いてQVやQFを行えば、デジタル上で完結してしまうので、投票のハードルも低ければ、投票結果も自動で算出しやすい。投票の結果もブロックチェーン上に記録されるため、投票結果の改ざんもできない。
また、上記のような貢献度に応じてトークンがもらえるシステムであれば、コミュニティに熱意をもって参加している人の意見が反映されやすくなるため、コミュニティで意見を強く反映させたい場合は、トークンを稼ぐインセンティブとなり、コミュニティが活性化しやすいというメリットもある。

このようにデジタルなテクノロジーと掛け合わせることで最大限のメリットを享受できるクアドラティック云々であるが、今回私が提案しようと思っているものは、まさしくこの「クアドラティック・ボーディング」、「クアドラティック・ファンディング」とブロックチェーンをかけ合わせた投票と納税のシステムで、日本の地域自治体を活性化し、日本の民主主義をリノベーションしようというものである。

「テクノロジー×投票×納税」で変革する地域のクアドラティックな未来

QVとQFとブロックチェーンを組み合わせた投票と納税のシステムを提示する前に、民主主義についてもう一度よく考えてみる。

国単位で民主主義を見たときに、アメリカや、最近はインドネシアなどが、いわゆるポピュリズムのようなものに陥ってしまっている
大衆にとって親近感が湧く演説をした人が国のトップになってしまうシステム自体に違和感を感じる。そして、トップに影響力や権力が強い状態が維持されてるのも、果たして民が政治に参加しているといえるか懐疑的である。
さらに日本を見たときに、日本はそもそも政治に関心を持ってる人がすごく少なく、自分事として政治を捉えることができないっていうのが問題だと考えている。

繰り返しになるが、本来、民主主義は『参加と責任のシステム』だと考えている。しかし、民は参加を放棄し、責任を追求せず、ずいぶんと楽観的に国の代表者を決めてしまっている
それがどうして引き起こされるのか考えたときに、今の民主主義が規模として大きすぎることと、人や政党など人間的な感情やしがらみが交じるものが投票対象になっていることの2つが問題であるというように考察した。

前者については、まず、国民が国単位のことを考えるのはすごく難しいことであると考える。規模が大きすぎて、当事者意識や責任感がそれだけ分散されてしまうということである。実際、政治学者も民主主義が機能するのは小規模のときだけだという見解を持つ人が多い。民主主義が誕生したと言われる古代ギリシャの都市国家ポリスも大きくてせいぜい数万人だったからこそ、民主主義のシステムがうまく回っていたと捉えられる。

つまり、もっと民主主義を分解する必要がある。そのちょうどいい塩梅が地域だと思う。「国の教育方針はよくわからないけど、地元の小学校の教育方針はうちの子供が入るから関心がある。」のようにその地域に住む人がその地域の専門家であり、関心や責任を持ちやすい。その地域のささやかな問題に対して、参加し、貢献し、貢献が可視化できたりするシステムが重要であり、地域に対して、地域の地域に住む人やその地域が好きな人による自治を促す仕組みがもっとあっていいと思う。
実際に取組んでいるプロジェクトがあるようだ。興味がある人はぜひ下のリンクを覗いてほしい。私もここで働いてみたい笑

そして、後者の政党や人に対して投票する仕組みの違和感だが、政治に人間的な感情が入ってしまい、理性的に考えることができなくなってしまうことに警鐘を鳴らしている。人間が代表しているから、「あの人と仲がいいから、なんとなく票をいれてみよう」であったり、「あの人の人相がいいからこの人に票を入れてみよう」となってしまえば、政治について考えて責任を持つという民主主義の意味に反してしまい、本末転倒である。

また、政党もコネクションで集票マシンから金と人情で票を集めているような営業ばかりに力を入れて、自分の地位を守り続ける職業政治家となってしまっては全くもって意味がない。また、党内の自分の地位が危ぶまれるのを恐れて急進的な言動や行動ができなかったり、異なる政党同士のインタラクティブな交流があるようにも見受けられない。

この縦割りな政党政治から、しがらみを解き放ち、すべての政党が協力してよりよい未来を築いて行くことが重要である。必要なのは、分断ではなく協働であり、本気で国をよくするために各ボーダーをゆるやかに溶かし、それぞれの専門知識を持ち寄って解決に向かうことではないかと信じている。例えば、台湾のオープン議会ネットワークには、無所属を含む議会のほぼすべての政党から署名が集まっていて、政党の垣根や概念を超越した新たな枠組みができている。遅れを取らずどんどん改革していってほしい。

そしてそのためには、政党ごとにではなく、それぞれの政治家や政党、もしくは国や地域が掲げるイデオロギーやそのイデオロギーに則った現実的な政策を投票対象とすべきである。
簡単に言えば、投票対象を「大学教育を無償化する」や「エネルギーミックスにおいて、再生可能エネルギーの割合を50%にする」など、もう少し抽象的でもいいかもしれないが、このように自身が興味のある政策を選んで投票するシステムのほうが、国民も自分の投票がどのように政治に影響するかわかりやすいし、投票に対する関心もよせやすい
推進したい政策を政党関係なく議論し、打ち出された政策のビジョンに共感した政治家が集まって、実行するシステムがあってもおもしろいかと思う。

そして、この2つの民主主義の因数分解と政策投票システムを基盤として始めてQVとQFが生きてくる。

つまり、地域の為政者たちが手を取り合って並べた政策を投票の対象として、人々は実際の資金を使って、魅力的な政策にQVとQFを使って投票しようということである。そして、人々は自身が提供する資金を税金の代わりとして、興味のある政策に納税することで、最も人々が関心を寄せているものに最も納税額が集まるシステムを構築することができるのではないかということである。また、納税された額は政策の実行にのみ活用されれば、人々の政治の関心も上がるだろう。

どういうことかというと、まず、地域の自治体が一定額の政策のために割く予算をマッチングプールに提供する。その予算を分配するために、その地域に住む住民は、納税額として、例えば国民一律10000円を使って、興味あるものに分配していくとしよう。QVのシステムに従えば、使用したクレジットの平方根が投票数になるので、10000円をすべて使えば10票(票の単位が大きすぎるので、100票ではなく10票とする)となる。QFでは、金額使用された金額に注目されるので、納税した10000円がそのまま投票の価値となる。
以下では、3人の住民が3つの政策に分配する例をみていく。

右上の票を見れば分かる通り、投票数は同じでも納税額が違うことがあるので、どちらを用いて重み付けをするかは、状況次第である。個人的には両方加味するほうがよいかと思っている。単純に両方で計算して優先順位と分配額を決定してもよいが、データを標準化して、同一の単位とスケールで納税額と投票数を扱って、両方の標準化データを活用して、重みの計算をするのもよいかと思う。ここは実際やらないとわからないので、今後実験していきたい。

このシステムにより、政治家は集まった資金をもとに、実行力を持ってニーズの高い政策を実行することができる。ここで納税額は、上限がなければ、いくらQFとはいえ、金持ちが選択権を有しやすい構造を持ってしまうので、納税できる下限と上限を定めるか、国民一律の納税額にする必要がある。ただし、世代間の所得格差や人数の違いを埋めるため、年齢に応じて、納税できる上限が変わるシステムを導入しても良いかもしれない。若い人ほど、多く投票できるようにすればよいというわけである。

そして、これをブロックチェーンと組み合わせることで、仮に納税をステーブルコイン(JPYCなど)で行えば、投票における納税のトランザクションはブロックチェーンにより記録されるため、投票および納税したことを証明することができる。投票をした人に対して譲渡不可能なNFTであるSBT(Soulbound Token)を付与するのもよいだろう。

この投票証明システムがあれば、すぐに誰が投票したかがわかるため、投票納税で用いた額は、国民の所得に応じて、住民税もしくは所得税の控除の対象とすることも可能である。これにより、所得が低くても、この投票システムに介入することができ、さらに投票をするインセンティブとなるため、投票率向上にも寄与する可能性がある

しかし、現実的な課題として、すべての国民がウォレットを開設しなければならない。すべての国民がメタマスクのを持つことは非現実なので、マイナンバーと紐づけたマイナウォレットのようなものが早く開発されてほしい次第である。(マイナウォレットに関しては以下のリンクをご参照ください。)

国民全員が、マイナンバーカードに紐づいた、マイナウォレットを持ち、
ウォレット内で住民票などの公的書類をSBTとして管理することで、この政治システムも楽に運用できるようになると考える。

また、基本的に自分の住民票のある地域自治体の、政策に投票・納税することが考えられるが、このシステムはふるさと納税のように、自分の住んでいる地域以外にも、関心のある地域に対して行なうのもありだろう

この投票(ふるさと納票)とでも呼ぶとして、自身のお気に入りの推し地域での投票を行って、納税することで、納税のトランザクションが該当地域で記録され、ふるさと納票の返礼として、SBTを付与し、SBTを使った検証により、ワンストップ特例制度を活用した、所得税と個人住民税の控除を受けることができれば、おもしろい
さらにこのふるさと納票で獲得したSBTを持っていれば、地域のDAOやコミュニティに参加する権利も付与すれば、好きな地域に関わる人も増える見込みがあり、人口減少時代における地域の人材シェアリングに貢献できるのではないかと考えている。

多くの人が地域に関心をもち、テクノロジーを活用して共助による自治を行なう未来。そんな未来が選択肢の一つにあってもワクワクするのではないだろうか。


以上が、ささやかな私の野望である。
テクノロジーを社会によりよい形で実装し、人々がより幸福を享受できるためには何ができるか、日々考えている。残すに値する未来は何か。それを議論してくれる仲間、募集中です。

本記事に関して、できるだけ間違いの内容に努めましたが、どこか間違いがあったり、議論をしたいという方がいれば、是非コメントに残していただけると幸いです。

以上(最終編集日:2024/05/13)

↓記事を書いた人

参考資料

まえがき「資本主義、民主主義、テクノロジーの課題」

[1] Amazon.co.jp: 民主主義とは何か (講談社現代新書) : 宇野 重規

[2] デジタル・デモクラシーは多元的テクノロジーによって実現する── 経済学者グレン・ワイル来日セッションから | WIRED.jp

クアドラティック・ボーディング(二次投票)とは?

[3] デジタル民主主義で注目の「クアドラティック・ボーティング」とは? - GIGAZINE

[4] 民主的な投票の仕組みクアドラティックボーティングを使ってみた - kotobato

[5] Web3の真価は「民主主義」と「資本主義」の再構築にある? 天才経済学者グレン・ワイルが描く、真の“分散化”への道筋:WIRED CONFERENCE 2022【キーノート解説編】 | WIRED.jp

クアドラティック・ファンディングとは?

[6] 分散型金融(DeFi) | ethereum.org

[7] WTF is Quadratic Funding? (wtfisqf.com)

[8] Web3で進化するAIの未来 | AI新聞 | exaBase コミュニティ(エクサベースコミュニティ) (exawizards.com)

[9] 国民投票で研究費を配分する?- Quadratic Voting の可能性を考える|柴藤亮介(アカデミスト株式会社代表取締役CEO) (note.com)


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