
2022年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例
横一列に並んだ$${2022}$$個のマスを使って、AさんとBさんがゲームを行う。はじめ、左から奇数番目のマスにはAさんの名前が、偶数番目のマスにはBさんの名前が書かれており、Aさんから始めて交互に以下の操作を行う。
自分の名前が書かれている$${2}$$マスであって、隣接しておらず、
間に挟まれたマスにはすべて相手の名前が書かれているものを選ぶ。
選んだ$${2}$$マスの間に挟まれたマスに書かれている相手の名前を
すべて自分の名前に書き換える。
どちらかが操作を行えなくなったらゲームを終了する。次の条件を満たす最大の正の整数$${m}$$を求めよ。
Bさんの操作の仕方にかかわらず、Aさんはゲームが終了したとき、
Aさんの名前が書かれているマスが$${m}$$個以上あるようにできる。
考え方:
1次元でのオセロのようなゲームですが、
オセロのように、もう相手にとられることがないマスを増やしていくのが
基本戦術になりそうです。
AB両方が最善の戦術をとったときにどうなるかを考えると、
結果はかなりシンプルです。
解答例:
隣接するマスとマスの間の辺であって、
片側にAさん、逆側にBさんの名前が書かれているようなものを境界線と呼ぶことにする。
はじめ、境界線は$${2021}$$本あり、1回の操作で必ず$${2}$$本ずつ減る。
また、境界線が$${1}$$本になるまでどちらも必ず操作を続けられるため、
AさんとBさんそれぞれ$${505}$$回ずつ操作を行いゲームは終了する。
Aさん、Bさんの操作によらず、最も左にある境界線の左側にはAさんの名前が書かれている。
また、各操作後に最も左にある境界線の左側のマスはその後Bさんの名前に書き換えられることはない。
Aさんは毎回の操作において、
最も左にある境界線とその1つ右にある境界線の間のBさんの名前を自分の名前に書き換えるようにする。
この時、毎回の操作で最も左にある境界線よりも左にあるマスは$${2}$$個以上増える。
これを$${505}$$回行うと、Aさんの名前が書かれているマスは$${1011}$$個以上になる。
逆に、Bさんが毎回の操作において、
最も右にある境界線とその1つ左にある境界線の間のAさんの名前を自分の名前に書き換えるようにすると、
同じ議論によりBさんの名前が書かれているマスをゲーム終了時に$${1011}$$個以上にすることができる。
よって、AさんはBさんの操作によってはゲーム終了時に$${1012}$$個以上にすることができない。
以上より、$${m=1011}$$となる。
コメント:
操作の結果、お互いがベストを尽くすとそれぞれのポイントが最初と同じになって引き分けというのは、
ゲームとしては大変つまらないですね・・・。
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