第38話_「一つ目国」の悲劇
昨日は久しぶりに出社。
暑い。
本格的に夏が来た。
そして、マスクがしんどい。
周りを見渡せばしていない人を探す方が大変だ。
コロナが流行り始めの頃から言われている通り、自分が感染することの予防にはマスクはあまり意味がなく、飛散させないために有効ということなら、別に黙ってるんだからよくない?
と、ちょっとバカらしくなってきてしまった。
それでも、突然くしゃみして、自分が無自覚感染者で飛沫感染源になるのも申し訳ないので、ハンカチを手元に用意してマスクを取った。
電車の中は、まるでこの寓話の「一つ目国」に自分が迷い込んだような気持ちになった。
周りの人を非難する気持ちは無い。
が、マスクをつける理由が、「一つ目国の悲劇」的なものであるならば、ちゃんと考えて行動したい。
息子よ、君が一つ目国に迷い込んだら、どう振る舞う?
決して、思考停止して行動しちゃだめだ。
ちゃんと自分の頭で考えて、行動するんだよ。
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風の便り 第43便
「一つ目国」の悲劇
ある旅人が、旅の途中で道を見失い、
不思議な国に迷い込んでしまいました。
その国は、一つ目人間の国だったのです。
その国の住人は、誰もが、目が一つしかない人々であり、
旅人のように目が二つある人間は、
一人もいなかったのです。
その国に迷い込んだ当初、
旅人は、変わった風貌の住人を見て驚き、
そして、しばらくは、
彼らを不思議に思って眺めていました。
しかし、その国で過ごすうちに、
旅人は、だんだん孤独になってきました。
自分だけが二つの目を持つことが
異常なことのように思われてきたのです。
そして、その孤独のあまり、
ついに、その旅人は、
自ら、片方の目をつぶし、一つ目になったのです。
この旅人の悲劇は、決して、
遠い彼方の国の物語ではありません。
なぜなら、
我々も、しばしば、
この旅人のように、
自ら、片方の目をつぶそうと考えてしまうからです。
自分自身であることの孤独。
そのことに、耐えられず、
自分自身であることを
やめようと考えてしまうのです。