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葛警部の勘が冴えわたる五編 。 米澤穂信さんの『可燃物』
米澤穂信さんの『可燃物』を読みました。
短編 五編構成で、なかでも『命の恩』と『可燃物』が 「話の閉じかたが そうきたか」と、唸らされました。
『可燃物』では、いくつかのごみ集積場から連日 放火された形跡があり、調べていくうちに3人が浮かび上がってきます。
火のついたままのオイルライターを砂場に
放った、小河 19歳。
午後10時半ごろ ゴミ集積場の前でしばらく
いた、大野原 71歳。
午後11時半ごろ 団地のゴミ集積箱に
火のついた煙草を置いた、30代男性。
葛警部指揮のもと、この3人を警察が張り込みます。
大野原には 6年前に自身が勤めていた家具店倉庫を、火災で失うという過去があります。
ここで 一瞬、「なにかありそうかもな」と
米澤ファンとしてのセンサーが働きました。
米澤さんは文脈の上手いところに、ちょっとした伏線みたいなものを用意します。
(読者としては、それがちょっとしたひっかかりとして認識します。私はそう感じます)
おもしろいのが 葛警部がカフェオレと菓子パンの食事をしている描写がでたら、物語のクライマックスを示しているというところです。
トリックというよりかは 心理的オチに
いつも圧倒されています。
ここまでお読みいただきまして ありがとうございました。