光捷

国立大理系博士卒で物理系の研究職。 数学はただの趣味。 大昔、数学オリンピックの予選を…

光捷

国立大理系博士卒で物理系の研究職。 数学はただの趣味。 大昔、数学オリンピックの予選を突破するも、本選は散々な結果。 悔しかったのでその後も解いてみています。 高校数学の難しい問題に興味あっても情報がなくて困っている方がいるかもと思い、 解けたものを公表してみることにしました。

最近の記事

2010年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

考え方: まず$${n}$$は奇数でないといけないことは明らかです。 $${2^k}$$で割り切れる値は当然$${2^1, 2^2, \cdots 2^{k-1}}$$でも割り切れますから、 上手く$${n}$$を選ぶことで$${n^n -m}$$が$${2}$$で割れる数をどんどん大きくできる、 そんな$${n}$$の構成方法がある、 ということを示すのが良さそうです。 $${m = 3}$$で実験してみると、 $${n=3}$$のとき$${3^3 - 3 = 24}$

    • 2012年 日本数学オリンピック本選 第3問 解答例

      考え方: すぐわかる必要条件から解を絞り、 それが十分条件でもあることを示す方針です。 目星をつけた$${n}$$について、 $${x^n-1}$$が$${p}$$で割り切れる条件を用いて $${p^2}$$でも割り切れることを示します。 数論の基本定理を知っていることが大きな武器になります。 解答例: $${x = p + 1}$$とすると、 $$ (p+1)^n - 1 \equiv 0   (\text{mod } p)  $$ なので、条件を満たすには$${

      • 2023年 日本数学オリンピック本選 第3問 解答例

        考え方: 条件がややこしくて混乱しますが、 丁寧に紐解けば$${\{a_i\}}$$が狭義単調増加であることが導けます。 $${\{a_i\}}$$が公差$${1}$$の等差数列で条件を満たすものがあるのはわかるので、 $${i}$$が$${1}$$増えた時に$${a_i}$$が$${2}$$以上増えることがあるかを調べてみると、 なかなかうまくいかないことがわかります。 これをうまく言語化する方法を考えましょう。 $${a_{k+1}}$$と$${a_k}$$の差が大き

        • 2013年 日本数学オリンピック本選 第3問 解答例

          考え方: まずは$${a_1 = 1}$$としてみて2つ目の条件を満たす 数列$${\{a_k\} }$$を探してみましょう。 $${a_2 = 7, a_3 =17, a_4 = 31}$$あたりで法則性を見いだせれば、 一般項を$${k}$$を用いて表すのは簡単です。 (以下、ここで見つけた数列を$${\{b_k\} }$$と置きます。) あとは$${\{a_k\} }$$の各項が$${\{b_k\} }$$より 小さくすることができないことを示せばクリアです。 ここで

        2010年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

        • 2012年 日本数学オリンピック本選 第3問 解答例

        • 2023年 日本数学オリンピック本選 第3問 解答例

        • 2013年 日本数学オリンピック本選 第3問 解答例

          2015年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          コメント: 分母の素因数が2と5のみになるような$${n}$$を探します。 できる変形は限られているので、その中で情報を増やして絞っていきましょう。 解答例: 分母$${n^3+n^2+n+1 = (n^2+1)(n+1)}$$の素因数が $${2}$$と$${5}$$のみになることが必要である。 $${n+1}$$が$${5}$$の倍数の時、$${n^2+1}$$は$${5}$$の倍数にならない。 つまり、$${n+1}$$と$${n^2+1}$$少なくとも一方は$$

          2015年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          2011年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          コメント: 丁寧に処理する必要があり、場合分けなどやや面倒ですが、 両辺を$${a}$$の累乗で順次割れるだけ割っていけば特に難しい発想をすることなく解が絞れて行きます。 下の解答例では長い式を書くのを減らすために途中で合同式を駆使していますが、 合同式に頼らなくても同様の議論ができると思います。 解答例: $${a=1}$$のとき、$${n, p, q, r}$$によらずに条件を満たす。 以下、$${a\geqq 2}$$とする。 $${p\leqq q\leqq

          2011年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          2017年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          コメント: $${a+c}$$と$${b+c}$$が出てくるので、この2数の差を取りたくなりますね。 これをとっかかりとして丁寧に論証すればあまり難なく示せるようです。 ちょっとあっけなすぎて逆に自信がなくなるくらい。 (ですので、誤りなどありましたらご指摘ください。) 解答例: ある正の整数$${a, b, c}$$について $${a}$$と$${b}$$の最小公倍数と$${a+c}$$と$${b+c}$$の最小公倍数は等しいとして 矛盾を示す。 $${a}$$と$$

          2017年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

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          初めまして、光捷です。 数学オリンピックの問題の解答例をせっせとアップしています。 数学オリンピックに挑戦したいけど情報が少ない中高生の方や、 数学の問題が好きで趣味で解いているけど孤独を感じている大人の方に、 情報が届けられれば。 現在のところ、本選問題からいくつか、 私が解けたものの考え方や解答例を紹介しています。 以下でリンクがあるものが、記事を作成したものです。 問題の一覧は数学オリンピックの公式サイトをご覧ください。 解答例記事の一覧 2024年 第1問 第2

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          2016年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          考え方: 条件が複雑なのでピンとこないうちはまず実験してみることになります。 $${p=3}$$のとき、 $${k=1}$$だと$${kp+1=4}$$の約数のうち条件を満たすのは$${1, 2}$$ $${k=2}$$だと$${kp+1=7}$$の約数のうち条件を満たすのはない。 よって求める値は$${2}$$ $${p=5}$$のとき、 $${k=1}$$だと$${kp+1=6}$$の約数のうち条件を満たすのは$${1, 2, 3}$$ $${k=2}$$だと$${k

          2016年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          2021年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          考え方: 同値なので、 ①上の条件が真なら下の条件も真  ②上の条件が偽なら下の条件も偽(下の条件が真なら上の条件も真)  の2つが成り立つことを使いそうです。 $${m=n}$$のケースで①を考えると$${f(n)}$$は$${n}$$の約数であることはすぐにわかります。 そこで、$${f(n)}$$を下から抑えるのに②を使うことを考えます。 $${m}$$が素数ならばすぐ結論がでるので、そこから結論を拡大していく形で解答例としました。 解答例: 条件において$${m

          2021年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          2009年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          コメント: 割り切れるような、ですので、素直に割り算すれば問題ありません。 分子に多項式、分母に指数がある形にもっていくことができれば、$${n}$$が大きくなると分母が分子より大きくなるので整数にならないことから、$${n}$$の範囲を絞ることができます。 解答例: $$ \frac{8^n+n}{(2^n) + n} = (2^n)^2 - n(2^n)+n^2 - \frac{n^3-n}{(2^n) + n} $$ より、割り切れるためには$${\frac{n

          2009年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          2006年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          コメント: 「無限個存在する」という慣れない条件の処理が大変そうです。 逆に条件を満たさない$${k}$$について無限個存在しないこと示すのはどうしたらよいだろう、すごく難しそう、 とか考えながら色々実験してみて、 真実にたどり着けば勝ちです。 多分、自力でたどり着けずに答えを教えてもらうとものすごく悔しいです。 解答例: 左辺で$${b = a+1}$$とすると $$ \begin{align*} (a^2-k)(b^2-k) &= (a^2-k)\{(a+1)^2

          2006年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          2014年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          コメント: 変数が多くて大変そうですが、指数をメインとした整数の方程式のセオリー通り、剰余の評価で一気に絞れます。 剰余の評価において適切な法を選べるかが決め手になりますが、ここは根気強く色々試してみるのが吉でしょう。 解答例: $${a \geqq 3, c \geqq 3}$$のとき、$${2^a, 6^c}$$は8の倍数である。 よって $${3^b +1 \equiv 0 \text{(mod8)}}$$ となるが、これを満たす正の整数$${b}$$はない。 よ

          2014年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          2019年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          コメント: 整数の方程式問題ですが、平方数に何かを足して平方数になり、 その右辺が平方数から平方数を引いたものになっています。 $${n^2}$$の前後の平方数は$${(n-1)^2}$$と$${(n+1)^2}$$であり、 $${2n}$$程度の間が空くことが活用できます。 両辺に現れる$${b}$$を固定したとき、左辺が平方数になる条件から$${a}$$が上から抑えられるのに対し、 右辺に平方数の差があることから、$${a}$$が下から抑えられそうです。 これにより$

          2019年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          2022年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          コメント: 正の整数に限定されるやや特殊な関数方程式ですが、 落ち着いて$${m, n}$$に色々代入して情報を増やしていくと複雑な処理なく正解が絞れます。 答え自体はすぐ想像ができますが、きちんと示すためには$${f^{f(n)}(m)}$$の処理が必要です。 $${f^k(n)}$$が$${k}$$に対して単調増加であることが鍵になります。 解答例: 与式で$${n = m}$$とすると $$ \begin{align*} &{f(m)}^2 = m^2 + f^

          2022年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

          2020年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例

          コメント: 条件から平方根の中身は平方数になる必要があります。 また、$${n}$$が奇数であることは明らかなので$${2^{n-1}}$$は平方数になります。 複数の平方数が絡む問題の場合、 $${n^2}$$の次の平方数が$${(n+1)^2}$$でありその間に平方数はない という一見当たり前の事実によって答えを大きく絞れることがよくあります。 以下はこれを活用した解答例です。 解答例: 条件から$${\frac{n^2+1}{2m}}$$は正であり、 この値が整

          2020年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例