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南フランスのブランケット 

 先日、クレマン・ド・リムーの記事を書いたのだが、僕はフランスの南部、ラングドック地方で作られるワインが好きで、自宅ではよく飲む。今日はラングドックの中でもリムーのスパークリングワイン、ブランケット・ド・リムー(Blanquette de Limoux)の感想を思うままに書いてみたい。

 フランス語でblanquetteと言えば、クリームを使った白い煮込み料理の総称だが、Blanquette de Limoux のブランケットも白ワインのスパークリングだからそう呼ぶのかも知れない。確かに表面に立つ泡は白い。

 リムーには、ブランケット・ド・リムーとは別にクレマン・ド・リムーと表記されたスパークリングワインもある。いずれもリムーのスパークリングワインだが、何が違うのか? 
 大きな違いは使われる品種。クレマン・ド・リムーの主要品種はシャルドネで、シュナン・ブランやピノ・ノワールが補助品種として用いられるが、シャルドネの比率が30%以上と決まっている。対してブランケット・ド・リムーは、シャルドネやシュナン・ブランは補助品種で、モーザックという品種を90%以上使わなくてはならない。

 モーザック?シャルドやピノ・ノワールは聞いたことがあっても、モーザックは聞いたことがないという人も多いと思う。モーザックはフランスの南部、リムーやガイヤックで栽培される品種。シャルドネのように「全国区」「ワールドワイド」ではない品種だ。

 リムーはフランスの発泡性ワイン発祥の土地とも言われる。発酵途中で瓶詰め、栓をして瓶内で発酵を継続させる。発生する二酸化炭素は瓶内に閉じ込められ、ワインに溶け込み、きめ細かな泡の立つスパークリングワインが出来上がる。

 今回飲んだブランケット・ド・リムーは、緑色が少し入った黄色で、泡立ちは良かった。香りには白い花やリンゴ、柑橘のニュアンスが漂う。酸味もあるが、強すぎずまろやかな口当たりだった。ブランケットは多分白い色の意味なのだろうけど、「blanketのように優しい口当たり」とも思えた。

 モーザックに限らず、全く知らない地場品種のワインは、そのワインが生まれた土地へのイメージを喚起してくれるし、海を超えて僕の手元に届いた一本一本のワインとの一期一会を実感させてもくれる。その一方で、僕は土着品種に対する知識も乏しく選ぶのが難しいと感じることも多い。

 ワインは値段なりであることも多々ある。ただ、リムー地域のワインは、それほど高いということなく、味は美味しいと思う。個人的にはとてもお勧めのワインたちだ。

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