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DX読書日記#9 『デジタルケイパビリティ』 野村総合研究所

はじめに

今回も引き続きDX人材に関する本を選んでみました。
野村総合研究所の「デジタルケイパビリティ」(2020年)という本です。
著者は野村総合研究所のIT系コンサルタントの方々のようです。
多数の方が執筆に参画されています。
 
DXを成功に導く組織能力(ケイパビリティ)を特定、定義し、ケイパビリティ診断もできるという本ですが、
なによりケイパビリティ定義の分量に圧倒されます。
 
以下、本当に簡単ですが、、紹介させていただきます。

本書の概要

本書では、既存企業がデジタル化の実現において求められる組織能力(ケイパビリティ)は以下の5つからなるとしています。

既存企業がデジタル化の実現において求められる組織能力

デジタルビジョン構想力

デジタル化によって自社がどのような価値を、誰に対して提供するのか、というデジタルビジョンを構想・共有するとともに、これを組織大で具現化するための戦略を策定する力

デジタル事業創発力
デジタル技術やデータを活用した新たな事業(デジタルビジネス)を創発する力。またこれらの各事業構想を組織大でマネジメントする力

デジタル実践力
データを起点とした業務改革を実践し、AIを活用する力。また、データを組織大で最大限活用できるようマネジメントする力。デジタル化におけるシステムの開発や運用において、信頼性を確保しながら、迅速かつ継続的な改善を永続的に実施する力

デジタルアーキテクチャー・デザイン力
データ分析やAI活用、新規デジタルビジネスの迅速な立ち上げなどのために、全社横断でのデータ活用や、クラウドの活用、マイクロサービス化(リリースを迅速に行うために数多くの小さな単位で構成される、疎結合なシステム)といったシステム構造(アーキテクチャー)を全社大で実現する力

デジタル組織マネジメント力
デジタル化を推進し、支えるための組織や人材、文化をつくり上げる力

『デジタルケイパビリティ』から抜粋

本書では、これら5つのケイパビリティのそれぞれについて、概要の解説と、各ケイパビリティを構成する要素について詳細な解説を行っており、
自社でケイパビリティの状況を評価できる簡単な問診票も用意されています。
 
以前は、より深い評価ができる問診票が、野村総合研究所のWebサイトで公開されていたようです。
他企業とのベンチマークもできるものだったようです。
残念ながら、今はアクセスできません。
 
以下は本書の目次です。

目次

はじめに

第1章 デジタルビジョン構想力
1-1 デジタルビジョン
1-1-1 なぜデジタルビジョンが必要か

 世界規模のパラダイムシフトが進行中
 デジタルビジョンを掲げる企業の広がり
1-1-2 良いデジタルビジョン
 供給者目線ではなく、社会・顧客目線に
 味の素のデジタルビジョン
 企業が示す「世界観」
1-1-3 デジタルビジョン策定のアプローチ
 STEP1 未来を描き、そこからバックキャストする
 STEP2 自社の「思い」からデジタルビジョンを描く
 STEP3 2つのアプローチの組み合わせでデジタルビジョンを描く
1-1-4 デジタルビジョンに立ちはだかる壁
 策定してからが本当の勝負
 デジタルビジョンを航海の羅針盤にするために

1-2 デジタル戦略
1-2-1 デジタル戦略の必要性
1-2-2 デジタル戦略の位置づけと定義

 デジタル戦略の位置づけ
 デジタル戦略とは
1-2-3 デジタルバリューの実現方法
 (1) 消費・利用体験価値の向上
 (2) コスト・利用ハードルの低減
 (3) 安心・信頼感の創出(新たな価値を発見し、安心して利用する)
 「パイプライン型ビジネス」と「プラットフォーム型ビジネス」
1-2-4 デジタル戦略策定の進め方
 検討ステップ① 外部/内部環境の分析
 検討ステップ② 課題の特定
 検討ステップ③ コンセプト設定
 検討ステップ④ 施策の具体化
 検討ステップ⑤ 戦略目標の設定
 検討ステップ⑥ ロードマップの策定
1-2-5 デジタル戦略(プラットフォーム型ビジネス)の事例
 既存事業の一部機能を発展・拡張し、新規事業のプラットフォームを構築
 既存事業とは別に新規事業のプラットフォームを構築
 パートナーと共に新規事業のプラットフォームを構築
 企業買収により新規事業のプラットフォームを構築

1-3 実行マネジメント
1-3-1 多くの企業がデジタル化に苦戦中
1-3-2 デジタル戦略の実行時に押さえるべき点

 ビジョン(Vision)を経営層から現場社員まで浸透させる
 戦略(Strategy)は不変ではなく、適宜見直す
 プロセス(Process)を定め、状況をモニタリングする
 リソース(Resource)を適切に割り当てられるよう仕組みを作る
 組織(Organization)的に取り組み、関係者を巻き込む
1-3-3 必要なデジタルガバナンス
 デジタルガバナンスを機能させる仕組み
 Volvo Carsのケース
 自社に適したデジタルガバナンスを作り込む

「デジタルビジョン構想力」の自己診断

第2章 デジタル事業創発力
2-1 新規事業創発特有の「高速学習型」プロセスと行動原則
2-1-1 新規事業創発の「高速学習型」プロセス

 事業ステージ1 チーム編成
 事業ステージ2 初期検討
 事業ステージ3 サービスデザイン
 事業ステージ4 本格検証
 事業ステージ5 市場投入
2-1-2 「高速学習」のための4つの行動原則
 行動原則1 賢く、安く、早く失敗する
 行動原則2 必要最小限の人員で進める
 行動原則3 検討する要素は絞り、細かく検証する
 行動原則4 外の意見に惑わされず、今やるべきことに集中する

2-2 新規事業創発のマネジメント
2-2-1 有望なアイデアとやめるべきアイデアを見極める
 失敗事例:サービス業A社
2-2-2 ステージゲート法におけるテーママネジメントの概要とポイント
 適用ポイント① 審査対象はあくまでアイデア
 適用ポイント② 客観的な情報に基づく主観的な判断
 適用ポイント③ 検討メンバーが一番の有識者
 適用ポイント④ ゲートはアイデア継続是非の判断を行う唯一の場
 適用ポイント⑤ 検討停止は成果であり、ノウハウとして蓄積する

「デジタル事業創発力」の自己診断

第3章 デジタル実践力
3-1 データ起点の業務プロセス改革
3-1-1 実現課題

 改革のスタートは「データによる再現」
 ビジネス活動を再現する全データはそろわない
3-1-2 デジタルスレッド
 データ収集、3つの留意点
 火力発電所におけるデジタルスレッドの例
 製造業や小売業などのデジタルスレッドの例
3-1-3 改革の拡大期、3つのポイント
 (1)組織横断でデータをつなぐ理由の明確化
 (2)デジタルスレッドを育てるリーダー役の設置
 (3)デジタルスレッドの将来形の明確化

3-2 AIのビジネス活用では「人の役割」が重要
3-2-1 ビジネスにおけるAIと人の協働

 実業務での利用が広がるAI
 AI活用での人の役割
 (1)AIを適用するビジネステーマの設定
 (2)AIに与えるデータとその量の見極め
 (3)AIが導き出した結果をビジネス観点で解釈
3-2-2 AIの技術特性を踏まえた導入プロセス
 STEP1 ビジネス理解
 STEP2 データ理解・データ準備・データモデリング
 STEP3 評価と展開
3-2-3 AI民主化ツールの活用方法
 誰もが使える「AI民主化ツール」の広がり
 ツールを使っても重要な「人の役割」

3-3 データ品質を維持する「データマネジメント」
3-3-1 データマネジメントの必要性
3-3-2 データマネジメント機能の全体像

 (1)「データガバナンス」領域
 (2)「基礎的なデータマネジメント」領域
 (3)「データライフサイクルマネジメント」領域
3-3-3 データマネジメントを定着させる「導入ステップ」
 (1)導入期
 (2)成長期
 (3)成熟期

3-4 デジタル化に適したアジャイル開発
3-4-1 アジャイル開発のチームマネジメント
3-4-2 アジャイルチーム、3つの役割

 自律的に活動するアジャイル開発体制
 機動力を発揮するためのPOの役割
3-4-3 自己組織化されたチームの運営方法
 (1)チームの情報を可視化
 (2)フィードバックサイクルを素早く回す
 (3)付加価値生産性を重視した指標
 (4)プロダクトやチーム運営を最適化するための運用ルールを整備
3-4-4 アジャイル開発を継続させる方法
 アジャイルとは文化であり価値観である

3-5 エンタープライズシステムへのアジャイル開発の適用
3-5-1 エンタープライズアジャイルとは

 アジャイルとエンタープライズアジャイルの比較
 エンタープライズアジャイルで有効なフレームワーク「SAFe」
3-5-2 大規模システムにアジャイル開発を適用する難しさ
 (1)経営層や事業部門のアジャイル開発への理解不足
 (2)複数チームの立ち上げ方とコミュニケーションの複雑さ
 (3)適用するシステムの見極めの難しさ
 (4)開発チームの多さに伴う品質管理の難しさ
 (5)リスクマネジメントの難しさ
3-5-3 エンタープライズアジャイルの実践に向けて
 【プロセス面】① エンタープライズアジャイルの開発プロセス
 【プロセス面】② エンタープライズアジャイルの実践プロセス
 【体制面】 エンタープライズアジャイルの体制
 エンタープライズアジャイル実践のまとめ

3-6 次世代運用とSRE
3-6-1 デジタル化における次世代運用

 (1)次世代運用の定義
 (2)次世代運用が必要な背景
3-6-2 次世代運用のベストプラクティス「SRE」
 (1)SRE誕生の背景
 (2)SREの機能・業務定義
 (3)SREの特徴的な業務
3-6-3 SREの体制と人材
 (1)SREチームが持つべき価値観
 (2)SREチームの組成と拡大
 (3)SREチームの要員に求められるスキル
 (4)SREチームの要員確保

「デジタル実践力」の自己診断

第4章 デジタルアーキテクチャー・デザイン力
4-1 デジタルアーキテクチャー構想
4-1-1 全社視点でコーポレートITとビジネスITの連携を図る
4-1-2 デジタルアーキテクチャー全体像

 デジタルアーキテクチャーの7階層
 共通インフラ
4-1-3 デジタルアーキテクチャー構想の進め方
 企業に適したデジタルアーキテクチャーの必要性
 デジタルアーキテクチャー構想のプロセス

4-2 疎結合
4-2-1 マイクロサービスが生まれた背景

 アジャイルによってアーキテクチャーは変化が求められた
 実店舗とECサイトを展開する小売業の例
4-2-2 疎結合化なアーキテクチャーを実現するための方針策定
 スタートアップでもモノリシックからスタート
 スピード・アジリティはビジネスサイドの課題
 マイクロサービスアーキテクチャーのメリット・デメリット
 PoCで効果とリスクを洗い出す

4-3 クラウド活用
4-3-1 クラウド活用で直面する課題

 課題① クラウド活用の検討が進まない
 課題② 乱立するクラウド環境
 課題③ 期待していたほどのコスト削減効果が出ない
 課題④ クラウドに移行したが期待していたほどアジリティが向上しない
4-3-2 クラウド活用基本構想の検討フレームワーク
 Step1 クラウド活用方針策定と現状調査
 Step2 クラウド利用基準策定
 Step3 現状アセスメント
 Step4 クラウドサービス選定基準策定とクラウド選定
 Step5 クラウド利用標準ガイドライン策定
 Step6 クラウド活用グランドデザイン策定
4-3-3 クラウドネイティブ化によるアジリティ・スピードの獲得
 「クラウドネイティブ」とは
 クラウドネイティブの特性① 回復性
 クラウドネイティブの特性② 管理力
 クラウドネイティブの特性③ 可観測性
 クラウドネイティブの特性④ 疎結合
 クラウドネイティブの特性⑤ 自動化
 クラウドネイティブのメリット

4-4 データ活用基盤
4-4-1 データ活用基盤に求められる機能

 データ活用基盤の必要性
 データ活用基盤の機能構成
4-4-2 データ活用基盤の主な課題
 データ活用基盤の課題① 成果が出ずに頓挫する
 データ活用基盤の課題② データフローの複雑化により保守性が悪化する
 データ活用基盤の課題③ 機能拡張に時間とコストがかかる
 データ活用基盤の課題④ データの活用に手間がかかる
4-4-3 データ活用基盤構築におけるポイント
 対応ポイント① スモールスタート
 対応ポイント② 全体的な視点でのデータ活用基盤のデザイン
 対応ポイント③ 柔軟性・拡張性の確保
 対応ポイント④ データ活用をサポートする機能の整備

4-5共通インフラ
4-5-1ビジネスITを推進する共通インフラの役割
4-5-2サービス間連携基盤

 認証情報の連携を行う共通認証基盤
 データを連携するサービス間データ連携基盤
4-5-3 コミュニケーション基盤
4-5-4 セキュリティー基盤

 セキュリティー基盤1 認証・認可
 セキュリティー基盤2 通信の暗号化
 セキュリティー基盤3 ログの監視
4-5-5運用・DevOps基盤
 (1)CI(継続的インテグレーション)
 (2)CD(継続的デリバリー)
 (3)運用基盤

「デジタルアーキテクチャー・デザイン力」の自己診断

第5章 デジタル組織マネジメント力
5-1 デジタル担当役員の役割と乗り越えるべき壁
5-1-1 注目されるデジタル担当役員
5-1-2 自社に適したデジタル担当役員の登用

 役員のタイプ1 「ビジネスモデル創出型」
 役員のタイプ2 「業務機能強化型」
 役員のタイプ3 「社外コネクション構築型」
 役員のタイプ4 「社内共創・協業型」
 自社にふさわしいタイプは?
5-1-3デジタル担当役員の役割
 役員の役割1 「デジタルビジョンと戦略の策定」
 役員の役割2 「経営層全員との合意形成」
 役員の役割3 「現場社員の啓発」
 役員の役割4 「デジタル戦略の実行状況のモニタリングと達成度合いの評価」
 役員の役割5 「組織整備と人材確保・育成」
5-1-4 デジタル担当役員が乗り越えるべき壁
 役員を待ち受ける壁1 「予算確保」
 役員を待ち受ける壁2 「社内実力者」
 役員を待ち受ける壁3 「現場」
 役員を待ち受ける壁4 「データ収集」
 役員を待ち受ける壁5 「硬直的な人事制度」
5-1-5 デジタル担当役員の成功事例
 施策1(予算の壁に対応)「予算と権限の確保」
 施策2(社内実力者の壁に対応)「経営層の意識改革と、共通認識の確立」
 施策3(現場の壁に対応)「率先垂範の現場教育・啓発」
 施策4(データ収集の壁に対応)「データ精度アップとITインフラの構築」
 施策5(硬直的な人事制度の壁に対応)「データ分析の専門組織の確立」

5-2 デジタル化推進に必要となる組織機能・体制
5-2-1 デジタル化の進展度合いに合わせた組織機能

 実装デジタル化推進に必要な組織機能
 組織機能はデジタル化の進展を見据えて拡充する
 デジタルビジネスが成功に至るまでの3つのフェーズ
 (1)デジタル戦略策定フェーズ:「調査・探求機能」に注力すべし
 (2)デジタルサービス構築フェーズ:「デジタルアーキテクチャー・デザイン機能」を後手に回さない
 (3)デジタルサービス提供フェーズ:カスタマーサクセス(ビジネス開発機能)の重要性を認識すべし
5-2-2 自社の置かれている状況によって変わる組織形態
 デジタル化推進組織の5つの型
 (1)社長直下集約型 危機意識が高い社長の下、変革を推進する
 (2)各事業分散型 事業部門の現場に密着支援する
 (3)IT部門内在型 技術の専門部隊に任せる
 (4)プロダクトチーム型 プロダクト単位で一体となって取り組む
 (5)別会社型 新しい企業文化を創ることができるデータ活用機能の別組織化
5-2-3 手の内化の重要性
 デジタル化推進に必要な「手の内化」志向
 手の内化の前提となる「内製化」
 内製化のケイパビリティ確保
 技術的なハードルが下がってきた内製化
 内製化における情報子会社の位置付け

5-3 パートナリング
5-3-1 DX推進に必要不可欠な外部パートナリング
5-3-2 パートナーの類型

 パートナーの類型1 ビジネスパートナー
 パートナーの類型2 サービス提供パートナー
 パートナーの類型3 リソース提供パートナー
5-3-3 パートナリング形態の類型
 パートナリング形態1 企業買収
 パートナリング形態2 投資
 パートナリング形態3 業務提携
 パートナリング形態4 業務委託
 パートナリングは対等であり変化する
5-3-4 スタートアップ連携に関する国内外の事例
 Siemens+LO3Energy(+丸紅、京セラなどの日本企業)
 第一生命+Neurotrack
5-3-5 事例から見る連携のポイント
 接点創出にも外部活用
 対等な関係性の構築
 対等な契約と知的財産権の確認
 それぞれの得意領域を意識した役割分担

5-4 デジタル人材
5-4-1 デジタル人材確保は喫緊の課題

 ビジネス系デジタル人材
 テクノロジー系デジタル人材
 高待遇で人材を獲得する動きが加速
5-4-2 デジタル人材戦略の必要性
 デジタルケイパビリティを内製化するための「デジタル人材戦略」
 デジタル人材戦略1 人材像を描く
 デジタル人材戦略2 人材計画を立てる
 デジタル人材戦略3 デジタル人材の不足を解消する
 デジタル人材戦略4 評価・処遇の仕組みを整える
5-4-3 デジタル人材を確保・育成し、そして活躍させる
 デジタル人材の意識調査
 デジタル人材候補を発掘・獲得する社外(新卒/中途)編
 デジタル人材候補を発掘・獲得する社内人材の異動
 デジタル人材を育てる1 点火(動機付け)
 デジタル人材を育てる2 体験(OFF-JT)
 デジタル人材を育てる3 実践(OJT)
 デジタル人材を育てる4 成長促進の仕組み
 デジタル人材に適した評価・処遇
 評価・処遇の観点1 誰が評価するか(評価者)
 評価・処遇の観点2 何を評価するか(評価項目)
 評価・処遇の観点3 いつ評価するか(評価頻度)
 評価・処遇の観点4 何を提供するか(処遇)
5-4-4 デジタル戦略を現場で主導する「デジタルリーダー」
 デジタルリーダーの視点1 ビジネス
 デジタルリーダーの視点2 テクノロジー
 デジタルリーダーの視点3 ヒューマン
5-4-5 デジタルリーダーは自社で育成すべし
 デジタルリーダーを育てる1 点火(動機付け)
 デジタルリーダーを育てる2 体験(OFF-JT)
 デジタルリーダーを育てる3 実践(OJT)
5-4-6 全社員のデジタルリテラシー向上に向けた取り組み
 経営層、管理職層のデジタルリテラシー向上
 一般社員のデジタルリテラシー向上

5-5 組織文化の変革
5-5-1 組織文化の変革はDXの障壁
5-5-2 組織文化とは何か?

 組織文化の形成に影響する4分類
5-5-3 組織文化を形成するうえで大切なこと
 組織文化・風土を変える1 一貫性を保つ
 組織文化・風土を変える2 見える・意識できるようにする
5-5-4 DXを実践しながら組織文化を変える
 (1)スタートアップ企業と仕事をすることで彼らの文化を学ぶ
 (2)自社のシステム・組織・人材の改革を進めながら文化を変える

「デジタル組織力」の自己診断

おわりに
付録:デジタルケイパビリティの自己診断
著者紹介

『デジタルケイパビリティ』から抜粋

こんなに長い目次は初めて見ました!
 
本書を拝見して、DXケイパビリティの構成要素の抽出としては、概ね成功していて、構造もきれいに定義されているように思いました。
 
ただ、事業構想や事業戦略、組織論に関する章については、説明が断定的だったり、論理に飛躍があったりと、違和感のある箇所もありました。
本書がIT系コンサルタントの方々による執筆ということが関係しているのでしょうか。
 
一方で、IT戦略に関する章は、良くまとまっているように感じました。
DX関連の本ではアジャイル手法がよく取り上げられますが、大規模アジャイル含めて、簡潔に、しっかり説明している本は他にはなかなかありません。

おわりに

簡単ですが、本書の紹介は以上です。
 
著者によれば、「デジタル化に関わるすべてのビジネスパーソンに読んでほしい」ということで、
本書の対象読者は、デジタル化を実践する方々、経営層や管理職でデジタル化をマネジメントする方々とのことですが、
最初から最後まで読み通すのは、正直、かなりの難易度と思います。
 
私がこの本をお奨めするとしたらIT部門の方々でしょうか。
 
本書が労作なだけに、少々残念なのですが、
DXケイパビリティについては、本書のような詳細な解説は少し絞って、
代わりに、詳細版の問診票と業界別のベンチマークを記載いただく等して、再構成した本が見てみたいと思いました。

IT戦略の章については、「デジタル時代のIT戦略」等として、別の本が作れたのではと思います。
 
なお、IT戦略に関連して、「デジタルアーキテクチャー設計・構築ガイド」という本が野村総合研究所から出されているようですので、
ここで紹介させていただきます。

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