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【詩】午前零時(作:小林亀朗)

一度眠りについたら
地平線にさす朱を見ないように
夢から醒めたのが分かっても
目を閉じたままでいよう

眠れない夜は
炎の中心のような朱を
見逃さないように
ベッドの中の自分の腕を
そっと抓っておこう

家の辺りは蓬が生えて
今日も哀しい音がする
砂の混じった風に打たれて
今日も哀しい音がする

膨らんで
弾け飛ぶ
パンケーキ
のような
シャツのボタン
窓に届いた
セイタカアワダチソウの
逞しい背中
ひとりでに
音をたてる
蛇口の
水滴

また一日がはじまったんだ

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