No.5 先取り!「今後の園の方針についての説明会」(1):「のびのびと自由に」は変ってしまうのか?

目次
園長による「今後の園の方針についての説明会」開催

「のびのびと自由に」は変わってしまうのか?
「のぞみの伝統」発祥の地はイタリア!?
「のぞみ」はIBの弟妹!?
「探求的学習能力」の基礎としての「自己肯定感」
「予測不可能な時代」に「世界で一つだけの花」を咲かせましょう!
「生き抜く力」とSDGs

今週の予定
17(月)体操教室(少)/ヨシタケシンスケ展(年長・うめ組) (給食
18(火)ヨシタケシンスケ展(年長・もも組)        (弁当)19(水)                         (弁当)
20(木)                         (弁当)
21(金)半日保育・「わんぱく」なし(運動会前日準備) (給食なし)22(土)運動会(雨天順延)
23(日)運動会予備日

来週の予定
24(月)代休
25(火)
26(水)遠足『もみじ饅頭工場』見学ツアー(長)
27(木)まなびタイム(長)・遠足『高須台中央公園』(少)
28(金)体操教室(長・中)
29(土)
30(日)


園長による「今後の園の方針についての説明会」開催

「ぼくの好きな先生」(=「のぞみっこ」のおかあさん、おとうさん、そして先生たち)、こんにちは!

今週も、「ぼくの好きな先生」のための共育ラジオ番組『ラジオの時間』がやって参りました。

「れんらくアプリ」を通してお伝えした通り、11月1日(火)(17:30~)に在園児の保護者様向けに『今後の園の方針についての説明会』を行います。

ほんとうは、もう少し早く行いたかったのですが、9月1日の園長就任後、園長業務に加え、国際バカロレア(IB)の申請などもあり、遅れてしまいました。

すみませんでした🙇

この間、すでにみなさまから個別に、ご意見・ご質問をいただいています。

説明会当日は、私のほうから今後の園の方針をお伝えすると同時に、そうしたみなさまからの声に応えたいと思います。

とはいえ、当日、ほとんどの方にお越しいただけないようなので、まず、今回のこのブログで、当日、参加者にお話することを予定していた「今後の園の方針」の原稿を公開させていただきます。

そして、次回のブログで、すでにお寄せいただいている意見・質問に対する答えを書かせていただこうと思います。

両方とも、説明会当日での内容とかぶることになると思われますが、大事なことは、何度も確認することで、ようやく全員に浸透しますからね。

勿論、説明会後のブログでも、当日の話を書かせていただくつもりです。


「のびのびと自由に」は変わってしまうのか?

保護者の方が最も心配されていることの一つがこれです。

「のびのびと自由に遊ぶことで、子ども一人ひとりの個性を伸ばす」ことをはじめ、「のぞみ」の良い面が失われてしまのではないかということ。

このブログや口コミを通して、決してそうではないことは徐々に浸透しているようですが、まだまだ十分ではないようです。

ある保護者の方との会話を通して、「そうは言っても、運営母体や園長が変わったうえ、IB認定園やSDGsを目指したり、英語教育に力を入れたりするとなると…」という感じをお持ちの方が、少なからずいらっしゃることがよく理解出来ました。

このお母さんに感謝、感謝です。

前回のブログで、IB認定校である広島叡智学園における「探求型学習」の取り組みに関する記事をここで共有したことで、「のびのびと自由に」から「お受験準備のための幼稚園」に変わるのではないかという誤解まで生んでしまったようです。

すみませんでした🙇

真相はその真逆です。

真相の最も重要な点は次の二つです:

真相その1:「のびのびと自由に」をさらに拡充する。

真相その2:「のびのび保育」を通して、「生き抜く力」を育む。


「のぞみの伝統」発祥の地はイタリア!?

前回のブログ(『GIFT』)でもお話させていただいたように、「のびのびと自由に」の真の意味は、「のびのびと自由に遊ぶことを通して、子どもが生まれながらに持つ、一人ひとり異なる優れた能力・資質(=個性=gift)を育む」です。

実はこれは、「モンテッソーリ教育」と非常に近い教育理念です:
モンテッソーリ教育とは | 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 (sainou.or.jp)

前回のブログでもお話した、「のぞみ」初代園長の中本一登(かずと)先生は、広島県教育委員会の重鎮でおられたほどの方です。

そんな中本先生が「のぞみ」創立当時(1979年)、幼児教育最先進国の一つであるイタリア発のこの優れた教育法を御存じで、それを一早く取り入れたことは十分に考えられます。

それが「のぞみの伝統」となり、現在に至るまで行われてきたわけです。

「のぞみの伝統」が、当時から現在に至るまで日本で行われてきた保育と一線を画している理由もここにあります。

これが、みなさまが愛してやまない「のびのびと自由に」を柱とする「のぞみ」における幼児教育の起源=真実です。

これからの「のぞみ」は、この伝統を捨て去るどころか、さらに拡充していきます。

IBプログラムを取り入れることで。


「のぞみ」はIBの弟妹!?

実は、「のぞみ」と同様にIBも、モンテッソーリ教育を取り入れることで設立されたことは、海外ではよく知られていることです。

そのIBがスイスのジュネーブで設立されたのが1968年。

その11年後の1979年、同じくモンテッソーリに通じる理念のもと、「のぞみ」が設立されました。

言ってみれば、IBと「のぞみ」は、モンテッソーリという同じ「親」を持つ「兄弟姉妹」と言えるかもしれません。

実は9月9,10日に開催された入園説明会終了後、出席してくださったある保護者の方から、以下の二つの質問を受けました:

質問1:IBの教育理念が、「のびのびと自由に」を柱とする「のぞみ」のそれと、さほど変らないにもかからわず、前者を導入する意義はどこにあるのか?

質問2:モンテッソーリとIBの違いはどこにあるのか?

この質問を受けた私は、池上彰ばりに「いい質問ですね」と言いそうになりました(言ったかもしれません)。

「のぞみの伝統」=モンテッソーリ教育だとすると、これら二つの質問は、次のように一つの質問になります。

「IBの教育理念が、「のびのびと自由に」を柱とするモンテッソーリ教育のそれとさほど変らないのなら、前者を導入する意義はどこにあるのか」と。

答えはずばり、「のぞみ」改革の「真相その2」である、「「のびのび保育」を通して「生き抜く力」を育む」です。


「生き抜く力」=「探求的学習能力」の基礎としての「自己肯定感」

前回、前々回のブログでも申し上げました通り、「生き抜く力」=「探求型学習(能力)」です。

つまり、問題に直面した際に、それを自分自身で乗り越えることの出来る能力・資質です。

その能力・資質の基礎が、前々回のブログ(『GIFT』)でも触れた「自己肯定感」(「これでいいんだ!」)です。

ある国際調査によると、日本の子どもの「自己肯定感」は世界の中で極めて低いという、残念な結果が出ています。(平岩国泰、『子どもの「やってみたい」をぐいぐい引き出す!「自己肯定感」育成入門』)

そしてその最大の理由が、「お受験」を究極目標とする、日本の従来の教育にあると言われています。

それに対し「のぞみ」は、「のぞみの伝統」(≒モンテッソーリ教育)を通してこれまで同様「自己肯定感」を育み、その基礎の上に、どんな困難な状況に陥っても、それを自分の力で乗り越えれる「術」と「知恵」をIBプログラムを導入しながら、これまで通り元気に遊ぶことを通して育みます。

そのようなわけですから、「IB導入を通して、「のぞみ」がこれまでの「のびのび教育」から「お受験準備」に移行するのでは?」と危惧されている方がいると聞いて、あわててその誤解を解かなければと思ったというわけです。

ただ、そうした誤解が生じるのも致し方ない面があります。

といいますのも、IBの日本での導入は、インターナショナル・スクールも含めた中高一貫校が主流であり、幼稚園での導入は、西日本の一条校園では「のぞみ」が初めてというほど稀です。

そして中高でIBを導入する際には一般的に、海外の大学を含め大学進学に有利だからという理由が一番に挙げられます。

それに対して「のぞみ」は、「のびのび自由に遊ぶことを通して、予測不可能な時代を「生き抜く力」を育む」という、よりIBの教育理念に即した理由から、「のぞみの伝統」にIBを融合しようとしています。

この根源的な人間力は、幼児教育でこそ培われるべきものだからです。


「予測不可能な時代」に「世界で一つだけの花」を咲かせましょう!

前々回のブログ(『GIFT』)のように、おかあさんとおとうさんが「のぞみっこ」に授けた「GIFT」(能力・資質=個性)を植物の芽に例えましょう。

モンテッソーリ教育に通じる「のぞみ」の教育は、それを芽吹かせる役目を担っています。

そしてそれを「世界に一つだけの花」として花開くようサポートするのが、IBであると考えていただくのが適当かと思われます。

そして私たち「ぼくの好きな先生」にとって、「GIFTが大輪の花へと育つ」ということは、次のことを意味します。

「大人になった「のぞみっこ」が、その家族とともに幸せに暮らす」ということ。

ありきたりで、当たり前のことを言っているように思われるかもしれません。

しかし、大人になった「のぞみっこ」が生きていく時代は、私たち大人にとっての「普通」や「平凡」が、「特別」なものになる時代です。

と申しますのも、現在の年長組の「のぞみっこ」が成人する2035年までに、現在進行中の第四次産業革命により、イギリスで34%、米国で42%、日本で49%の仕事が、AIとロボットに代替されると言われています。

またこの年までに、自動運転によって運搬業(タクシー、バス、トラック運送)の労働者の98%が失業し、銀行員、医師、弁護士なども激減するとも予測されています。
この傾向は、それから10年後の2045年(年長組29歳)に到来すると言われている「シンギュラリティ(技術的特異点)」に向けてさらに加速すると予想されます。

この年ついに、AIが人間の能力を上回るとされています。(佐藤学、『第四次産業革命と教育の未来 ポストコロナ時代のICT教育』)

こうした第四次産業革命と平行して、地球温暖化、環境破壊、自然災害は深化していくことでしょう。

また、「台湾有事」の可能性の高まりや北朝鮮のミサイルなど、国際紛争を直接的に感じずにはいれない日はすでに到来しています:
習近平氏、台湾問題「武力行使の放棄、約束せず」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「のぞみっこ」のおかあさん、おとうさんと一緒に、「のぞみ」の先生方が育みたい「生き抜く力」とは、こうした私たち大人がこれまで経験したことがなかったような「予測不可能な時代」においてさえも、成人した「のぞみっこ」が「幸せに生きれる力」のことを意味します。

9月9,10日の入園説明会でもお伝えし、また、来るべき11月1日の説明会でも再度お伝えするように、今後「のぞみ」は、IBジュネーブ本部、それと密接な関係を持つ国際連合およびユネスコ、そして世界中の大学・研究機関と協力し合っていきます。

そうすることで、「予測不可能な時代」を科学的に予測し、それを「生き抜く力」を探求していきます。

そして「のぞみ」はその力を、IBのサポートを受けながら日々の遊びのなかで、「のぞみっこ」のうちに育んでいきます。


「生き抜く力」とSDGs

最新の研究成果をもとに、現時点でこの「生き抜く力」に関して言えることが一つあります。

それは、「国際的な視野を持つ、持続可能な社会の創り手」、つまり「SDGsの担い手」となることが、「予測不可能な時代」を幸せに生きれる可能性を最も高めてくれるということです。

池上彰と考える『SDGs入門』:
https://www.jica.go.jp/aboutoda/ikegami_sdgs/vol2_1/index.html

SDGsの実現には、国境を越えた人々の協働が不可欠ですから、当然、「国際的な視野を持つ」ことが前提となります。

ちなみに、「国際的な視野を持つ、持続可能な社会の創り手」=「SDGsの担い手」とは、文科省が定める、幼稚園から高等学校までの『新学習指導要領』における究極の教育目標です。

またIB教育の究極目標でもあります(何度も申しますように、新『要領』はIBをもとに作成されています)。

従って、「生き抜く力」とは、そうした「創り手」、「担い手」となるため必要とされる能力・資質ということを意味します。

ではなぜ、「SDGsの担い手」となることが、上記のような激動の時代を幸せに生きるための、数少ない道なのでしょうか?

一言で言えば、第四次産業革命により、従来の仕事の多くがAIとロボットに奪われる一方で、今後、SDGsと関係する新しい仕事が次々に生み出されていくからです。

災害や紛争により人間が生きていけなくなったら元も子もありませんからね。

そこで、世界経済の潮流に大きな影響力を持つ「世界経済フォーラム(ダボス会議)」(IB同様ジュネーブに本部を持つ)を中心に、「ESG投資」の名のもと、SDGs実現のために優先的に資金が流れ込む仕組みが作られたわけです。(田瀬和夫、『SDGs思考 2030年のその先へ 17の目標を越えて目指す世界』)

ダボス会議とは:
ダボス会議│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券 (smbcnikko.co.jp)

ESGとは:
ESGとは|簡単解説 | 野村アセットマネジメント (nomura-am.co.jp)

それゆえ、幼い頃から、自分が大好きな遊びを通してSDGsになじみ、将来、169あるSDGsターゲットに関連する新しい仕事にやりがいを見いだせるのなら、激動の時代を「のぞみっこ」が幸せに生きれる可能性が高まるというわけです。

どうやって日々の遊びを通して、そうした意欲や興味を持つようになるのか?

それを探求し、実践するのが、私たち「のぞみ」の先生の仕事です。

具体的にどんな仕事が新しく生まれるかを予測することは、スティーブ・ジョブズのような天才でもない限り、どんな優れた研究機関でも不可能です。

しかし、SDGsに関係するどんな新しい仕事が生まれてきても、SDGsの大切さを知り、その実現に対する興味と意欲を持ち、自分が興味を持つ仕事に必要なスキルを主体的に学ぶ能力・資質を身に着けておくことは可能です。

欲を言えば、ジョブズのように、そうした新しい仕事そのものをゼロから自分で生み出してしまう能力・資質も。

いずれにせよ、そうした能力・資質が、IBのサポートをうけながら、日々の遊びを通して育まれる「探求型学習(=アクティブ・ラーニング)が出来る能力」であり、それこそが、すぐそこまで来ている未来を「生き抜く力」です。

(続く)


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