【オススメ書籍】思考力を鍛える(コーヤチャンネル)
鈴木広野の運営するYoutube『コーヤチャンネル』に関連して、若手ビジネスパーソンのキャリアに役立ちそうなオススメ本をテーマ別にまとめました。
このページで紹介するのは『思考力』に関する本。
「思考力って、いわゆるロジカルシンキングのこと?」と思う人も多いかもですが、そうじゃない。これまで色々な人が色々な角度から「考えるとは何か?」をメソッド化しようと試みています。これらの本をバランスよく読んでいくことが大事です。
まずはこの2冊!
本物の思考力を手にいれるために、まず「自分のアタマで考える基礎訓練になる2冊」を紹介します。読めば必ず思考力UPにつながります。
赤羽雄二著『ゼロ秒思考』
⇒「いままで考えることをしてこなかった」という人に実践してほしいのが、この本で語られている「メモ書き」のトレーニング 。一言で言えば、「新しい問いをつくり、その問いに対する答えをひたすら書いていきましょう」というもの。
自分は社会人1年目の終わりからこのトレーニングを7年以上継続して続けており、このメモ書きのトレーニングのおかげで相当に頭の回転が速くなったと感じている。騙されたと思って、1ヶ月だけでも続けてほしい。ビックリするほど頭の回転が速くなり、効果が実感できるはず 。
(※あの有名Youtuberマコなり社長もこの本で書かれている「メモ書き」を続けているらしい)
ちきりん著『自分の意見で生きていこう――「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ』
⇒この本の主張を一言で言うなら『ポジションを取ろう!』というもの。
『ポジションを取る』という言葉を私なりに表現すると、『正解がない問題に対して、賛成/反対などの自分の意見をしっかり表明すること』。これができない人は『社内評論家』または『万年野党』的な存在に留まってしまう。実はこの『ポジションを取る』という考え方、コンサルティング・ファームなどではごくごく当たり前の考え方。価値ある人材になりたいなら、この本を読んでポジションを取る訓練をするところから始めるべき。自分の意見で生きていこう!
(※関連するちきりんさんのブログ記事はこちら。 → ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮)
ロジカル思考
まずは「ロジカルシンキング」の本から。ただし、私はいわゆる「ロジカルシンキング」という言葉が好きではありません。「論理的思考力」という言葉の方が正しいと思っています。
ロジカルシンキング(論理的思考力)は、それができるだけで売上が一気に伸びるといったような魔法の杖ではありません。コンサルが案件獲得のために「ロジカルシンキング」という魔法のマーケティングワードを作り出して情弱大企業を煽ってる節があるように思います(そもそも「ロジカルシンキングを使えば売上が伸びる」という世界観自体がまったくロジカルじゃない)。「ロジカルシンキング」という言葉が、どこか歪められてしまっている。
どちらかというと論理的思考力というのは、「当たり前のコミュニケーションを成立させる」「トンデモ言説に騙されないようにする」「正しく伝わる文章を書く」といった<守り>の要素の方が強い。その限界を正しく認識した上で、それでもビジネスパーソンの「身だしなみ」としてキッチリと論理的思考力を身につけるのが大切です。
ここでは元コンサル的な人が語る表層的なロジカルシンキング本ではなく、本当に仕事で使える論理的思考力が身につく良書を厳選して紹介します。
(※なお、「論理的思考力がそもそもなぜ必要か?」については、こちらの記事も参考になるのでぜひ)
仲島ひとみ・野矢茂樹共著『それゆけ! 論理さん【大人のための学習マンガ】』
⇒超基礎から鍛えるならこの本から!
論理学者の野矢茂樹さんの論理トレーニングの内容を学習マンガにした本。マンガなのでスラスラと読める。受験勉強も基礎を疎かにしたまま応用問題を解いても実力が上がらないのと同じように、論理的思考力も一番土台の基礎をしっかり固めるのが大切。私はこの本を読んで勉強できて本当に良かったです。
野矢茂樹著『論理トレーニング101題』
⇒この本はとにかくヤバい。
上と同じく野矢茂樹さんの著書。ただし難易度は70段階くらい上がっている。超良問揃いだが、超難問揃い。「ちょっとレベルが高いかも…」と感じた人は無理せず上の学習マンガの方から取り掛かろう。
断言するが、この本を手を抜かずに最後までやり遂げれば、120%の確率で「仕事ができる人」に生まれ変わることができる。少なくとも自分にとってはそれくらいインパクトがあった。考える力を鍛えたいビジネスパーソンはぜひ取り組んでほしいコスパ最高の学習参考書。
ちきりん著『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』
⇒ちきりんさんの書いたロジカルシンキング本。タイトルにある「自分のアタマで考える」というメッセージが素晴らしい。
上の野矢茂樹さんの2冊はいかにも教科書的だが、この本はより<Streetwise>な論理的思考力を教えてくれる。この本を読む中で、『論理的に自分のアタマで考えていくって、こんなに仕事に役立つことなんだ!』という感動体験を得ることができれば、きっとこれからの職業人生が楽しく充実したものになるはず 。
※ちきりんさんのオススメブログ記事をいくつか抜粋。全20代ビジネスパーソンに読んでほしい。→ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪
波頭亮著『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論
と実践』
⇒コンサルチックな論理的思考力が学べる本。私はコンサル出身者が書いた「ロジカルシンキング本」のほとんどは実際の仕事に役に立たない表層的なものだと思っているが、この本は別格。論理の原理原則を精緻に学ぶことができる良書であることは間違いない。人を選ぶ本であり好みは分かれる気がするが、ハマる人にはハマるであろう一冊。「合わないな」と思ったら途中で読むのをやめても良いので、ぜひ試しに買ってみてほしい。
出口汪著『出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)』
⇒コンサル入りたての頃、佐藤優さんの『読書の技法』という本に『出口さんの実況中継を解けば仕事で使う論理的思考力が飛躍的に向上する』と書いているのを見かけた。『おいおい社会人になって現代文とかジョークかよ…』と疑心暗鬼が拭えず 、けれども佐藤優さんの大ファンだったため、軽い気持ちで買って解いてみたら、ビックリするほど効果があった1冊。いやほんと、騙されたと思ってやってみてほしい。仕事に役立つ論理的思考力の真髄が味わえます。
(※「本当に役立つの?」と思った人は、まずは佐藤優さんの『読書の技法』を買って読んでみてください。第5章で出口さんの実況中継が学習教材として取り上げられています)
(※全3冊あります。1冊目のリンクのみ紹介していますが、他の2冊も
オススメです)
デザイン思考
デザイン思考とは「デザイナーのように考える」ということ。と言っても分かりづらいので(笑)、具体例を挙げてみましょう。
たとえば椅子のデザインを考えます。皆さんがデザイナーなら、椅子をどうデザインするでしょうか。
「材質は木が良いか、化学素材が良いか?」
「どのくらいの硬さにすると座り心地が一番良くなるか?」
「腰のくぼみはどうするか?腰が痛くならないようにするには?」
「手すりをつけた方が、座る人が喜ぶのではないか?」
→たった1つの椅子をデザインするだけでも、デザイナーはとことん「ユーザーに想いを馳せる」必要があるわけです。ちょっとカッコつけた言葉を使うなら「人間中心設計」です。
この「ユーザーに想いを馳せる(=人間中心設計)」という思考プロセスを、形のないビジネス、特にデジタル系のサービスに適用させれば、ユーザーに選ばれる「売れ筋商品」が作れるのではないか、というのが、私流に噛み砕いて説明したデザイン思考です。主に商品・サービス開発に使える思考法と言えるでしょう。
特にこれから本格的に到来するDXの時代では、デザイン思考の重要性はますます増してきます。「市場価値を高めたい、けれども財務諸表やExcelとにらめっこする系の経営企画的なお仕事をやりたいわけじゃないんだよな…」という人は、デザイン思考を身につけてサービスデザインの世界に入っていくのもありかもしれません。今後ますます需要が高まりますし、スタートアップや新規事業界隈で引っ張りだこの人材になれるはずです。
この辺りの「そもそもデザイン思考ってなぜ重要なの?」「DXの時代に重要になってくるってどういうこと?」という点については「アフターデジタル2 UXと自由」や「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き」などを読むとよくわかるので、社会背景から納得したい方はぜひこちらの2冊を読んでみてください。
(※新規事業がわかる読書リスト、スタートアップがわかる読書リストも用意しています。興味のある方はこちらもぜひ)
佐宗邦威著『世界のトップデザインスクールが教える デザイン思考の授業』
⇒まずはこの本。デザイン思考の考え方がコンパクトにまとまっている。図も入っているので分かりやすい。デザイン思考を理解するなら一番王道の入門書と言える。巻末の山口周さんとの対談も面白い。
(※この本が面白かった人は、同じ著書のこちらの本もどうぞ。)
田村大、坂元勲、小田ビンチ共著『まんがでわかるデザイン思考』
⇒わかりやすい学習マンガで、入門として最適。デザイン思考のいう「人間中心設計」とは結局どういうことなのか、水準を落とさず分かりやすく説明している。将来商品企画系の仕事をしたい人にもオススメ。
安斎勇樹・塩瀬隆之共著『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』
⇒ファシリテーションに関する本なので、デザイン思考そのものの本というわけではないが、デザイン思考の過程で必要になることが多いワークショップを運営する上で参考になる一冊なのでリストアップ。とにかく名著であることは間違いないのでぜひ読んでほしい。
(※また、これはデザイン思考とは完全に関係ないが、上に紹介した赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考』と組み合わせると非常に相性が良い。「良い問いを思いつく→メモ書きで閃く」の無限ループに入れる)
前野隆司・保井俊之・白坂成功・富田欣和・石橋金徳・岩田徹・八木田寛之共著『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』
⇒慶應の「システムデザイン・マネジメント研究科」による本。イノベーションを起こす時の発想法がこれでもかと詰め込まれた超役に立つ一冊。図も多いので読みやすい。結局、ロジカル思考にしてもデザイン思考にしてもこの本に書かれている思考にしても、「その時そのフィールドで役に立つ思考法が一番優れた思考法」なので、この本を読んでレパートリーを増やしておくことは必ず役に立つはず 。
佐宗邦威著『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』
⇒論理的思考力だけでは問題を解決できない。その外側にある思考法とは何か?上述の「デザイン思考の授業」を書いた佐宗さんの渾身の一冊。「ロジカルシンキングこそ正義だ」という毒された考えた方を持っている人ほど読んでほしい。そして、Amazonのサイトから持ってきた下の画像にピンと来た人、今すぐポチりましょう。
濱口秀司著『SHIFT:イノベーションの作法』
⇒スタートアップ時代の先輩にオススメされて読み、頭を殴られたような衝撃を受けた本。巷に出回っているイノベーション本とは次元の違う本質的な思考が展開されており、迫力が段違い。自分の語彙力ではこの本を説明しきれないので、とにかく読んでほしい。特に新規事業・サービスデザイン/商品企画・スタートアップ界隈の人は必読の書。約5000円と値段は高いが、それをはるかに上回るリターンがあることを保証します。
システム思考
ロジカル思考、デザイン思考と来て、最後に紹介するのはシステム思考の本です。
「システム思考」とは何か?
一言で言えば、「問題を分解せず、システムひとかたまりとして認識し、問題解決しましょう」というのが特徴。
いわゆるロジカルシンキングのイシューツリーのような考え方は、各構成要素・パーツが独立していることを前提にし、そのパーツを1つずつ個別撃破すれば結果を出せるような書き方をしていることが多いです(コンサルお得意の「フェルミ推定」もこの前提で成り立っている)。しかし実際は各構成要素・パーツ同士の間には相互作用があり、どれか1つだけ変えれば全て解決!という生やさしいものではない、というのが問題意識の出発点として存在します。ではどうすれば良いか?システム思考の本を読めばよく分かります。
湊宣明著『実践システム・シンキング 論理思考を超える問題解決のスキル』
⇒システム思考の入門書として最も分かりやすく最適な本。特にシステム思考のコアとなる因果ループ図については練習問題も充実しているので、腹落ち感があるはず 。
そしてこの本を読めば、巷でロジカルシンキングと言われるものの弱点がよくわかる。あるいはコンサルティング・ファームのプロジェクトにおいても「スコープ」という概念があり、そのスコープの範囲を超えた範囲でのシステム思考的な相互作用が無視されてしまっていることが本当の改革ができない原因になっているということも、この本を通して理解できるはず 。
その他
その他、ロジカル思考・デザイン思考・システム思考のどれにも分類しづらいものの、思考力を鍛える上で役に立つ本をリストアップしました。読めば必ず仕事に役立ちます。
佐藤優著『超したたか勉強術』
⇒新書ではあるが、おそらくこのページで紹介した中で最も思考体力が求め
られる本。
著者の佐藤優さんは外務省出身の作家であり、インテリジェンス(情報分析)のプロ。日々、国際政治経済を読み解くなかで鍛えてきた「情報の分析方法」を惜しみなく読者に披露してくれる良書。この本を読めば、いかにしてネットやメディアの情報を鵜呑みにするだけでなく、その向こう側にある本質的な動きを洞察することができるか、よくわかる。
ガチ勢向けの本なので、覚悟のある方だけ読んでほしい。読めば必ず成果につながります。
田坂広志著『直観を磨く 深く考える七つの技法』
⇒論理思考、いわゆるロジカルシンキングについて、著者は「論理思考は思考法の中でも初級課程レベルにすぎない」と主張する。ではどう考えれば良いのか?どうすれば直観が磨かれるのか?思考力を一段高みに引き上げるために必要なアクションが丁寧に書かれている良書。途中、ややスピリチュアルっぽい文章が出てくるので好みが分かれそうだが、そこも含めて私は高評価している。
山口周著『外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~』
⇒「みなさん、ロジカルシンキングの本を読んで、結果を出せましたか?」という煽りの文章からスタートするこの本。確かにロジカルシンキング本を読むだけで、実際に仕事に活かすのが難しいという人は多い。ではどうすれば良いのか?この本には、山口さんがコンサルティングの現場で結果を出すための知的生産のテクニックが余さず書かれている。ストーリー形式の本ではない分やや読みづらさはあるが、1つ1つの説明は面白いので飽きがこない本。私は社会人2年目の後半にこの本を熟読して、コンサルティング・ファームへの転職を成功させました。
ちきりん著『マーケット感覚を身につけよう―「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法』
⇒このページで紹介した「デザイン思考」とも親和性がある考え方。
マーケット感覚とはすなわち「価値に気づくスキル」。たとえば同じ主婦でも「何のスキルもない…」とネガティブに考える人もいれば、収納アドバイザー・しつけ/教育コンサル・キャラ弁のレシピ動画作成など、世の中のニーズを察知して価値提供に成功する人もいる。
その差を生んだのは「主婦スキルそのものの違い」なのか?いや、そうではなく、「自らの持つ主婦スキルが、誰にとってどんな価値があるか見抜くスキル」なのだとちきりんさんは主張する。
ちきりんさんはこの「マーケット感覚」を「ロジカルシンキングの対になるスキル」と位置づけている。興味のある人はぜひ。
※ちきりんさんの関連ブログ記事はこちら。「マーケット感覚って何?」という方はぜひ。 → ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
関連リンク
以下のリンクでもオススメ本をまとめています!ぜひご覧ください!
◆20代のうちに読むべき本
◆読書の仕方がわかる
◆キャリアについて考える
◆仕事の速さを極める
◆思考力を鍛える
◆メンタル管理・ストレスマネジメント
◆Excelを極める
◆スライド作成・PowerPointを極める
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◆マーケティング
◆データ分析・テクノロジー
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◆デザイン思考
◆新規事業
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