見出し画像

2016年 日本数学オリンピック本選 第4問 解答例

実数に対して定義され実数値をとる関数$${f}$$であって、任意の実数$${x, y}$$に対して
$${f(yf(x) - x) = f(x)f(y) + 2x}$$
が成り立つようなものをすべて求めよ。

公益財団法人 数学オリンピック財団HP   第21回(2011年)JMO本選の問題

考え方:

式がシンプルになるような代入のしかたがあまりおおくありません。
多少複雑な形でもそれを駆使しながら進む必要があり、
ある程度見通しをもって進まないと迷いがちなところです。
とはいえ、少しずつ見つけてきた条件を別の形で使うような代入を行えば
答えにたどり着けます。
壁を破るのは$${yf(x) - x}$$と$${y}$$が等しくなるような代入です。

解答例:

$${x = y =0}$$を元の式に代入し、
$${f(0) = f(0)^2}$$ より、$${f(0) = 0, 1}$$

(i) $${f(0) = 0}$$のとき
元の式の$${x}$$を$${-x}$$とし、$${y=0}$$を代入すると、
$${f(x) = -2x}$$
これは条件を満たす。

(ii)$${f(0)=1}$$のとき
ある$${0}$$でない実数$${x_0}$$に対して$${f(x_0) =1}$$とする。
元の式に$${x=y=x_0}$$を代入すると、
$${f(0) = f(x_0) +2x_0}$$
となるため、$${x_0=0}$$となり矛盾する。
よって、$${x=0}$$以外に$${f(x)=1}$$となる実数$${x}$$はない。

以下$${x\neq 0}$$であり、すなわち$${f(x)\neq 1}$$とする。
元の式に$${y=\frac{x}{f(x)-1}}$$を代入すると、
$${yf(x) - x = \frac{x}{f(x)-1}}$$であるから、

$$
\begin{align*}
f\left(\frac{x}{f(x)-1}\right) & = f(x)f\left(\frac{x}{f(x)-1}\right) + 2x\\
\Rightarrow -2 \frac{x}{f(x)-1} & = f\left(\frac{x}{f(x)-1}\right)            \tag{1}
\end{align*}
$$

となる。
元の式の$${x}$$に$${\frac{x}{f(x)-1}}$$を代入し、$${y=0}$$とすると、

$$
f\left(-\frac{x}{f(x)-1}\right) = 0
$$

を得る。
元の式に$${x=\frac{1}{2}}$$を代入し、さらに$${y}$$を$${-\frac{x}{f(x)-1}}$$とおくと、

$$
f\left(-\frac{x}{f(x)-1}f\left(\frac{1}{2}\right) - \frac{1}{2}\right) = 1
$$

を得るが、$${x=0}$$以外に$${f(x)=1}$$となる実数$${x}$$はないので、

$$
-\frac{x}{f(x)-1}f\left(\frac{1}{2}\right) - \frac{1}{2} = 0
$$

となる。よって

$$
f(x) = -2f\left(\frac{1}{2}\right)x +1
$$

を得る。
これを(1)に適用すると、
$${2f\left(\frac{1}{2}\right) = 1}$$すなわち$${f(x) = -x + 1}$$を得る。
これは$${f(0) = 1}$$を満たすので、$${x=0}$$に対しても成り立ち、
元の式を満たす。

以上より、解は$${f(x) = -2x, f(x)=-x+1}$$である。

お知らせ:

少しでも興味深い、楽しいと感じたらぜひスキやコメント、フォローください!
間違いなど見つけましたら是非お教えください。
他に公開している記事などの一覧はこちら
ぜひ初めに見てください。|光捷 (note.com)

いいなと思ったら応援しよう!