見出し画像

教科書には載らない物語

こんにちは、今日は朝5時に起きてこちらの漫画を読んでいました。

簡単に言うと1944年を舞台にした特攻兵のBL漫画です
上下巻に分かれて様々な特攻兵同士の愛の物語が描かれています。
上巻は特攻に行く前の兵士がメインなんですが下巻は特攻に向かう前に終戦を迎えて、戦後登場人物がどうなったかを描いています。
話としては複数のカップルが登場している中編〜長編の物語が複数収録されていると言う感じです。
すみません、BL、そして漫画のレビューをするのが初めてでどんな風に書いたらいいのか手探りで書いているので上手く伝えられなかったらすみません…

※あとこの作品、えっちシーンが80%を占めているので注意です…!※

・”病気”だと必死に自分で言い聞かせた

戦時中の日本、男だらけの軍隊の中で生まれた愛に登場する兵士の殆どが戸惑いました。童貞を地元の女性で捨てた男、故郷で結婚した男。
だけど彼らは出会い、愛してしまったのです。
その愛の中での困惑を一番感じるセリフがあります。

八木と関係を持った志津摩が「八木さん、今貴方は病気なんです…!」と語りかけます。「戦争が終われば、治る頭の病気なんです」と言い切りました。
八木は故郷に片想いしている少女がいます、だからこそ彼女を重ねている志津摩
との行為は単に性欲を解消させているだけだと必死に思い込もうとしているのです
この様な歴史に書かれない、当時の空気に抑圧された人々の愛の物語がもしかしたらあったのかもしれない…!と読んでいてひしひしと思いました。

令和の現代なら、そういった人々は理解されますが戦時下では「産めよ育てよ」の風潮が強かったので尚更同性同士の愛に対する風当たりは強かったでしょう…

・決して多くの人が知ることのない事

戦争が終わって20年後、特攻隊をテーマにした映画が公開されます。
ですが、その映画で描かれた彼らの姿は当時とは違ったものでした。
実際に違うと言うことを言っても言えないんですよね。
それが20年ぶりに再開した兵士たちの宴会でもと元兵曹長の男に話しかけた僧侶となった男が「今度、また私の寺へ来てください。家族は連れずに一人で」と話しかけます。
同じ釜の飯を食べた者だからこそ兵士同士で抱えていた想いは彼らにしか話せませんですし誰にも話せない、話したくないのだと思います。
ですが、その彼らの中に入った男がいます。
それが特攻隊を取材した新聞記者の男です。彼は取材し関係を持った兵士の男の面影を忘れられずに戦後、長い時間彼らのついての情報を集め続けてきました。
新聞記者の彼が唯一、特攻隊の兵士達以外で彼らの想いを知っている男です。

・救われてほしい願いが詰まった作品

この漫画の原作者amaseさんは上巻の後書きで「しんどい思いをした彼らに1分1秒でも気持ちいい思いをして欲しかった」と述べています。
私はこの原作者さんの気持ち痛いほどわかります。
太平洋戦争は兵士・市民両者に多大なる傷を残しました。だからこそ少しでも幸せな時があって欲しかった、傷が癒えてほしい、蟠りがなくなって欲しいと考えてしまうのが令和の若者の一番の意見だと私は考えます。
私が知る特攻隊の青年達の印象は故郷に家族や恋人を残し、海に消えてしまったイメージです。
ですが、長い時間兵士として男性と共に過ごすなかでもしかしたら男性に恋をしてしまった兵士も少なからず居たと思います。
ですが、今の歴史では残りませんでした。

もしかしたら居たかもしれない愛の物語が出版されたことによってその想いを抱えて犠牲になった彼らへの手向けになると私は思います。

たとえフィクションであっても作者さんの「しんどい思いで死んでいった青年達の幸せを願った」と言う気持ちは多くの人に届いて欲しいです…!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集