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2011年 日本数学オリンピック本選 第2問 解答例

正の整数の組$${(a, n, p, q, r)}$$であって、等式
$${a^n-1 = (a^p-1)(a^q-1)(a^r-1)}$$
をみたすものをすべて求めよ。

公益財団法人 数学オリンピック財団HP 第21回(2011年)JMO本選の問題 (imojp.org)

コメント:

丁寧に処理する必要があり、場合分けなどやや面倒ですが、
両辺を$${a}$$の累乗で順次割れるだけ割っていけば特に難しい発想をすることなく解が絞れて行きます。
下の解答例では長い式を書くのを減らすために途中で合同式を駆使していますが、
合同式に頼らなくても同様の議論ができると思います。

解答例:

$${a=1}$$のとき、$${n, p, q, r}$$によらずに条件を満たす。
以下、$${a\geqq 2}$$とする。

$${p\leqq q\leqq r}$$としても一般性を失わない。
また、明らかに$${n  \geqq p}$$である。
$${p < q}$$とすると、与式より$${-1 \equiv a^p -1 (\text{mod } a^{p+1})}$$となるが
これをみたす$${a, p}$$はないので矛盾。
よって$${p = q}$$である。
この時与式は

$$
a^n -1= (a^p - 1)^2(a^r-1)
$$

となる。

(i)$${p = q = r}$$ のとき、
再度剰余を考えると
$${-1 \equiv 3a^p -1 (\text{mod  } a^{p+1})}$$
であり、これを満たすには$${a=3}$$となる。
元の式に代入して展開すると

$$
\begin{align*}
3^n &= 3^{3p}-3^{2p+1}+3^{p+1}\\
\Rightarrow 3^{n-p-1} &= 3^{2p-1}-3^p + 1
\end{align*}
$$

となり、これが成り立つためには$${n=p+1}$$が必要。
この時$${0 =3^p(3^{p-1}-1)}$$となり、$${p=1}$$を得る。
よって$${(a, n, p, q, r) = (3, 2, 1, 1, 1)}$$
これは与式を満たす。

(ii)$${p = q < r}$$ のとき、
再度剰余を考えると
$${-1 \equiv 2a^p -1 (\text{mod } a^{p+1})}$$
であり、これを満たすには$${a=2}$$となる。
元の式を展開すると、

$$
\begin{align*}
2^n &= 2^{2p + r}-2^{p+r +1}+2^r -2^{2p} +2^{p+1}\\
\Rightarrow 2^{n-p-1} &= 2^{p +r - 1}-2^r + 2^{r-p-1} -2^{p-1} +1
\end{align*}
$$

となるが、両辺を2で割った余りを考えると、
$${n-p-1=0, r-p-1=0, p-1=0}$$の少なくとも1つが成立する必要がある。

(ii-i) $${p-1=0}$$のとき、
元の式は$${2^n - 1 = 2^r-1}$$となるから、$${n=r}$$であれば成り立つ。
よって$${(a, n, p, q, r)= (2, k, 1, 1, k)}$$($${k}$$は任意の正の整数)を得る。
これは与式を満たす。

(ii-ii)$${p\geqq 2\text{かつ} r-p-1=0}$$のとき
元の式は$${2^{n - p -2} = 2^{2p-1} - 2^p - 2^{p -2} +1}$$となる。
両辺を2で割った余りを考えると
$${n-p-2=0 \text{または} p-2=0}$$が必要となる。
このうち$${n-p-2=0}$$のとき、
$${2^{2p-1} - 2^p - 2^{p -2} =0}$$すなわち$${2^{p+1} - 4 -1 = 0}$$となるが、
これを満たす$${p}$$はない。
よって$${p = 2, r = 3}$$となる。
これを元の式に代入すると$${n=6}$$、
つまり$${(a, n, p, q, r)= (2, 6, 2, 2, 3)}$$を得る。
これは与式を満たす。

(ii-iii)$${p\geqq 2\text{かつ} n-p-1=0}$$のとき、
元の式は$${2^{p +r - 1}-2^r + 2^{r-p-1} -2^{p-1}  = 0}$$となるが、
$${r-p-1 \neq p-1}$$のときは解がないため$${r-p-1 = p-1}$$
つまり$${r = 2p}$$を得る。
この時$${2^{3p-1} -2^{2p} =0}$$となるが、$${p\geqq 2}$$ではこれは成立しない。

以上をまとめ、$${p, q, r}$$の入れかえも考慮すると、解は
$${(a, n, p, q, r) = (2, 6, 2, 2, 3), (2, 6, 2, 3, 2), (2, 6, 3, 2, 2), (3, 2, 1, 1, 1)}$$
$${(a, n, p, q, r)= (2, k, 1, 1, k)}$$($${k}$$は任意の正の整数)
および $${a =1}$$,($${n, p, q, r}$$は任意の正の整数)

同じような計算を繰り返すだけですが、かなりごちゃごちゃしてしまいました。
もっと簡単に書けそうな気がします・・・。

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