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【詩】蒼い死体(作:小林亀朗)

どこまでも蒼い死体になりたくて
家を飛び出してしまった
夕飯の支度はもうできていたのに
妹たちはお腹を空かせていたのに

歩く躯、わたしの躯。わたしの。ほんとうに?
うれた西瓜をほしがる躯、静けさにしずむ躯、あなたはだれのものなの?

魂はいろいろな気持ちのゆるやかな結び目
息をとめて少したてばほどけてしまう結び目
のこされる躯。この躯、
だれのものでもいい。わたしのでも、おかあさんのでも、ぽつりとうずくまる山のかみさまのでも

腕にとまった蚊をあやめた罪をわたしは償うことができない。それどころか次々にその友達や恋人をあやめ、なにかを成した気になって喜んでしまう
彼らの何倍も大きな躯をもてあまし骨ばった手を洗うとき、わたしはうすい肩をいからせ、警戒する猫の姿勢をとる。洗面台のひびをすべる蚊の死体をみて

おなじように潰されたらわたし、深い深い草むらのいろの死体になれるだろうか

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