彼に再会、また好き度が増した。大学2年夏休み終わり頃
「おぅ。元気...では無さそーだな。」
男友達の声がカラダに響いて
私はダルそうに顔を上げた
枕投げからの挿入手前まで
イチャイチャして過ごす夜もあった
お付き合い検討中の彼
数週間ぶりに会ったのは
これから一緒に帰国便に乗る空港
なんだろう...心が、かたまる感じ
まっすぐに彼の目を見れない
私が他の外国人と初体験したのは
お互い離れている間の出来事だし
私はその外国人とはもう繋がっていないから
終了案件と割り切ったつもりが
全く明るく振るまえない
口が開かない
幸いなことに
帰国便の座席が3人並んでは取れず
2人と1人に分かれることになった
彼は友人とずっと一緒で
私だけが離れて旅していたから
友人が気を遣って
彼と私を隣り合わせにしようとしてくれたけど...
私はひどい風邪で
高熱、鼻水、咳が止まらない
体調が悪いからこそ
彼に頼りたいはずが
なんだか近寄れない
何を話していいやら...
結局、私は1人席を選び
一言もしゃべらないまま離陸
全身が痛いし
心かたまり
笑うことも泣くこともできないし
寝たくても寝られない
シートベルトが解除されて
フライトが安定した頃
席を立って彼が近づいてきた
「5枚って結構きついな。はいっ約束。よく寝ろよ。」
ポンポンと
優しく頭に手を乗せ
また席に戻っていった
離れている間に
わたし宛にハガキを5枚まで書く!とは
彼の方から言い出したんだった...
最初の2枚は
本人が生きる意味についてを
悩んでいるような内容で
3枚目からは
その場で彼の目に映っていた景色と
もしそこに私がいたなら
こんな風に反応して
こんな感じに喜んでいるだろうという
妄想が書かれていた
そこに書かれている私は
とっても無邪気で
とっても明るかった
そんなふうに彼の目に映っていたとは知らず
私がそばにいない寂しさも
シンプルに書かれていた
素晴らしい景色を私に見せたいとも
それらの文章を読んでいるあたりから
なんやら温かいものに包まれた感覚になり
涙が溢れてきて
自分の心が大きく反応した
その心の揺らぎ方に深く安心したのは
さっきまでフリーズしているというか
自分が彼を目の前にしても
何も温かいものを感じなくなってしまったことに
危機感と絶望感があったから
私がしでかしてしまった過去があるけど
その罪悪感はどこへやら
このまま一言もしゃべらないで着陸
なんて待てない
今感じている温かい気持ちを
素直に伝えたくて席を立った
友人に席を交換してもらって
彼の隣に座り
何をどう話したか覚えていないけれど
帰国便でこうして隣に座り
心が大きく反応したことを話せて良かったと
心から思ったのを覚えている
ちなみに
こんなに感動していても
「付き合う」と言う状況には
まだならない
私は離れている間の出来事は
とりあえず今日は話さない
つまりは隠し事があるから
そんなこと言える立場ではなく
彼は彼で相変わらず
「付き合うって何だろう」と
思っているんじゃないかという
私の勝手な予想から
いわゆるステータスに進展は無しなまま
長時間のフライトから
やっと成田に着き
外の空気を吸って
3人でふざけた写真を
何枚か撮って
私たちの夏休みが終わった
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