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2024年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

正の整数に対して定義され正の整数値をとる関数$${f}$$であって、任意の整数$${m, n}$$に対して
$${\textrm{lcm}(m, f(m + f(n)) = \textrm{lcm}(f(m), f(m)+n)}$$
をみたすものをすべて求めよ。
ただし、正の整数$${x, y}$$に対し、$${x, y}$$の最小公倍数を$${\textrm{lcm}(x, y)}$$で表す。

公益財団法人 数学オリンピック財団HP jmo34hq.pdf (imojp.org)

コメント:

最小公倍数が出てきて面食らうかもしれませんが、着実に情報を集めていけばするする条件が狭まり、気づけば解けています。
以下は解答の一例で、他にいくらでもやりようがあるように思います。

解答例:

条件より、$${n}$$の値に関係なく与式の左辺は$${m}$$の倍数である。
右辺において$${n = 1}$$のとき、$${f(m)}$$と$${f(m)+1}$$は互いに素であるため、

$$
\textrm{lcm}(f(m), f(m)+1) = f(m)\{f(m) + 1 \}
$$

となる。よって、$${f(m)\{f(m) + 1 \}}$$は$${m}$$の倍数になる。
また、$${n = 2}$$のとき、

$$
\textrm{lcm}(f(m), f(m)+2) = \begin{cases}
f(m)\{f(m) + 2\} & f(m)\text{が奇数のとき} \\
f(m)\{f(m) + 2\} / 2 & f(m) \text{が偶数のとき} 
\end{cases}
$$

となり、$${f(m)\{f(m) +2\}}$$も$${m}$$の倍数になる。
以上を合わせて、$${f(m)}$$は$${m}$$の倍数であることがわかり、正の整数$${k_m}$$を用いて$${f(m) = mk_m}$$とおける。
元の式の両辺の$${n}$$に$${f(m)}$$を代入すると、右辺は

$$
\textrm{lcm}(f(m), 2f(m)) =2f(m) = 2mk_m
$$

となり、左辺は正の整数$${k'_m, k''_m}$$ を用いて

$$
\begin{align*}
\textrm{lcm}(m, f(m + f(f(m))) &= \textrm{lcm}(m, f(m + f(mk_m))) \\
& = \textrm{lcm}(m, f(m + mk_mk'_m)) \\
& = m(1 + k_mk'_m)k''_m
\end{align*}
$$

とかける。以上から、

$$
\begin{align*}
m(1 + k_mk'_m)k''_m  & = 2mk_m \\
\iff (1 + k_mk'_m)k''_m & = 2k_m
\end{align*}
$$

となる。
$${k'_m \geqq 2}$$ または $${k''_m \geqq 2}$$のとき、左辺は$${2k_m}$$より大きくなり成り立たない。
よって、$${k'_m = 1}$$ かつ $${k'_m = 1}$$となる。このとき、

$$
\begin{align*}
1 + k_m &= 2k_m \\
\iff k_m &= 1
\end{align*}
$$

となる。これは任意の正の整数$${m}$$に対して成り立つ。
よって $${f(m) = m}$$が求める解である。

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