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この日の山に、2度のぼる。

山に登ろうかと考えていた休日。
考えとは裏腹に、二度寝、三度寝と1日をダラダラと過ごしてしまった。

よくあることだ。
体は休息と睡眠を求めていた。
だから、これでいい。
でも、少しだけ。少しでいいから、自然を感じたい。
これも、心と体の真の欲求。
なら、もう一度、あの山に登ろう。
あの日の記憶と写真とパソコンで、もう一度あの山に登ろう。

残暑が厳しい8月、処暑の季節。
朝の通勤時間帯。
高尾山へ登ろうと車を走らせた。
登山口のある京王線高尾山口駅前に降り立つと、立っているだけで肌から汗が滲み出すほどの暑さ。
だけど、どこか猛暑のピークは超えたような気もする、からりとした暑さ。
高尾山口駅からケーブルカー駅まで、下山後に立ち寄るお店を物色しながら歩く。山を歩くのに、ご褒美や目標は大切。心が強くなるからね。

さて、軽いストレッチを終え、ケーブルカー駅の脇道から登山口に向かい歩き出す。8月下旬は秋らしい雰囲気の花たちが咲き出しており、季節を感じられることが嬉しい。
今日は、6号路。沢沿いのコースから山頂を目指す。
途中、沢岸に降りられるところで登山靴を脱ぎ、水に足をつけグラウンディングをする予定だ。これも小さなご褒美、楽しみだ。

舗装路が終わり、登山道に入る。
横を流れる沢の音が心地良い。
山を登るにあたって、この水の流れる音は本当に癒しであり、力になる。
生き物にとって水はなくてはならないものだから、心が安心するのだと思う。
そして水辺に近い植物たちはとても元気でいきいきしているように感じる。
この時期は、タマアジサイが際立っており、印象的に映った。

山歩きには必ず一眼レフカメラを持っていく。
蕾が綻び開花に向かう、タマアジサイ。

観光スポット?の「琵琶滝」を横目にさらに先へ進む。
登山道は多くが木陰で暑すぎず心地良く、木や葉の間から入ってくる陽光が森を美しく照らしている。

まだまだ緑がいきいき

歩き出して40分ほどの場所に、ベンチのある休憩場所のようなところがあり、ここのすぐ奥の沢辺に腰を下ろす。
タオルで汗を拭いたり、日焼け止めを塗り直したり、お菓子をつまんだりして整えつつ、登山靴と靴下を脱ぎ、いざ生足を水の中へ…あぁ、やっぱりきもちいい…

これで瞑想、または哲学すると頭スッキリ。多分、雑念やら何やら色々流してくれる。

山の中の沢って、本当に暑い時期じゃないと結構冷たくて、なかなか足をつけてられないと思う。
だから、8月のうちにこれをやりたかったのだ。
控えめに言って、最高。

水辺の景色好き。美しい。

多くの登山者を見送ったが、そろそろ、と登山靴を履き直し、ザックを背負い整えて再び歩き出す。
山を歩くときは癖で被写体を探しながら、アンテナを立てながら歩いてしまうのだけど、今日はトレーニング。
撮影はそこそこに、歩みを進める。

記録用。こんな感じの道をぽくぽく歩く。


後半になってくると沢から離れる。
「お、そろそろ山頂が近づいてきたかな」と思っていると、なかなかに体力を削ってくる階段が現れる。
歩く速さは止まっちゃうんじゃないかってくらいのペースに落とし、息は鼻から吸って口から細く吐く、を意識してゆっくりゆっくり登っていく。
それでも呼吸は乱れ、息を切らせながらも止まることなく歩く、登る。
そうすれば、必ずたどり着く。
階段を上り切った後も止まらず、ゆっくり歩きながら呼吸を整えて。

山頂直下の広場からは多くの人々がおり賑やかな雰囲気になってきた。
最後の坂道を焦らず登りきり、山頂へ。

山頂からの写真はなぜかiphoneでちゃちゃっと。富士山は雲の中。

大勢の人々で賑わう山頂広場から、一丁平方面に少し行ったところのテーブルで軽いランチタイム。
惣菜パンをもぐもぐ食べていると、長ズボンの上から何箇所も蚊に刺されてかゆい…いつも刺されてから虫除けスプレーの存在を思い出す…。

ここまでで、登山口から2時間近く経っていた。
ちゃんと測っていないけど、沢で遊んで寄り道したわりにコースタイムくらいで歩けている、よし。と少し自分を誇ってみる。

帰りは1号路の参道を通って裏から薬王院へ。
ここで夏限定の風鈴を見たいのだ。

いつも裏から来てしまう、奥の院。
良い感じにくすんだアジサイ。
時折風に揺れてリンリンと風情のある音が。
花手水もあった。


ちなみに、これは2年前の。良き夏の思い出。

もうあと少しで終わる夏。出来るだけ、目一杯感じたい。
肌をジリジリ焼くような暑さ、汗ばむ体、蝉の鳴き声、木々や草花の元気な緑色。どれもこの心と体に刻み込んで、忘れたくない。
今年の夏も、良い夏だった。
そんなことを想いながら歩いていたような気がする。
どこか名残惜しさを感じつつ、途中、琵琶滝まで降りる山道に入り、下山した。
あっという間の夏の山だった。

下山後は「千代乃屋」さんで甘酒のかき氷とそば団子。美味しすぎた。たまらなかった。


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