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ひまわり

#ひまわり

1970年公開

ひまわりが地平線まで一面に続くシーンが、真夏の燦燦とした陽を浴びて明るく咲き誇るイメージとは異なり、物悲しく感じてしまうこの映画。第2次世界大戦によって、引き裂かれ翻弄された男女が、過酷な現実の中で愛し合いながらもすれ違う、切なすぎるストーリーでした。

イタリアの若いアントニオとジョバンナが大恋愛の末に結婚したが、新婚生活を満喫する間もなく夫アントニオは戦場に送られることになる。出征する兵士が出発する駅で、離れ難い二人は何度も強く抱きしめ合いながら、ジョバンナはアントニオを見送る。
戦場はソ連。そこは飢餓と極寒の地。多くのイタリア兵が次々と命を落としていく。

やがて戦争は終わるが、夫は帰ってこない。ジョバンナは、夫が生きていると固く信じ待ち続け、数年後、ソ連の独裁者スターリンが死去したのを機に、夫を探しにいくことを決意する。

訪れた激戦地跡の丘は、兵士の墓標が立ち並ぶ一面のひまわり畑。その下にひまわりの数と同じくらい多くの兵士が眠っているという。墓標には夫の名は無かった。

夫を探し回っているうちに、マーシャという女性に辿り着く。彼女は、アントニオが飢えと極寒で瀕死の状態で倒れているところを救っていた。そして一時期記憶喪失だったアントニオと一緒に暮らすうちに愛し合うようになり、家庭を築いていると知る。

受け入れ難い現実を目の当たりにしたジョバンナは、深い哀しみを抱え、アントニオと駅ですれ違いながらも言葉を交わすことなくその場から逃れるようにイタリアに戻る。

マーシャは、ジョバンナを一目みたことで 苦悩するアントニオを見かね、イタリア行きを勧める。やがてアントニオはジョバンナに連絡を取り、ジョバンナは一度は断るが、悩みながらも会うことにした。

ある夜、ジョバンナの自宅を訪ね、二人は昔の思い出に浸る。しみじみとした中でジョバンナはアントニオに「お互い歳をとったわね」と言い、強く抱擁し合う。

その時、隣りの部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえて、ジョバンナがあやしに行く。ジョバンナは新しい人生を歩んでおり、もう昔に戻れないことを確信したアントニオは、マーシャが待つソ連に帰ることを決心した。そして出征した時と同じように、駅でジョバンナに見送られて去っていく。

ジョバンナを演じたソフィア・ローレン。ラストシーンでアントニオを見送る時の確固たる意志と憂いを織り交ぜたような強い目力(めじから)がとても印象的で、深い哀愁を漂わせるテーマ曲がさらにそれを際立たせていた。

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