「伝えたいことは全くない。」
個展を開くと鑑賞者にたまに聞かれることのトップ10に入る「何か伝えたいメッセージなどがあるのですか?」という質問。今ならはっきり言えますが「伝えたいことは全くないです。」伝えたいと思って描いたことはないなぁと。今、わたしといわれている身体に伝わってきたことを、感じ考えてから、紙なり、音、身振りに変えて表出しただけなのですよね。
気持ちと物質の編集・実験過程でしょうか、言うなれば。
でもやっぱりそのこともよく分からない。簡単にいえば、正気を保つために描いているともいえます。
そもそも、伝えたいということは、伝えたい事柄がよく分かっていないと伝えられませんし。また、他者に伝わったかどうかは、確認しようが無いですよね。他者が観た感想を書いたとしても、それが本当にどれ程伝わったのかは、わたしには知る由もありません。
ひとつ、欲があるとすれば、わたしの作品を観たことで、いつの日か、自然由来の本来の身体、内も外もなく素直に感動できる身体に他者が成ってほしいなということ。
否「先ずは自分の身体がそう在りたいと欲している」それが、ただ唯一の絵を描くことの目的かもしれません。
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